優勝など望んでない
やっぱり、暴食無効化スキル持ちの人のところで負ければよかった。負けれるのはあそこしか無かった。そこからというもの、私と戦う人は一気にリタイアしていき準決勝まで来てしまったのである。
「ハル!次は私と勝負だねっ!いやー負けそうだけど頑張るよ!!」
「いいなー私も戦いたかったなー」
フランチェスカは4回戦目で負けてしまった。シルヴィエースはというと……
「判断間違えたぁ……」
「どんまーい」
試合で、守りを固めるか、攻撃をするかの究極の2択で、守りを固めることを選び、見事ニッシェイルにその守り打ち破られた。のでハーリャイルに慰められている。
「まぁ……誰もあそこでシールドを打ち破られるとは思いませんでしたよ……」
「だよねぇ!?ハルちゃん!!」
「「「ハルちゃん??」」」
こいつ名前呼びしやがったよみんなの前で……いつもは苗字なのに……!誤魔化す方法……誤魔化す方法……!!!!
それでふと思いつい着くものもなく。
「なぜ急に名前呼びを?」
と、ニッコリ笑ってとぼけることにした。
「何って、ハルの友達でしょ?」
「……え、なんで……お義兄様が……」
私の作り笑顔は一瞬で消える。そこに居たのは私と似た髪色のイケメンっぽい腹黒ドM兄貴だった
「せ、生徒会長さん……!」
「すげー……」
ハーリャイル。シルヴィエース。その人はただの腹黒ドM兄貴だよ。憧れるのも崇拝するのもよくないよ。
「はいっ!サインください!!」
「いいよー」
「お義兄様。なんなんですか?というかお義兄様の事だからまだ試合が残ってるのでは??なのに何故1年フロアに???帰ってください。早く帰れ」
「あははー酷いなー」
しまった。まだ罵ってしまった。なんで私はドMを喜ばすようなこと……あれ?私ってSなのかな?
「優勝なんて面倒臭いから1回戦目でリタイアしたに決まってるじゃん」
「えー嘘!!勿体ないですよ!」
1回戦目でリタイア……その手があったのか……
そんな簡単なことにも気づけずに少しショックを受ける。というよりこの人も優勝面倒臭いのか!!
「“優勝目指している”妹の応援に来たんだよー」
……この人ドSなわけ?ドMなわけ??
「次の試合、リタイアしますので」
「えっ、嘘!?ハルは私と戦いたくなかった……?」
「うっ……」
いつも大型犬のように元気なニッシェイルに、耳としっぽを項垂れさせているかという位シュンとされたらこちらの対応が決まる。かといってここで引けば……いや、ニッシェイルの強さにかけるべき???ん??
「そうだよね、私はハルの暴食にすら勝てないもんね……」
「そういうことでは……」
「うん……わかってる。私弱いもん……シルヴィエース倒せたのはたまたまだよね……」
「あぁもうっ!わかりましたよ!!リタイアは致しません!」
結局、大型犬もといニッシェイルに負け、リタイアは不可能になった。入試次席であるシルヴィエースに勝ったニッシェイルの強さに賭け、私は彼女との試合である準決勝の場へと向かった。
「ハルっ!容赦しないからね!!」
「はい……」
勝ったら決勝戦という重たいプレッシャーを抱え、彼女と向き合う。真剣な瞳には“勝利”の色がこもっていた。
(ニッシェイルは多分物理型……軽く避けながら当たっていこう。)
「『フレイムバースト』っ!!」
「え?」
バァァン!!
フレイムバースト……炎の爆発。あの子、物理型じゃないの??思いっきり炎属性の魔法使ってるじゃん……?
「ふっふっふ〜驚いた?驚いたでしょ!!私、物理型って見られやすいんだけど、フツーに魔法攻撃の方が勝負で使うの!あ、好きなのは殴る蹴るね!」
……完全に見誤ってた。物理型も暴食発動するとはいえ、魔法攻撃よりも吸収しにくい。魔法攻撃は私にとって天敵なのだ。しかし……
(私に魔法攻撃効かないって……わからないわけないよね?)
一見頭の悪そうに見えるニッシェイルだが、普通に頭は良く、Ωクラスを頭が良い、頭が悪いで分けると頭が良い方に普通にいける成績を持っている。……決して実技がダメな訳では無い。シルヴィエースや私。他にも色々、実技面で優秀な人がいるので溺れてしまうのだ。きっとZクラスならトップを狙えただろう。
彼女は、何をやらかしてΩクラスに入ったっていうの?




