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「どう?クロちゃん」

「まだ、計算してるから少し待ってくれ。かえで」

自室の仕事机を前にそろばんを片手で扱いながら書類に書かれた数値を計算するクロツキに、ウズウズが我慢できなくなったかえでは尋ねるが、笑顔で流される。

「まぁ~落ち着けよ。かえで儲かったのは確実なんだからさ」

「そうですぞ」

かえでに声をかけた暁とボビーはテーブルの上で山積みになった金袋を見つめ直す。

「それにしても売れたな」

「そうですな」

 暁とボビーは、感心しながら近くの金袋を手に取り未だに信じられないといった表情をする。

「これ見て落ち着けって言う方が無理だと思うよ」

 暁とボビーに注意され、大人しくボビーの隣に座ったかえでだが、それでも落ち着つかない様子で話す。

「やっと片付けが終わったぁ~」

体を伸ばしながら部屋へと入ってきたリッカは、暁達と目が合うと笑顔で挨拶をしてクロツキの元へと近づく。

「ユノはホロと鈴奈の所に行った後に来るってさ」

「うん、わかった。ありがとうリッカ」

 リッカに礼を言いながらも計算を続けているクロツキに気を遣い暁達の元へと向かうリッカの後ろですぐに、声が聞こえる。

「やっと終わったぁ~」

「おっ」

「どうっだった?」

「タイミングが良かったでござるか」

 計算が終わり、体を伸ばすクロツキに暁とかえでが声をかけているとお茶を持ったねこ丸が入ってきて、部屋にいるメンバーに配る。

「ありがとね。虎さん」

「ん?全員そろったようだな」

 ユノ達が入ってきたのを見たボビーは呟き、それを聞いていたクロツキも立ち上がると紙を持って皆の所へと向かう。

「どうでしたか。クロツキさん」

「そそ、利益はどうだった?クロ兄」

「うん、想定していた以上に儲かったよ」

「「おぉ」」

 クロツキの言葉を聞き、歓声があがる。

「成功したんだね。良かったよ」

「そうですね。リッカさん」

 立案者であったリッカは安心し、その姿を見たユノも成功したことを喜び、相づちする。

「ご飯にするでござるか」

「手伝いますね」

 皆が落ち着いてきた辺りでねこ丸が喋りながら立ち上がり台所へと向かう、その後ろを鈴奈が付いてゆく。

「それじゃぁ、私は明日の準備があるから部屋に戻るね」

「私もこれで失礼します」

「ユノ、マッテ」

 鈴奈の姿が見えなくなるとリッカとユノが立ち上がり、部屋へと戻る後ろをホロが追い駆けて行き、暁達も部屋を出て行く。

「ふぅ」

 自分一人になったクロツキは大きく息を吐き、疲れをとるため、ソファーに座り目の前にある金袋に視線を向けるとメニュー覧を開きしまう。

「・・・・明日、銀行に預けに行かないとな」

「みなさ~ん、準備できましたよ~」

 鈴奈の声が聞こえるとクロツキは腰を上げ、部屋を出る。

 翌日、リッカとユノはお店の方へと向かい、他の者達もそれぞれの用事で出掛けており、クロツキは、自分の部屋でくつろいでいた。

「今日は、ゆっくりできるな」

 自分で入れたお茶を飲みながら、この頃、読むことが出来なかった本を広げ読もうとした時、誰かが訪ねてきた。

「お邪魔するぞ、クロツキはいるかぁ」

「今、いきます」

 本とカップをテーブルに置き部屋の戸を開けると拠点の入り口に見知らぬ男性とリコが立っていた。

「――どうぞ」

「ありがとうございます」

「忙しい時にお邪魔してすまないね」

「いえ、今日はゆっくりしていましたから」

 自分の部屋へと案内した後、クロツキは丁度入れていたお茶を二人に配り、リコと男性は申し訳なさそうに礼を言ってくる。

「それで、今日はどうしたんですか。後、そちらの方は?」

「挨拶が遅れたな。サタン・ソルジェだ」

「どうもです。黄昏の夕日ギルドマスターのクロツキです」

 お互いに握手をして挨拶を終えるとリコが補足する。

「こちら、深紅の樹海探索の時、協力した都市を管理している人です」

「そうですか」

 リコの補足を聞き終わった後、クロツキとサタンは椅子に座り、間を置いてリコが要件を話始める。

「今日、伺ったのはですね。これを渡すためです」

 要件を話ながら、懐から一枚の手紙を取り出し、クロツキへと差し出す。

「これは?」

「私の所に女性の冒険者が来てあなたに渡すように頼まれたのだ」

 クロツキの意図を読んだサタンは淡々と喋り、その後に続いてリコも喋り出す。

「以前、話した冒険者さんかの手紙のようで、どうやら大事な用事が出来て、サタンさんの都市に酔った後、急いでどこかに向かったそうなんです」

「そうなんですか。どうして自分宛なのか。何か言ってませんでしたか?サタンさん」

「いや、君の名前と渡せば分かるとしか言っていなかったよ」

(う~ん、どういうことだ)

 サタンの言葉を聞きながら手紙の封を開け中を見ると最初の行に知っている名が掛かれていた。


「チカより

 どうやら、元気に生活しているようでよかったわ。

 いろいろと聞きたいことがあると思うけど、もう少し待っててね。

 友人と連絡がとれたのだけれど、ピンチみたいでそっちを助けに行ってくるから。

 一応、少しばかり言っておくね。出る方法は一応あるわ。

以上」

「はははは、姉さんらしいな」

 内容を読んだクロツキの言葉を聞き、リコが反応する。

「姉さんって、言いましたか?クロツキさん」

「えっ、あっ漏らしてましたか」

 聞かれていたことに気付いたクロツキは照れくさそうにしながら喋る。

「えぇ、どうやら自分の姉みたいですね」

「内容はどうだったのだ?」

 クロツキが話し終えるとサタンが内容を質問する。

「いえ、詳しいことは書かれていませんでした。ただ、友人を助けに行くという事とこの世界から出る方法がある。とだけしか書かれてません」

「そうか」

 内容を聞き終わると、お茶を飲みサタンとリコは明日の会議で会おうという事でその場を後にした。

「まさか、姉さんがきてるなんてな・・・・」

 姉が来ていたことに驚くも心配事の一つが減り、満足する。

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