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都市の西門前には黄昏の夕日のメンバーであるねこ丸とパペット・マーケットの弧万智達がクロツキ達の帰りを待っていた。
「ただいま」
「えぇ」
飛竜から飛び降りたクロツキは近くにまでやって来ていた弧万智に挨拶を交わす。
「着いたばかりだけど―――」
「分ってますよ。案内して下さい」
クロツキは、弧万智の言いたいことを察して施設までの案内を頼み離れた場所で会話をしている暁達を置いて向かおうとすると小雪が後ろからついてきた。
「どもです。小雪って言います」
「どうも、私はパペット・マーケットのギルドマスターをやっている弧万智よ」
小雪からの自己紹介を聞いた弧万智も自己紹介を済ませ、これまでのことを互いに詳しく話し合い始めたクロツキと弧万智の後ろを小雪がついて行く。
「まってくれよ」
いきなり、声がかかり振り向くといつの間に近づいて来たのかさっきまで門前で話をしていた暁達が息を切らしながらついて来ていた。
「急がないといけないから・・・・」
「分かっているけど、せめて声をかけてくれよ」
「はいはい」
弧万智との会話に夢中になっているクロツキの代わりに小雪が暁の文句に答える。
「―――現状はこんな感じよ。クロちゃん」
「分かりました」
弧万智の説明を聞き終わった辺りでようやく施設にたどり着いたのでクロツキは弧万智達と一旦離れ、感染者達が集まるホールへと向かい呪文を唱え始める。
「ふぅ、・・・・疲れた」
感染者達全員の治療が終わった後、都市には活気が戻り中止されていた祭りが再開され、疲れのたまったクロツキはギルドに帰り自分の部屋で休んでいた。
コンコン
「どうぞ」
扉を叩く音が聞こえてきたので入ってきて良いという返事をすると扉が開き、ねこ丸とかえでが入ってきた。
「あんがとね。クロちゃん」
かえでは部屋の中に入ると同時に礼を言い、ねこ丸は手を挙げて入って来る。
「どうしたんだ。かえでに虎さん」
クロツキは壁にもたれかかったねこ丸と椅子に座ったかえでに来た理由を質問すると意外な返事が返ってきた。
「全員、無事に元に戻ったようだが、どうやら副作用的なモノが残っているプレイヤーが数人出ているようでござる」
「えっ」
「あっ心配しないでね。副作用って言っても新しいスキルが増えてるだけだから」
クロツキの慌てようにかえでは問題ないことを伝えてくる。
「そう・・・か、よかった・・・・ん?もしかしてかえで―――」
かえでの言葉を聞き安心したクロツキだったが、かえでも副作用の出たプレイヤーの一人だと気付きかえでの方を向くと幼女化したかえでがおり、クロツキは言葉を失い、ねこ丸は笑みを浮かべていた。
「・・・・はぁ」
「驚いたでしょ。でしょ」
未だに幼女の姿でいるかえでがテンション高めにため息をついているクロツキに近づいて笑っている。
「全員こんなスキルを持っているんですか。虎さん」
「いや、このスキルはかえでだけでござる」
かえでを無視してクロツキはねこ丸に訪ねると直ぐに返事が返って来た。
「他には、鈴奈殿が習得していた全体回復魔法やリッカ殿の創造系スキルなどでござるな」
「う~ん、意外と――――」
「中にいるか」
クロツキがねこ丸の話を聞き感じたことを言おうとすると暁が扉を開き入ってくる。
「よっ、先客がいたか」
かえでとねこ丸を見た暁は挨拶を交わして部屋に入るとその後ろから小雪もお辞儀をして入ってきた。
「どうしたんだ?」
「たぶん、かえで達と同じ話だ」
暁はかえで達の話の内容を察して答えた後、間を置いて喋り出す。
「どうやら感染していた冒険者と一部の先住民が新しい能力を手に入れているようだぜ」
「うんうん、それとなぜか私にも新しいスキルが出ていたんだけどクロ兄も出ていない?」
暁の話しが終わると次は小雪が話出したが、クロツキは小雪の話を聞くと直ぐにメニュー覧を開くと確認に入る―――。
