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「状況の方はどうなっていますか?」
救援隊の一団は、深紅の樹海近くにある拠点へと着いていた。
「はい、未だに遭難しているいのは三チームです、そのうち一チームは、正体不明の新種モンスターの攻撃を受けて、近くにあった遺跡に避難しています」
「新種のモンスターとはどういったやつだ」
クロツキが近くにいる冒険者に状況を聞いていると話を聞いていたのか宇佐錆のギルドマスターであるササビが会話に割り込んできた。
「それが、詳しいことが分かっていないんです。人の姿をしていたとか、耳があったとか意味が分かりづらい内容だったので」
「そうか・・・」
「人の姿をしているか・・・」
ササビとクロツキはお互いに新種のモンスターについて考えながら本部が置かれているテントに向かっていると聞き覚えのある声が背後からした。
「救援隊のメンバーにクロちゃんも交じってたのね」
「弧万智さんですか、はい、ねこ丸とリッカも一緒に来ました」
考え込んでいたこともあり、我ながらおかしな返事を返したなと思いながら弧万智に挨拶をして一緒に本部へと向かった。
「―――では、互いの位置を確認しながら未だに樹海内で迷子になっているチームを見つけに行きます」
「おぉ」
状況説明とこれから行おうとしている作戦を聞き終わった救援隊のギルドマスター達は仲間と合流して樹海へと入って行く。
「さて、俺たちはモンスターに襲われたチームの救援にむかうよ」
「りょう」
「はい」
他の者たちが樹海に入って行く姿を見送ったクロツキは拠点で合流した暁達に向かって改めて自分たちの任務を伝えるとかえでと鈴奈が返事をし、樹海の入り口をくぐった。
「実際に近くで見るとすごいね」
「そうでござるなぁ」
「そうだろ、そうだろ」
樹海へと入ると直ぐにライトたちが合流してきてそのまま目的地に向かう中、リッカとねこ丸は周囲の景色を見て驚き、すでに見慣れていたライトが自慢げに答えていた。
「あそこか」
目的地が見える場所で冒険者が逃げ込んだとされる遺跡の入り口を確認し周囲にいる味方に聞こえるようにつぶやくライトが双眼鏡をカバンにしまうのを待ち、クロツキ達は進み出す。
「何事もなく、来れましたね」
「そうですな」
周囲を警戒しながら進んだクロツキ達はモンスターにも遭遇することなく救援を待っていた冒険者たちと合流することができた。
「きゃぁぁぁ」
「危ないっ」
ドシャーン
脆くなっていたのかユノがいた地面が崩れ、助けようと飛び込んだクロツキも巻き込んで地下へと落ちて行った。
「―――大丈夫ですか、クロツキさん、クロツキさん」
意識を取り戻したクロツキは、体を揺すられ、誰かが声をかけているのに気が付くがまだ、はっきりしていないため曖昧な返事を返した。
「・・・・・うん、眠い」
「クロツキさん、やっと目を覚ましてくれましたね」
「・・・あっ、ユノさんか、大丈夫だった」
「なんとか、でも、よかったです」
意識がはっきりとしたクロツキは自分に起きた出来事も思い出し近くで涙目になっていたユノを見る。
「よしっ、どれくらい落ちたんだろうな」
「えぇ、そういえば、クロツキさんが寝ていた間にライトさん達と連絡を取ったんですが、ロウデンさんとかえでさん・暁さん・小雪さん以外は拠点へ帰還するそうです」
「わかった。それじゃぁ、こっちも出口を探しますか」
「はい」
ユノからライトたちの行動を聞いたクロツキは服に付いた砂を叩いた後バックからランタンを取り出し道を進む。
「報告にあった通りここも以前とは変わっていますね」
「はい、しかも自分たちのいる場所が分かっていませんから何処か広い場所に出たいです」
