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 数十分歩いた頃で前方が大きく開けた空間になっている場所にたどり着いたクロツキ達は慎重に近づき空間の中を確認すると段差になっており下の方では、百体程の魔物がうごめいており、奥にある穴の中には、幼女化した探究者達の姿が見えたので一旦後ろに下がり作戦を考える。

「どうする?」

 声を潜めながら小雪はクロツキに質問し、キルベリア卿達も周囲を警戒しつつ話を聞く。

「ユキ、半分任せても―――」

「まかせて」

 クロツキの言いたいことを理解した小雪は、最後まで言葉を聞かずに返事を返し、クロツキは一回頷いた後、キルベリア卿達にも作戦の内容と指示を出し、配置場所へと気付かれないように移動を開始した。

 キルベリア卿と兵士が冒険者達が捕まり閉じ込められている穴の真上まで着くのを確認したクロツキは、通話を使って小雪に合図を送り動き出す。

「いくよ」

「うん」

“メテオ・ショット”

 クロツキの放った業火球の銃弾はうごめく敵のど真ん中に辺り、大半の敵を巻き込み生き残った魔物達は一斉にクロツキの方へと飛びかかろうとするが、クロツキの元へ上がるための道に小雪が立ち塞がり、背寄っていた大剣を振り被りあがってくる魔物達を薙ぎ倒していく。

「はぁ、はぁ」

「どういうことだろうな」

 クロツキと小雪が施設に到着する数分前、暁達は魔物達の猛攻を受けつつもどうにか持ちこたえることが出来ていたが突然魔物達が施設内へと入らなくなったため、その間を利用して呼吸を整えているといきなり建物が揺れ天井が崩れてきた。

「大丈夫ですか?」

 目を覚ますと辺りは薄暗く周囲には他の冒険者が倒れていた。そして、近くに居た冒険者が声をかえてきたが、声からしてマグロだと思った暁は返事を返す。

「あぁ、此処はどこなんだ。マグロ」

「敵の巣の中だと思います。外にたくさんいますから」

 マグロが指差す動きをかろうじて見ることが出来た暁は、目で追うと出入口だと思う穴の外には無数の敵がこちらを見ているのが分かった。

「今、師匠たちが助けに向かってくれているようなので皆さんを起こしていきましょう」

「わかった」

 マグロの言葉を聞き、立ち上がった暁はそこで初めて自分も幼女化していることに気付き、大きくなった装備を引きずりながら近くで気絶している仲間を起こしにかかる。

「おわっ」「きゃっ」

 最後の一人をおこして、今の状況を皆に説明し終わった辺りで突然大きな揺れと轟音がなり、一瞬ではあるが辺りが明るくなる。

「外を確かめる」

 ボビーは、警戒しながら穴に近づき外をのぞくと空間の中央部分に近付く程、焦げており、敵の死骸が転がっており、段差の上がり道の方だと思う場所には魔物が群がっている光景が広がっていた。

「すごいな。これは」

 いつの間にか他の冒険者も集まって来ており、暁が呟く声が聞こえて来たかと思うと頭上からロープが垂れくる。

「こっちだ!」

 魔物に気付かれない声で段差の上からロープを垂らしてきた幼女の言葉に頷くとボビーは暁とマグロと目を合わし、一人ずつ上がっていく。

「わしは、キルベリア卿である。そなた達の仲間であるクロツキ君と小雪君と共に救助に来た」

 最後の一人が上がり終わった後、キルベリア卿を名乗る幼女の話を聞いた暁は納得したという顔をし、敵の群がる方を改めてみると小雪が前線で敵を薙ぎ払い、段差の上ではクロツキが小雪の援護をしている姿が視界に映った。

「これを…」

 キルベリア卿ともにいた兵士達が空洞の中で見つけた冒険者の武器を渡す声が聞こえ、暁は加勢するために急いで武器を受け取りに向かうと早くもマグロとボビーが魔物の背後を突くために段差の下に降り、駆ける姿が見え暁はシムナを受け取りサポートに回る。

「重いな、でも大丈夫だな」

 暁は、自分の身長とほぼ変わりない長さのモシン・ナガンであるシムナの重さを実感しながら銃口を標的に向けて撃ち、マグロとボビーはまだ気付いていない最後尾の魔物に攻撃を仕掛ける。

