入学式
王立魔法学園『アスタナシア』は、貴族の魔力もちの教育の為に作られた国王陛下が理事長の超セレブ校。どんなに凄い魔力もちでも平民の入学は許されておらず、貴族との養子縁組がされることも多い。私、ハル・レッシェルトンもそうだ。親孝行も出来ずにこの力を国に使うためにアスタナシアに来た。推薦組ではなく受験組で来て、小学生でもわかるような問題をとくと首席になっていた。
「あの人がハル・レッシェルトン様?首席でしょう?」
「ネーデイル会長の妹だったはず。兄妹揃って綺麗なお顔……」
「ツンってしてて可愛くないな」
「まじなー」
あぁ。鬱陶しい。称賛も、罵倒も、何もかも……こんな場所……来たくなかった。
レッシェルトン家の養女になって早一年。本当の家族と離れ、新しい家族に11歳で馴染めるわけがなく、レッシェルトン家で完全に孤立している。父は仕事。母は病死。唯一兄はまともだが仲良くなる気もない。こんな感じなのでメイドからも色々言われるようになってきた。
「アスタナシア第162回入学生はこちらへきてくださーい!」
係の人から呼ばれ、私も含めゾロゾロと移動していく。やっぱり、校舎広いな
◇◇◇
『第162回入学生、入場』
パチパチパチパチ
盛大な拍手と壮大な音楽で迎えられる。うるさいなぁ。こういうの
前の人に合わせゆっくり歩いていく。席の前に立ち、『入学生、着席』と言われ座る。うん。完璧。
開会宣言や、学校長の式辞、来賓の祝辞、校歌斉唱などをし、いよいよ兄、ネーデイルの挨拶だ……が。聞くのはもう疲れた。あくびしたい。眠い
「みなさん。ようこそ、王立魔法学園『アナスタシア』へ!この学園では魔術はもちろん、社交性の向上、将来への希望、知識を大いに高めれる学び舎です。初めての人、初めての学校、初めての教師方で、不安もいっぱいかと思います。しかし、ここでは教師方、僕達上級生がしっかり1年生のサポートを──」
あーあ。めんどくさい。寝ちゃおうかな?どうせ後ろの方だし。と思い、うとうとし始めたが
「実は僕の妹も入学しましてね」
「!?あんの腹黒兄貴が……っ!」
寝ようとしたのバレたか……もう眠気飛んじゃったしいいや。寝ませんよ
「結構人付き合いが苦手ですが首席をとって……」
いつまで話すのあの人、いつまで話すの??
「──────です。それでは、寝ないでねハル」
あーあ。名前まで晒された。ハルって結構珍しいんですが??一発でバレるんですが??
私は決心した。みんなの記憶を消そう。一部分だからすぐ終わるはず。ついでに『ハルは違う』って思考も。
「……よし」
バレないように魔術を組み立てていく。脳内侵入、記憶消去『寝ないでね、ハル』。思考変化『ハルってだれ?』、記憶操作完了。
(ふぅ……全員分終わったはず)
私は、何にもよらずに一人で学校生活を終わらせるんだ。
学園物がかけたサクラヅキです!お兄ちゃん意地悪ですね!ようやく、年をコロコロ変えなくて済むよ……
さぁ、入学式が終わりました。クラスメイトは誰なのか!?