入学後
入学式は無事に終わった。私の名前も出てくることなく、終わった。
「みてみて、わたくし達、一緒のクラスです!」
「まぁ!これからも宜しくお願い致しますね」
あぁ、そういえばクラス分け表があったはず……基準は実力。Z、S、A、B、C、D、E、F……と問題児クラスΩの9クラスで、今年の入学生は379人。首席だったらZクラスだと思う。
そう思い、Zクラスの名簿を見るが『ハル・レッシェルトン』の名前はない。……もしかしてAクラス?目立たなさそうだからいいけど……しかしA、B、C、D、E、Fに私の名前はなかった。……まさか…っ
「今年の首席ってΩクラス?なにやったのかな……怖い」
Ωクラスは12人。出席番号は12だ。
「Ωクラスの方ー!こちらへきてくださーい」
クラスごとに招集されるようになった。あーあ……1番目立つクラスだ……
◇◇◇
「さぁ!今年の1-Ωの担任はこのアタシ!デューバス・ディゼルアルだ!」
キャラの濃い担任だ。ギラギラの服、金髪の髪、大きい声。この人、苦手だ。
「まず、1人ずつ自己紹介しようじゃねぇかぁ?はい、1番!!」
「はーい!!私、ニッシェイル・アーゼマンタ!伯爵家!!特技は、殴る、蹴る!よろしくねっ!!」
一人目からキャラ濃い……
「次僕ー?かわいい子大好きハーリャイル・エリーマドだよ!辺境伯だケド……彼女いつでも募集中だから!!」
チャラい……
『こんにちは。マーガレット・クリャースレンです。諸事情により、機械音声で会話しますが宜しくお願い致します。』
……もうやだこのクラス
◇◇◇
その後、みんなの自己紹介は適当に流した、殆どの人が問題児ということは何となくわかる。……私の自己紹介はもうすぐ。友達作りたくもないから結構冷ための自己紹介で……冷たすぎたらハーなんちゃらとかがアピールしてくるかな……?いや、別に対して可愛くないか。なら冷たくても……
「こんにちは。シルブィエース・ラサイアです。子爵家ですが───」
私の思考は一気に止まった。シルブィエースって……私の故郷の……父さんの主の…子供じゃなかった??
家族への思いが一気に溢れる。もうやだ。疲れた。モチと遊びたい。ミレルはお仕事頑張ってるかな?父さんはみんなを困らせてないかな?母さんは……元気かな?
「おい。次19番。さっさとしろ」
「え?あ……ハル・レッシェルトンです……」
そういい、私の自己紹介を終えた。根暗キャラでもよかったね。
「んだよ。それだけかよ。……じゃ、1-Ωはこの19人でやっていく。侯爵家から男爵家までいるが、ここでは上下関係は無し。平等だ」
……あーあ。慣れない貴族社会、孤立している家族関係。質も数もない友達。家族に……父さんに、母さんに、ミレルに、モチに……会いたい
「これから仲良く……とは言わないが学校生活辛くないぐらいに仲良くしとけ。じゃ、終わる」
そう言って、先生は教室から出ていった