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咲き乱れし花々  作者: 奏主
新芽
2/2

プロローグ「脱出」



「アルナ・マグヌスよ」


その太陽のような柔和な笑みを。僕は忘れることは無いだろう。


が、直後青い眼光と共に爆炎が突き刺さる。


「がっーーー!?」


手加減されているらしい。死ぬかとは思ったが…何とか耐え切れる。


「なんで、手加減するんです」


僕は掌から紫電を生み出して雷鳴を轟かせる。その直後、研究室が真紫に煌めいてーー。落雷をぶっぱなす。


「そこそこの火力。でも…関係ないね」


音速で落ちる落雷が落ちる場所をまるでわかっていたかのように俊敏な動きで避け、直後に研究室の一角を焼き払う規模の爆炎が飛んでくる。


「ーーーー…くっ!?」


「アベル、だったね。私は君が亜人であることを知っている。逃げなさい。その時間は確保してあげる……」


「だ、だったら…シロ…も……?し、しろ?」



そう、シロとは…隣にいた、白髪の幼女。


シロは…………いつの間にか身体から触手を生やし、顔がギリギリ原型を留めて、形容し難い怪物のように……変異している。それも、うわ言のように……



「…………ころして…くださぃ……」等と呟きながら。


「……シロ……っ」


赫い髪の少女ーーアルナは目をふせながら……

シロを貫く。


「シロぉ!!」


僕は身を裂かれたかのような痛みを胸に感じる。この数年間、彼女としか…話せていないのだ。


「アルナさん。どうして……」


「死を心から望まないと…ああはならないよ」


そうだ、あの怪物はなんなんだ?本当に。本当にあのシロなのか?


「…………どういう、事ですか。あの怪物は…なんなんですか!?」


「ーーーー絶望だよ。自分の負の感情に因子が反応したのさ。早く死にたい、早く死にたい、ってね。でも彼女もきっと『戦闘』しなきゃ行けなかったんだろう?現実との板挟みで、負の感情という解釈が魔術回路を通って肉体に伝わった結果。だったかな。ーーアイツが言うには」


アイツ。


「アイツ……って?」


僕は気になって問い掛ける。


「ははっ、気になるのかい?…こんな、クズの色恋沙汰にさ」


……僕は、シロに対して慟哭したことを少しだけ悔やんだが、それでも止まれない。


「…クズでは無いです。……あれから戻す方法は…無かったんですよね?」


「……うん。あの子が自力で希望をみいだせなきゃ。治ることは無いさ…そしてアレを……『憎悪変異』って言うんだ。覚えておきな…きっと、その瞬間が来るからね」


その瞬間が来る……か。


「……無いですよ。僕はここで死ぬんです。……数年間、あの子と話し続けれただけでも…もう満足ですよ」


すると…燃え上がる拳が僕の頬をぶっ飛ばす。僕は瞬く間に壁ごとつきぬけて都市部の端に投げ出される。


「……な、なんなんだ今の威力は……」


「………………」


アルナは、瞬く間に僕と距離を詰めて。こう言い放った。


「ーーーー本当に死にたいのか?本当に死にたいなら…私がお前の罪を背負うよ。私が……お前を殺す」


僕は……この人の背負う何かの重さを。理解した。


「……っく……ぼ、僕が今更、こんな場所から抜け出したって……意味がないじゃないですか!」


そうだ。僕はこの都市で肉を捧げて人間に貢献する奴隷としてしか……もう生きていけない。どうやったって、僕はそう作りかえられたんだ。


「……んーん。キミはきっと。これから成長出来る素質を秘めてるとみた。私さ、勘だけは超自信があっから。ーーほら、行きな。君だけでも生きて……いつか人を。亜人を…救ったげて」


そんな言い方だと、まるで死ぬみたいじゃないか……。


「あ、あなたは?」


彼女は無言で、背を向けて……赤を靡かせながら


飛び出していく。















「粋なこと、してくれたじゃない?」


にやりと微笑みかける。クズ野郎が私の前に居た。


先程の青髪紫眼の青年を助け出し、脱走させたことを言っているのだろう…。


「……はっ、お前の居場所は嫌だとよ、ルカナ・ソフィアミィス」


私は指の先に獄炎を纏わせて…。クソ野郎へと向ける。


「…………そう。楽しみね……また、会う時が」


「ああ?何言ってやが」


私がその言葉を言い切らないうちに……そいつの姿は忽然と消えやがった。


「……くそっ……逃がした!……どうなってんだ……ありゃあ……」


……転移魔法?亜人じゃない奴が使えるはずが無い。


私の知っている異能チップは五枚しかないからな……。どちらにせよ知識不足。


「…ち、あーあ……アイツの元に…帰るか……心配しちゃってるかな」


ふらふらと、黒髪赤眼のイケてる男を夢想しながら……。


「。オルゼ……今帰る」


転移魔法を使って、現場脱出したのだった。















「…うっく……こ、ここは……何処」


歩き回ったあと……僕はぶっ倒れて、行き倒れたはずなのだが……何故生きている?というか知らない天井があるぞ。木造建築の素朴な家の中…………その天井は真っ青なランタンで照らされていた。


「……本当に何処なんだろう……此処」

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