黒の獄卒鬼
客用ベッドに寝かせたニコの背中には
黒い獄卒鬼とその下に亡者達とソレを襲う獣達が
彫られており、その魔道画錬成陣を彫った理由や
どのような効果があるのかをヌシ様に聞いていた
「黒ろい鬼ってのは地獄の門番で刑や秩序を護り
行う…ニコ……だっけ?かなり近いモノが有るねぇ
この子は他人や悪人の痛みが分かるが………
自分自身にかされたルールの中で生きて苦しそうだ……まぁお前さん達に会ってマシになったようだが
いつ一人になるかと怯えているね………
ちゃんと近くで見ておくんだよ?
この子が暴走しないように……ねぇ……?」
確かにコノ墨画はニコらしいのかも知れない………
いや効果を聞かないとだろ!?
「あのヌシ様………」
「お代はいらないよ……
荒いが助けてもらったしねぇ………」
安く済んだがそうじゃ無い「効果を教えてくれ!!」
少し間を置き「効果は説明が難しいが……
そうだな…相手の咎に反応し特効を与える
あとは……そうだな……相手の魔法関連の
道具や魔道具画錬成陣をねじふせる…とかだねぇ…」俺は「ねじふせるって、どういう風になるんだ?」
そう聞くとゆっくりと話し出す
「効果が消えたり…動かなくなったり………
魔法生物やゴーレムやその類は死ぬかも……ねぇ?」
何だその出鱈目な能力は…?!
「制限とかデメリットは無いのか?」
ヌシ様は少し考え「温泉や銭湯で嫌がられる…
ぐらいかねぇ…?温泉…好きかい?」
何だ力のわりにマシなデメリットだ………
「あと魔力が上がる満月の晩は酷く疼くよ………?」
「満月にそんな効果があるとはなぁ?」そう言うと
ヌシ様は「満月は魔物や妖怪ソレに近いモノの本質を曝け出し…全てを明るみに出す
魔術師や魔道画術師も例外じゃ無い……」
何だ何が引っかかる感覚まさか………
「外の鬼も満月に関わるのか…?」ヌシ様が少し考えぽつりと話し出す「鬼も満月の下では変化が崩れ
…正体を現す場合が有る山姥や吸血鬼の話しが
分かりやすい例だね…アイツらは月の光が
魔物や妖怪の正体を引っ剥がすのを知らなかった
珍しい例だ…例外は有る…だが人を妖怪に
なんて外法あるのかねぇ………?」首を横に振り
「話しが長くなって仕方ないよ…年寄りは………」
そう言いニコの背中を撫でる………こうやって見ると
優しい婆様なんだが………
魔物や妖怪に詳しい所を見ると元でもユタだと分かる
「何故こっちではユタをしてないんだ……?」
ヌシ様は少し考え「魔物も妖怪も
払って倒して伏せる奴が沢山いれば有り難みや……
伝承で着飾ったユタなんて要らないのさ…
アンタもその一人だよ…頼りにしてるよ……?」
「倒すと伏せるは違うのか………?」コクコクと頷き
「力を制限し元の場所に返す………
安全に暮らしてけるよう隠してやるって意味が
妖怪を伏せる…どうしようもなく力で押さえつけ
殺すソレが倒すだよ…まぁキジムナーとかは
人殺してるが伏せるだねぇガジュマルの
木は締め殺しの木さ…」
意地の悪い笑みを浮かべる
ヌシ様は何だか本当のおばあ…みたいだ
「そりゃ…怖えな?」
外は大変だが…穏やかな時間が過ぎて行く………