「うらぁぁ」「くらえっ」

 暁と一部の魔法使いの攻撃に加えマグロとボビーの先制攻撃を喰らいようやく魔物達も捕まえていた冒険者が脱走したことに気付き、後方でも激しい戦いが始まる。

「向こうも始まったみたいだね」

 押し寄せてくる魔物を片手に持った大剣で薙ぎ払いながら小雪は後ろを振り向き、クロツキに聞こえるよう話す。

「あぁ」

クロツキは、小雪に返事を返すと攻撃するのを止めカバンの中にしまっていたキューブと書物を取り出すと詠唱を始める。

また、それを見た小雪も自分のステータスを全体的に強化するスキルを発動させ防衛の耐性に入る。

“戦士の証”

「よしっ、もうひと踏ん張りしますかっ」

 自分に喝を入れるように叫ぶがその音量に近くに居た魔物達は驚き怯み、小雪は前に居た三体の魔物を斬り倒す。

 小雪が魔物の進行を一人で抑え込み詠唱中のクロツキを守っている間も魔物達の後方では未だに慣れない体で着実に敵を撃退していたが、マグロとボビー以外の近接専門職の冒険者達は魔物の攻撃を凌ぐことしか出来ず、暁達の遠距離からの支援でどうにか成り立っていた。

「やっぱ、ブレがひどいな」

 暁はシムナに弾を込めながら小さくなった体の影響を改めて実感する。また、そんな状態でも敵を蹴散らしているマグロとボビー二人の姿を視界で追い、次の的を探す。

“リベラシオン”

 詠唱をしていたクロツキは本に書かれていた呪文を唱えると暁達の方角に光の球が飛んで行き弾ける。

「なんだ。あれは・・・・うわっ」「なにこれっ」

 前方の方から飛んで来た得体の知れない光球は冒険者達の戦っている丁度中間あたりまで来るとその場で弾け、まぶしい光が幼女化していた者達を包み込み魔物達は眩しい光で動きを止める。

 

「無事に終わってよかったね」

「そうですな」

「まだだよ。二人とも早くかえで達のもとに向かわないと」

「あぁ」

「ちょっと動かないで下さいよ。師匠」

 数時間前まで魔物の巣で戦っていたが、クロツキの唱えた呪文で幼女化していた者たちは元の姿に戻ったため、数分で決着がつきクロツキ達以外の冒険者は村の復興をするために残り、クロツキ達は都市で帰りを待つ仲間の元へと急いで帰っていた。

「そういえば連絡はしたの?」

「俺がしたよ。すごく喜んでいたぞ」

 小雪の質問に直に答えた暁の顔には笑みが浮かんでおり、それを見た小雪も少しだけ笑うと文句言っているマグロの頭を叩きスピードを上げるように促し、それを追うようにクロツキ達も速度を上げ競い合うように目的地へと進む。

 都市では未だに巡回している冒険者が居たが彼らを含めた全員の顔には不安が消え、隔離施設と会議上では慌ただしく動く者達で溢れかえっていた。

「―――以上が、暁ちゃんからの報告よ」

 会議場ではマスター代理のリコを含めたギルドマスター達の見守る中、弧万智の詳細な報告が終了した所であった。

 殆どのギルドマスターは治療法が分かり喜んでいたが、大手ギルドの面々は険しい顔をしていたために重い空気に戻った。

「・・・どうしんたんですか?」

 最も険しい顔をしていた英王にリコは質問をするとその場に居た者全員が息をのむような音程で話し始めた。

「リアルでは軍の幹部を務めている者なのだが、今回のことが本当に軍が関わっているなら他にも何かあるかも知れないと・・・・思う」

 英王の言葉にその場に居た全員が絶句していたが、すぐに非難の声が上がる中、弧万智の声で静かになる。

「静かにしろ!」

「心当たりがあるの、英王ちゃん」

「あぁ、この世界がゲームとして出される前にこの世界に関わっていた研究者と幹部が姿を食らわしたんだ」

「そう、この話はこれで終わりにして今はクロちゃん達の帰りを待ちましょう」

 弧万智の迫力に流される形で会議は終了し、その後誰も英王に避難を浴びせる者も現れず解散した。

「弧万智くん、たすかったよ」

「気にしなくていいわよ。その代り何か掴んだり知っていたりしたら直に報告をして」

「わかっているよ」

 英王は解散後に弧万智の元へと向かい礼をするが弧万智は笑顔で返事をして、もうすぐ帰ってくるクロツキ達の出迎えの準備をするためにねこ丸の元へと向かった。

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