第7話 斬首
「初めて直撃したところ見たけど、やっぱやべえなこれ。どういう魔法なのかもよくわかってねえし。」
ミネラが右腕を止血しながら言う。
「・・・ミネラ、お前その腕。」
ニルがそう言うとミネラは満面の笑みで答えた。
「心配すんな! こんぐらい大したことねえよ。」
2人の元にミアとラディウスが歩いてきた。
「まだ生きてるみたいね。」
ラディウスは倒れこんだ少年に杖を向ける。
「・・・あえて殺さなかっただけだ。」
ニルはラディウスの腕を押さえる。
「こいつを見てるとなんだかな・・・。自分を見ているような気になった。俺には復讐しかない。全てを奪われたからな。こいつもそうだ。キラの野郎に仕えるだけだ。」
ニルは言う。
「・・・慈悲をかけるの? こいつは魔族じゃないわ。でもあなた、私たち人間も嫌いって言ってたわよね?」
ラディウスは揚げ足を取るように言う。
「慈悲なんてかけてない。ただ、俺と同じような境遇のやつがどうするのか知りたいだけだ。・・・勝手なこと言ってるのはわかってる。殺したきゃ殺せばいいよ。」
ニルはそう答えるとラディウスから手を離した。
「拘束魔法 -錆楔- 」
ミアは少年に拘束魔法をかけた。
「あなたの我儘にも慣れてきましたよ。これでひとまずは大丈夫です。さミネラの手当ても済んだみたいですし今度こそノヴァを助けに行きましょう。」
ミアはそう言うと森の奥を指さした。先の稲妻により森の中央部分は更地となっていた。本来キラの館があった場所も消し飛んでいた。
「あらあら、どうしましょうか。」
4人が沈黙していると砂煙の奥から人影が現れる。
「お前ら、やってくれたな?」
その男の圧倒的な魔力量により、現れたのがキラだということをニルだけでなく、この場にいる他の者もすぐに気づいた。
「キラ・・・。ノヴァをどこへやった?」
ニルがキラに剣を向ける。
「あーあの餓鬼ならここだぞ。」
キラはノヴァを鎖で繋ぎ、引きずりながら歩いていた。
「お前、なめた真似してくれるじゃないか。」
ミネラが鉞を握りしめる。ミアとラディウスもすぐに臨戦態勢に入る。
「ククッ、面白い。俺と戦う気があるとはな。特にそこの落ちこぼれ。お前は力の差を教えてやったはずだが。・・・いいだろう。お前ら人間など到底及ばぬ、魔族の真の力 -魔術- というものを見せてやろう。」
そう言うとキラはニルたちの目の前から消えた。そして次の瞬間にはラディウスの目の前に現れていた。キラの大刀はラディウスの首をはねていた。
「さあて、まずは1人目。」
キラは舌なめずりをしながら言う。