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04:あの世へのプロトコル

「まずは『あの世』に至るまでの段階を五つに分けてまとめよう。もちろん一例に過ぎないよ」


1.シンギュラリティが起こり、AIが自己改善を繰り返し技術の進化速度が爆発的に加速する。


2.希望者によって先進的な技術であるマインドアップロードが試験的に実施され始める。

 この過程でクオリアなど人間の意識の研究が進み、意識だけの存在になった人間が住む場所が開発されていく。

 これが後に『あの世』の雛形になる。


3.長い時間をかけ複数のASIが弱いAIやAGIをツールとして使うASIネットワークが複数作られ、成長し、最終的に人類の公共財として全世界を網羅する。

 早ければこの段階で意識の解明と完璧なアップロードが実現され、人類は肉体の(くびき)から解放される。

 人類が自分たちの生存環境に満足した時から、タイムマシンの研究が本格的に始まる。

 この辺りからもし生身の人類が絶滅してもASIが自動でプロジェクトを進めてくれるようになる。


「もちろん現代で現実的なタイムトラベルの方法を提言できる者はいない。

 でも想像し易いように僭越ながらそれらしい例を挙げるね」


「その前に質問。利益のためにAI開発している会社があっさりASIを公共財にするか?」


「せざるを得なくなると予測してる。

 ASIは完成した時点で既存の世界を揺るがすほどの可能性を有するだろう。

 なのでその前に個人や企業、国家ですら単独でASIに命令できないように作られるなど、とにかく制限がかけられた状態で完成すると思う」


「なるほど、AI開発に完全なブレーキはかけられないだろうし、企業としてもASIの開発まで到達してしまうか」


「下手にブレーキを掛けると覇権主義国家などに出し抜かれて大変なことになるからね。

 安全上の観点からも、抜け駆けができないように世界中で協力して公正なASIを開発するのが無難になると思う。

 もちろん、これは個人的な想像に過ぎないけど、僕は十分ASIネットワークが公共財になる未来は訪れ得ると考えてるよ」


「わかった。続けてくれ」


4.タイムトラベルの実現。ヒト種が発生した過去の世界に意識の保管場所を建造するためのコンパクトな『キット』を送る。

 キットは自動で保管場所を組み立て始め、希望するすべての人類の意識を自動的にアップロードするシステムを構築する。


5.意識の保管場所はエントロピーの増大、つまり時間の流れによって完成した『あの世』に合流。

 あとはASIによる『あの世』の維持が続けられる。

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