第一章・異常なアイツと日常が嘲笑
※作者の未熟な言葉を活用し沢山の黒描写が表現されています。
※作者の未熟な精神を活用し沢山の中二病が構成されています。
※作者の未熟な思想を活用し沢山の世界観が展開されています。
※設定も企画もない行き当たりばったりで書くのでグダグダな矛盾点がある可能性がありますが、生温かい目で見守って下さると有難いです。
それの適正試験があるのだとしたら僕は中々良い線にいっているのだと思う。当然それは幻想妄想程度の話であって事実は一切関係していない。そもそも行動に移していたら駄目なことだ。それぐらいの善悪は判別可能だ。そこまで僕は狂っていない。
話は変わり、狂人と常人の区別は、線引きはどこにあるのだろうか。それは認識の問題ではないか。
自分が狂っていると思えば常人で、自分が狂っていないと思えば狂人で、それは些か不思議な意味合いに思えるのだけれど、これが至極真っ当な答えに思えた。
得てして人は自分だけが特別だと思うらしいのだが、何も得ることのない何も得たことのない得た気になっているだけの僕のような人間は、特別だと思いたがっているという点だけが浮き彫りになっていて救いがない。
話を戻して、僕は結構それに向いているのだと思う。だから、つまり、僕は結構殺人鬼に向いてるんじゃないかな、なんて、進路調査のプリントを渡された時に考えていたのだ。
かといって、第一志望に殺人鬼と笑えない冗談を明記する程に僕は落ちぶれちゃいなかった。
これからきっと僕は何も行動せずにただ道の端を歩くのだろう。分岐点があろうとも端なのだから道なりに進み、気がつけば死んでいる。
そんな僕にこの先の進路など思いつくわけもなく、名前の欄に香燈春空とだけ書いて空っぽの机の中にそっと閉まった。
朝のHRにうなだれる生徒は少なくない。が、プリントが全員に行き渡ったのを担任の鶴亀が確認し、口を開くと教室内にざわめきが起こった。
「今日は転校生を紹介するぞー」
いつも通りの下品な口調で「転校生は女の子だ。男子、喜べ!」と付け加えて、僕は本当にげんなりしていた。その言葉に男子達は歓喜の声をあげているのだから低俗の極みだ。異性を意識するということが低俗だとは言わない。この予定調和のシナリオが低俗だと、捻くれているであろう僕は思うわけだ。
「入れー」
鶴亀の呼びかけに応じて転校生が教室の扉を開ける。中に一歩足を踏み入れて、黄色い声をあげたのは男子ではなく女子だった。
美形。異常に美しい。纏うオーラが存在するのなら彼女のオーラは間違いなく異色であり人外だ。ただ眺めているだけだった僕も、その強さにただ圧倒された。
そして、えらく中性的なのだった。流行のアイドル(男)といった所か。抱かれたい男NO.3以内に毎回君臨するあの芸能人も形無しだ。なぜこの普通の学校で認知されたかは分からないが、彼女の髪色は金色でミドル程度の長さ。外側にちらほら跳ねているのは仕様なのだろう。先述の通り中性的な美貌に兼ね備えている佇まい。一見では性別が分からない。物凄い人間がいたものだ。
騒がしい女子に動揺することもなく、はにかむこともなく、笑顔を見せることもなく、照れるわけでもなく、彼女はチョークを取り黒板に名前を書き始めた。
「相羽優です。最後の中学生活で短い間ではありますが、一年間楽しく過ごして沢山の思い出を作りたいので、皆さん仲良くしてくださいっ」
「「「うおおおおおおおおおおおおおお」」」
「よろしくー!」
「ヨロシクー!」
「仲良くしようおおおおお!」
今度は男子が吠えた。本当に吠えた。中性的な美形の少女が、女子を唸らす少女が普通に可愛く言葉を発したのだ。そのアンバランスさの激しいギャップに低俗はやられただろう。容易い想像が浮かぶ。
けれど、僕は少しだけ、本当に少しだけだけど、胸に違和感を抱えた。その違和感の正体を探り当てることは出来なくて暫くむかむかする胸を擦っていたけれど、やっぱり違和感は靄がかり、苦しんだ。