「おやすみね~」
「じゃっ、またな」
クロツキにも新しいスキルが出ていたことを確認した後は、疲れなどもあったため話は後日にすることにして解散した。
「おはようございます」
「やっほうい」
「おじゃましているわよ」
「へっ」
朝になり、自分の部屋を出たクロツキは挨拶をしてきた鈴奈とかえでに手を振って返事をしたが弧万智の声が聞こえて変な声を出しまった。
「はやく、意識をはっきりした方がいいわよ。クロちゃん」
「あのう弧万智さん用事はなんですか?」
クロツキは、弧万智の言葉に返事をする代わりに要件を聞く。
「これを渡そうと思ってね」
弧万智は喋りながらポーチの中から小さな木箱を取り出すとクロツキの方へと差し出す。
「これは・・・」
「お礼だそうよ」
「はぁ・・・・」
弧万智から木箱を受け取ったクロツキはまだ、眠気が取れないでいたこともあり、曖昧な返事を返しながら蓋をあけると中には小さな卵が入っていた。
「そんな物がはいってたのねぇ」
「なんの卵でしょうか」
いつの間にかクロツキの周囲に集まっていた鈴奈は弧万智が喋った後に質問をするようにつぶやくと食事をしていたマグロが反応した。
「それ、卵じゃなくて宝石ですよ。しかもレア物じゃないですか」
マグロの言葉を聞き、その場にいた全員が一度卵型の宝石を見た後にマグロに視線を戻し説明を求めるかのように待っているとマグロは間を置いて話始めた。
「なんであんたがそんなことを知ってるのよ」
「エッグビースって言う宝石で確か、キルベリア卿が大切にしてた物の一つですよ。首に下げていたじゃありませんか」
「そうだっけ?」
暁と小雪が反応し、クロツキは思い出そうと考え込む中で弧万智が何かを思い出したかのように喋り出したので弧万智の声に耳を傾ける。
「そう、そう、手紙も預かっていたんだわ」
弧万智はポケットに手を入れて手紙を取り出しクロツキに手渡すとクロツキは封を破り読み始める。
「クロツキ殿とその友の者たちよ此度は、我が領地と民を助けていただき誠に感謝している。
こちらは残ってくれた冒険者たちのおかげで復興が順調に進んでいる。此度の要件なのだが、我が集めていた宝を一つ助けてもらったお礼として送ろうと思いこの手紙と共に木箱の中に入れて送らせてもらった。
木箱の中に入っている物はエッグビースという宝石で、所有者に不思議な力を与えるといわれている物だ。クロツキ殿の助けになればと思う」
「よかったね。クロ兄」
クロツキが内容を読み終わったのと同時に顔を覗き込んできた小雪は笑顔で言い、小雪と同時に飛びつこうとしていたかえでは、鈴奈に抑えられていた。
「ありがとうございます。弧万智さん」
「いいのよ。じゃ失礼するわね」
クロツキからのお礼を聞いた弧万智は手を振りながら自分の拠点へと帰って行った。
「クロツキ殿」
さっきまでいなかったねこ丸がクロツキの朝飯を持って現れたので全員食事に戻り、昨日の話を始めた。
「いろいろと考えたんだけど結論から言うけどクロ兄が関わっている人にしか副作用が出てないことが分かったんだよね」
「へっ」「・・・」
自分たちが使うことのできるようになったスキルの内容などを報告し終わり、一息ついた辺りで小雪が喋った言葉に本人のクロツキとマグロ以外が言葉を失ったりして驚いている中で、クロツキが喋り出す。
「やっぱりか、今回の原因になったツボと本をもらって、話を聞いた後に調べたりしたんだけどそれっぽいことが書かれていたんだよね」
苦笑いしながら頭に手を置いていたクロツキの暁はツッコミを入れ、他の人たちはため息を漏らすしかなかった。
「おい」「はぁ~」
「まっ、いろんな意味で確定したようだしリコに報告しに行ってくるよ」
「わっ、私もついて行く」
クロツキが食器などをキッチンに持って行って戻ってきた後にゲームマスターの館へ行くことを告げると小雪が付き添いに来ると言って一緒に向かうことにした。




