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その3*にげろー!

大きな葉っぱの下で、ちっちゃなチャト君はぶるぶるとふるえていました。


大きなお目々をキョロキョロさせて、あの大きな黒い鳥が近くにいないかと、ピンク色のお鼻をひくひくさせます。


『…もう、だいじょうぶ かな?』


チャト君は、そろりそろりと葉っぱの下から顔をだしました。


お母さんが恋しくて仕方がないチャト君は、さっきよりももっと大きな声で鳴きました。



「みゃう!みゃう!みゃう!」


すると、ゾッとするような声がきこえてきました。


「カー!カー!」


チャト君は 怖くなって、いっしょうけんめい走りました。


バッタがぴょんぴょん跳ねても、もうおいかけたりしません。



よちよちと いっしょうけんめい走ります。

チャト君は、鳴きながら走りました。


「みゃう!みゃう!みゃう!」



その声に、みけこ母さんのお耳がピッと動きました。


顔を上げて チャト君を探します。


カゴの中にいるはずのチャト君がいません。

みけこ母さんは いそいでカゴを飛び出すと、大きな声でチャト君をよびました。


「にゃあ?にゃあ?」


返事がありません。

みけこ母さんは、部屋中を探しまわりますが、小さなチャト君を見つけることができませんでした。


まさか、ひとりでお外へでたのかしら?みけこ母さんは、さらに大きな声で呼びました。


「にゃああ!にゃああ!」



「まぁ!ずいぶん大きな声ね?みけちゃん。どうしたの?」


菜月ちゃんがお掃除の手をとめて、みけこ母さんを抱き上げました。

いつもは大好きな菜月ちゃんの抱っこも、いまはそれどころではありません。


みけこ母さんは、菜月ちゃんの腕から飛び降りると、お庭の窓へかけよりました。


「にゃああ!にゃああ!」


みけこ母さんは、大きな声でガラスの向こうに呼びかけます。


「お庭に何があるの?」


菜月ちゃんは不思議そうにしながら、みけこ母さんとお庭を見比べますが、

さっぱりわかりません。


それでも、みけこ母さんの耳には聞こえていました。


大切な子供の声が。


「みゃお!みゃお!みゃお!」


怯えたように呼ぶその声に、みけこ母さんは心配でたまりません。


「にゃああお!にゃああお!!にゃああお!!」


みけこ母さんの声はどんどん大きくなります。

ガラス窓に爪を立てて、今にもお外へ飛び出してしまいそうです。


「み、みけこちゃん?いったいどうしたの?」


菜月ちゃんがオロオロしていると、さっきのカラスが、また戻ってきたのが見えました。


「あ!またあのカラスだわ!」


大きなカラスが何かを追いかけています。

大きなくちばしや、するどい爪が、よちよち走る小さなものを狙っていました。




それを見て、菜月ちゃんは悲鳴を上げました。




「きゃあ!!チャト君!!どうしてお外にいるの?!」



急いでガラス窓をあけると、菜月ちゃんよりも先に、しなやかな生き物が飛び出して行きました。

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