僕に関係はないとたかを括っていた。無関係だろうと。
なにせ僕は自分が異常であろうと平凡であることは知っていたし、そんな平凡な僕に彼女のような超特別待遇を受けて生を授かったような人間が関わるなど有り得ないと、確信していたからだ。
ところで急な話だが、言葉を分解するというのは中々に面白い。
”確信”。そもそも”確信”の意味は”かたく信じること”という物であって、決して未来を確定した言葉ではない。”確”だけを考えるならば”確かめる”が最もだ。つまり”確かめて信じ”ようと”確かめようと信じる”のだろうと、この言葉は何も見据えていない。それに”信”なんて、最も不確かな造語ではないかなんて思ったりもするのだ。
まあ、だからとは言わないが、つまりだ。物語は僕の意思と必ず無関係なのだと知った。
「どこの席がいい?」
鶴亀の問いに「どこでもいいんですか?」と問う相羽。どこでもいいわけないだろと苦笑する僕とは裏腹に「ああ」と力強く鶴亀は答えた。
教育現場に何が起こっているのかは知らないが、差別主義を真っ向から教えられると怯むんだな、と新しい発見をする。
「じゃあ、あそこ」
細く可憐で真っ白な人差し指が示したのは僕の席だ。当然のようにうろたえた。気が動転したと言っても過言じゃない。
相羽が歩き出す。その足の踏みしめる音に誰もが聞き惚れていた。そして、その足が向かう先に誰もが絶句していた。間近で見ると相羽はより美しかった。後にも先にもこんな形容詞を使うことはないだろう。それだけ美しかった。
僕を通り過ぎ、その後ろ。そこは確かに空白だった。窓際の席だ。だが、この列の最後尾は僕。そして、横並びにもなっている席順は僕の列が最後尾だった。
隣接するのは僕だけ。前後として意識しずらいが、僕だけが相羽の隣にいる。クラス中から白い目を向けられた。当たり前だ。想像は容易い。
そもそもこのクラス内に置いての僕のポジションは希薄であり透明に近い。この学校にも何処にも友達はいないし、誰かと会話した記憶もない。そんな僕に向けられた視線の想いと言えば数多くが(誰だよあいつ)だろう。そんな僕にいきなりの大脚光。大型トラック八台分のヘッドライトを用いても足りないであろう光。もうその時点でどうかなってしまった錯覚さえした。僕の道に分岐点が無くなった気さえした。
相羽は自分でその場所に空きの机と椅子を持ってきて席を造った。そして、少しだけ体を前のめりにして、呆然唖然と相羽を見る僕に顔を近づける。それだけで教室内にざわめきが走る。
「名前、なんていうの?」
こっそりとまるで二人だけの会話のように、僕だけの為だけに発された言葉に思いの外意識が重く脆く朦朧とする。
「香燈……春空…………」
「そっか、よろしくね。春空くんっ」
初めて女に下の名前で呼ばれた、と。
完璧に思考回路が停止した僕の脳内ではそんなどうでもいいことばかりが反芻されていた。
やっぱ、向いている気がする、殺人鬼。
なにせ――相羽さんを、この手で絞め殺したい。
どんな意見も聞きたいです。
誤字脱字がありましたら訂正しますので報告下さると感謝します。
・軽く後書き
今回は僕の小説を読んで下さって大変感謝です。駄文恥文ですが、いかんせん僕は文章を書くのが好きで、書いているとなんだか誰かに読んでもらいたくなってしまって、それがこの恥晒しに繋がっているのです;
僕の書く文章は、きっと少し(?)回りくどいのだと思います。同じことを何回も繰り返しているだとか、くど過ぎる程に情熱傾いちゃってるだとか、それが良いか悪いかで言えば当然限度と個人のキャパの問題になるのでしょうが(文章の構成レベルは大前提で含み)、僕はそれが好きなようです、ごめんなさい。
おっと、これじゃ自己紹介みたいですね;
小説とし、物語の後書きは次回にでも書きます。
もし宜しければ次のページを捲ってくれたらなあ、なんて。それは僕の至高なのです、はい。