数十分、細くランタン以外の光がない通路を歩いた二人は疲れも溜まって、休める場所を求めるように風が吹く方へと進んでいると遺跡ではない、広い空洞に出ることが出来た。
「ここは・・・・新しい場所ですね」
「そうですね。まさか、洞窟に繋がっているとは・・・・」
「クロツキさんっ」
「あぁ」
周囲を見ながら突き進むとユノがクロツキに聞こえるか聞こえないかの声で前を指さしたので見るとスケルトンが数体見えたので近くの岩陰に隠れる。
「ざっと、4、5体はいるね。レベルは30代か・・・・」
「行きますか?」
「そうだね、まずは幻惑まほ――」
クロツキはスケルトンたちの動きを見ながらユノに指示を出そうとした時スケルトンに襲い掛かる人影が視界に入り指示を中断する。
「あれは、なんですかね」
「ちょっと、まっててくれ」
”鷹の目”
いつの間にかユノも顔を出しスケルトンたちと戦っている者の姿を追っていおり、クロツキはサブ職業の追跡者が持つ相手のステータスなどを見ることが出来るスキルを使い確認する。
「冒険者だ、助けに入るよ」
「はい」
戦っている者が冒険者だと分かったクロツキはすぐに指示を出し、ユノは返事を返す。
“ネーベル・リューゲ”
「しゃがんでくれ」
“エリクシス・バル”
スケルトンたちと冒険者はいきなり自分たちを包んだ霧に戸惑っていたが、クロツキの声に反応し一瞬向くがすぐにしゃがみ、そのタイミングを見計らってクロツキは立ったままのスケルトンたちに攻撃を喰らわす。
「だいじょうぶ?」
「ぐるるるる・・・ダレ?」
戦闘が終わり、その場にしゃがんだままの冒険者は、いきなり声をかけられ、威嚇するかのように行動をとるがすぐに質問が来る。
「私は、ユノっていうのあなたの名前は?」
「・・・ホロ、イウ」
頭上を見れば名前なんてものはすぐにわかるのだが、ユノは子供にするような感じでホロという少女に接し、クロツキはその姿を見ながら暁に連絡を取る。
「あぁ、そっちも空洞に出たのか――了解、じゃっ」
クロツキと暁の通信が終わった頃には、ホロはユノに懐いており、いろいろと話を聞くことが出来た。
「移動しようか」
「わかりました。ホロちゃん」
「ウン、ワカッタ」
ユノに暁達のことを話すと横で話を聞いていたホロが案内すると言い出し、クロツキは暁にその場所で合流することを伝えるとユノに声をかけ移動する。
「ほんと、頼りになるな」
「はい、一人でずっとここにいたみたいでホロちゃんにとっては庭みたいですね」
クロツキの持つ明かり以外はない暗闇の中をホロはなんの問題もなく移動している姿を見たクロツキがつぶやくとユノが横で答えてきた。
「どうした?」
「ダレカ・・イル」
突然、クロツキとユノの前まで戻って来たホロにクロツキが聞くとホロは返事を返すとその方角を指さしたので明かりを消しゆっくり近づくと小さくではあるが明かりが見えた。
「ホロ、あの場所が目的地かい?」
「ソウ・・・アソコ」
「ふう、たぶん暁達だと思います。向かいましょう」
ホロから明かりがある場所が目的地なのを聞いたクロツキは少し安心するが、警戒は怠らないようにしながら突き進み暁達と合流した。
「無事でよかったよ。クロ」
「心配かけてすまい。みんな」
「いいよ、いいよ。それよりその子が話にあった子」
「はい、大丈夫だよ。ホロちゃん」
「かわいい」
「報告しますね」
ユノとクロツキの後ろに隠れているホロに小雪が迫り、かえでが聞くとユノは明るく答え、警戒しているホロを落ち着かせている横でロウデンは報告をするために少し離れる。
「報告終わりました。拠点に帰還しましょう」
「了解」
「ホロちゃんはどうするの?」
「イク」
「じゃぁ、みんなで帰ろうか」
ロウデンが戻ってくるとそれぞれが喋り、にぎやかな雰囲気の中、拠点に帰還することになり遺跡を後にした。




