第5話 聖剣
「伝説の剣、グラディウス・・・?」
ミネラが言う。
「よく知ってましたね。聖剣 -グラディウス- 現存する実物はこの1本だけですが神話時代には一般的に流通していたものです。天地を創造したと言われる神が生きていた当時はで今とは魔術や魔法の規模が桁違いでした。強き者が弱き者をただひたすら蹂躙する世界。そこで結束した賢者たちが創ったのがこの剣でした。この剣は相手の魔術や魔法を模倣する力があります。彼らに力はなかった。しかし彼らはこの剣を使い、争いを終わらせ世界に自由の安寧をもたらしたと言われています。元はキラ様の物でしたがこの剣は魔族には扱えない。なので僕が頂くことになりました。」
少年はグラディウスをラディウスに向ける。
「まずはあなたです。」
少年がラディウスに斬りかかろうとした瞬間、ミネラが鉞で少年を吹っ飛ばす。
「風刃」
出力をあげた風刃が炎を押しのけミネラの腹を引き裂く。
「ミネラ!」
ニルは風刃を避け少年に斬りかかる。
「回避能力は中々、でもそれ以外は駄目ですね。」
少年はニルを殴り飛ばした。
「よくやったニル。」
ミネラが少年を吹っ飛ばす。
「ミアとラディウスは何もするな。魔術や魔法の模倣条件がわからん以上、迂闊に手は出せん。俺とニルが隙を作る。そこをやれ。」
ミネラはそう言うとニルを肩に乗せた。
「わかりました。ラディウス、魔力のチャージを。」
「もちろんわかってるわよ。」
ミアとラディウスは魔力のチャージを始めた。
「まあ普通はそう考えますよね。」
少年がラディウスに剣を向ける。
「光魔法 -流星舞-」
無数の光の束がラディウスに放たれる。ミネラはニルを投げ降ろしすぐに光の束を鉞で刺激し、爆発させた。
「光魔法の強みは速さです。文字通り光速で放たれる攻撃に相手は反応すらできないのが普通です。いくらためが長いと言えど今の初見殺しに対応してくるとは・・・。まあそんなあなたも今ので左手の小指薬指欠損、そして左目は失明。左半身に深い火傷をおってしまいましたね。」
少年はミネラに剣を向けて言う。
「ふざけんなよお前!」
ニルは少年に剣を振り下ろす。だがすぐにかわされカウンターを食らう。
「お前、よくしゃべるな。じゃあこっちも色々しゃべらせてもらうが、模倣が無条件で行われるなら今までのストックもあるだろうし、俺らはとっくに負けてるだろう。つまり何かしらの条件がある。だが、力のない賢者がその条件を満たしながら魔境と言われた神話時代に世界制覇なんてのは考えづらい。同じ理論から一度模倣すればその魔法はずっと使えると仮定しよう。模倣されたラディウスとお前の接点なんて攻撃を喰らったぐらいしかねえな。違うか?」
ミネラがそう言うと少年はこっくりと頷いた。
「なるほど。攻撃を喰らうことが条件なら。ニル、お前の出番だ。ノヴァが散々文句たれてたあのよくわかんねえ魔法。今なら使えるかもなぁ。」
ミネラはニヤリと笑いながら言った。
魔法は頑張れば才能さえあれば誰でも習得できるもの
魔術は個人の体に宿るもの(基本的に魔族しか使えない)