004.優香の愛読本
「あ、これ分かんねぇわ……」
とある言語で書かれたサイトを眺めていると、どうしても意味が分からない単語にぶち当たった。
こんなときは辞書だな。ネットで調べてもいいが、正確に知りたいときは紙媒体に限る。
この言語のだったら、優香のヤツが持ってるかもしれない。俺は優香の部屋に行き、ドアをノックする。
「優香、ちょっと入るぞ?」
「ん、いいよ〜」
部屋に入ると、優香はうつぶせに寝そべってポテチを食べながら本を読んでいた。
せっかくの、花模様の地にフリルのワンピース(本人曰く、クラシカルロリータと言うらしい)姿が台無しだ。
「……パンツ見えてるぞ」
「見せパンだから恥ずかしくないも〜ん♪ 可愛いでしょっ」
幾らでも見ろと言わんばかりに、そのままの格好でケツ振ってきやがった……。
「ああ、それなりにな。ところで優香、お前スウェーデン語の辞書持ってないか?」
「本棚にあるから勝手に持ってっていいよ〜。けど、ゆっちゃんが外国語の辞書使うなんて珍しいね?」
「ちょっとな。それ、さっきから熱心に読んでるがそんなに面白いのか?」
「うん、すっごく面白いよ♪ ゆっちゃんも読む〜?」
「タイトルは?」
「なな・さん・いちっ!」
「……いらねぇ」