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その4*勇者の帰還

「に゛ゃああああ!!!!」


するどい爪が黒く大きな羽に襲いかかりました。



大きな鳥は、羽根をばたばたさせて、チャト君から少し離れました。


そこには、我が子が小さくなって震えています。

みけこ母さんは、体中の毛を膨らませ、チャト君の前に立ちはだかりました。


「ふうぅぅぅ!!」

「カァ!カァ!!」


みけこ母さんは、白い牙をむき出しにして威嚇します。

大きな鳥は、少し離れて大きな声で威嚇仕返します。



お互いがにらみ合いが続き、やがてみけこ母さんが攻撃を仕掛けました。


「ガァァ!ガァァ!!」

「に゛ゃあああ!!に゛ゃああああ!!」


お庭には、みけこ母さんの毛や黒い羽がみるみる散らばっています。

うなり声を上げて、みけこ母さんが飛びかかると、黒い爪が母さんの前足を引っ掻きました。


「に゛ゃああああ!!」

「ガァガァ!!ガァガァ!!」


乾いた土を舞い上げて、戦いが続きました。

チャト君は、転がっていた植木鉢に隠れてお母さんの姿を心配そうに見ていました。



おそろしい戦いは、突然おわりをつげました。


「こら!やめなさい!!しっし!!あっちいけーー!!」


「カァア!カァア!カァア!」


突然の出来事に、大きな鳥は驚いて舞い上がり、葉月ちゃんに文句を言うと、飛び去って行きました。

葉月ちゃんが大きなほうきを振り回して、大きな黒い鳥を追い払ってくれたのです。



「ゔ〜〜〜〜〜〜」


興奮が収まらないみけこ母さんは、毛を逆立てたまましばらくうなり声をあげていましたが、すぐにチャト君を探し始めました。


「にゃあ?にゃあ?」

「・・・みぃ・・・」


みけこ母さんは、大きな植木鉢の中でふるえているチャト君を見付けると、やさしく首の後ろをくわえて葉月ちゃんの前につれてきました。


ぶるぶるとふるえるチャト君を、みけこ母さんがやさしく舐めてあげます。


みると、チャト君の背中に擦り傷ができていて、そこからは血がにじんでいました。



みけこ母さんは、傷を丁寧に舐めてあげると、チャト君はふるえが止まりました。

みると、みけこ母さんもあちこちケガをしていて痛そうでした。


「みぃ・・・」


「まぁ、みけこちゃんもケガをしたのね?!すぐに手あてをしなくちゃ!」


そういうと、葉月ちゃんはみけこ母さんとチャト君を一緒に抱っこしてお家へ連れて行きました。


「みぃみぃ!」

「ほら、チャト君は大丈夫よ?安心してね」


閉じたガラス窓には、まんまるにお目々を見開いている兄姉たちが、心配そうにその様子を見ていました。



すこしすりむいたチャト君は、葉月ちゃんにお薬をぬってもらい、体をきれいに拭いてもらってから床に降りると、すぐに皆が集まってきました。



心配していたのか、みんなが鼻を寄せてチャト君を舐めて上げました。



チャト君は、やっと皆のところへ帰って来れたのだと、安心する事ができました。

皆でご飯を食べ、みけこ母さんに毛繕いをしてもらうと、もうチャト君のお目々は半分閉じています。


一緒のカゴに収まって、もぞもぞ動くみんなの気配に、チャト君はすっかり安心して眠ってしまいました。




くんくんくん…


くんくんくん…




眠ってしまったチャト君から、まだ不思議な匂いがするので、みんなはお鼻を近づけます。

嗅いだことのない不思議なにおいに、みんな興味津々です。




くすぐったいけれど、いまは眠くて・・・




チャト君はぐっすり夢の中・・・





大冒険からもどったチャト君は、ちょっぴりオトナになったような気がしました。




いつの間にか、お兄ちゃん達も眠ってしまいました。

大きなカゴの中で大好きなクックちゃんたちに囲まれながら眠るチャト君は、幸せそうにおひげをピクピクさせています。



前足をピクピク動かすチャト君を見て、菜月ちゃんは優しく笑うと、ふわふわな毛皮をそっと撫でてから、ガラス窓のカギをしっかりかけました。





「次の冒険は、もう少し大きくなってからね。」





そう言って葉月ちゃんは、静かに薄いカーテンを引きました。









おしまい。

仔猫の大冒険が、すこしでも伝わってるといいんですが…

至らない点が多く、読みにくかった事をお詫びします。。。


読んで下さり、ありがとうございました!

感謝感謝でいっぱいです!!!

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