002.風呂掃除
夕飯の前に風呂掃除しておこうと思って軽くシャワーで浴槽を濡らしていると、優香のヤツが横からヒョコっと顔を覗かせてきた。
「ゆっちゃん、お風呂掃除してるの?」
「ああ、見りゃ分かんだろ?」
「ふーん、楽しそう〜」
……風呂掃除が楽しそうとか初めて聞いたぞ。
だが、優香は本気だ。その証拠に目が輝いてやがる。
「……やりたいならゴム手履いたほうがいいぞ。肌が荒れてしまうかもだしな」
「はぁ〜い♪」
軽快に返事して優香はスキップしながら風呂場から出ていった。
まだ小学生かそこらのガキにしか思えない行動ばっかしてるが、アイツはもう20歳なんだよな……。
2分くらい後に優香は戻ってきたが――
「……」
「えへへ、どやぁ」
「それ、ゴム手はゴム手でも外科手術用のグローブじゃねえか! んなもん、どこで手に入れやがった!?」
「いつもの通販サイトから〜!」
あー……そういやコイツは解剖とか拷問とか血なまぐさいのが大好物だったっけな。
自分で稼いだ金で道具とか買い漁ってやがるし。
「あっ、ついでにマスクとボーシとガウンも持ってきたよ〜」
「マスクはともかく帽子とガウンは使わねぇよっ!!」