魔力もち
「ま、魔力もちって……なんですか?」
「……こういうことだ。」
領主様が指をクルッとすると炎が出てきた。俺も祝福とかはできるけど……てか…火を起こすのめちゃくちゃ大変なのに……木を集めて、火打ち石で頑張って火種を作って、火を起こしてた努力は……あんなに簡単に……なんか悔しいな、あれ
「魔力は祝福とは違う未知の力。魔力が多い子供は、その力が不安定でよく熱をだし、空気中に少しだけ含まれている魔素がその子のもとに集まるんだ。だからハルのまわりは冷たい。私の子もそうだ。……そして、これは私が聞いただけの話だが、魔力が多い子の瞳の反対色に見えるのは世界を揺らせるほどの力が秘められているらしい……」
ハルが……そんなに…
「ハルを貴族の養女に出したほうがいいだろう。」
「なっ……」
養女だって?ハルが?貴族の?バカな……夢だと言ってくれ。早く覚めてくれ。こんなの……最高神様は……
「なんて……酷い試練を与えてくださるんだっ……!」
◇◇◇
「貴族の養女…?」
朝に比べだいぶ熱が下がり、元気になってきた私に、泣きそうな顔で言ってきたジュファーがいた。エーリアの顔は青ざめ、ミレルは意味を察しうつむいた。私は……不安だった。私がすごく凄い魔力もちで、貴族の養女にならなきゃいけなくて、なんで……前世も現世も親孝行をさせてくれないんだろう。なんで……なんで……
「なんでぇっ…!」
最初に泣き出したのはミレルだった。大粒の涙を流し、「なんでハルが!」とずっと泣いていた。私も悲しかったけど泣けなかった。泣かなかった。私が泣いたらもっと悲しくなるんじゃないかって、私が泣いたらもっと辛くなるんじゃないかって、だから……
「ごめんね…っ」
そうとしか言えなかった。
私が養女に出されるのはレッシェルトン侯爵家。凄い名家で、親が私と同じ髪色だからと、選ばれたそうだ。顔合わせまでの間、貴族の喋り方、振る舞い方、音楽や、字、芸術を叩き込まれた。家族と別れる最後に安心して、笑顔で送ってもらえるように。
◇◇◇
きらびやかな服、丁寧に結ってある髪、光り輝く魔力制御の腕輪。11歳の私。今日はレッシェルトン家との顔合わせで、レッシェルトン領に来た。
「こちら。魔力もちの養女、ハル・レッシェルトン様です」
「よろしく」
いつの日か見た顔もあったがもう昔のこと。
「これから宜しくお願い致します。最高神、ウィシュテーイル様による運命の出会いに感謝を。」
そう、にっこり笑う。これが私のラストスマイルなんだ。
↑ハル幼少期イメージ画
さぁ、序章というかプロローグというか家族編というか……終わりましたよ最初が!そう!この物語は学園ファンタジー!ようやく学園ものがかけます!!いよっしゃ!ハルちゃん、せっかく仲良くなった家族と別れ、親孝行出来ずに終わってしまいました。悲しいですね(だれがそう書いたんだよ)レッシェルトン家にいた『いつの日か見た顔』の人ってだれかわかりますか?図書館でミレルに字を教えてくれた3歳だった彼です!ちゃんとフラグ落としたはずですが……フラグの落とし方がマジで下手ですね……
さて、長くなりましたがいよいよ主人公が学園に行きます!そのため!また時間飛びますごめんなさい!タイトル回収も出来て、思う存分青春させようぐへへへへ(((殴
さぁ、波瑠とハルは幸せになれるんでしょうか??今後も宜しくお願い致します!