叱責
誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。
イチジは机を挟んで座っている男に話す
「どうやら処分に失敗したようだな」
「はい、申し訳ございません」男はただ深く頭を下げるほかなかった。
イチジは身を乗り出しておt子に顔を近づけて言う。
「前にも言ったようにこれ以上処分に手間取るのは面倒なんだ。まかり間違っても私が処分するような事態は二度とないようにしてくれ」
「承知しております」
少し落ち着いたのかイチジはソファの背もたれに寄り掛かった。
「ところでカメラに公安の顔は映っていたか」
「いえ、それが侵入された時間帯だけ途切れていまして」
そこまで言うとイチジは話を遮って少し声を荒げる。
「処分もできないどころか顔の確認すらまともに出来ないのか私の部下は」
「申し訳ありません」また頭を深く下げる。
イチジは息を大きく吸って何とか落ち着くように努める。
「その公安はもう能力が発現している可能性が高い。今日入会するクラブメンバーを全員調べれば判別できるんだろう」
「それが入会予定の名簿から今日のページだけ抜き取られていまして、TCCを着けていて招待状を持っているものであれば誰でも通れてしまう状態でして」
今度も話を遮るイチジであったが、その顔は怒ってはおらず無表情であった。
「もう分かった。私の人を見る目もだいぶ濁ってしまったようだ。身近にこんな無能な部下を置いてしまっているのだから」
「お待ちください。挽回の機会を。必ず公安を処分いたします」男は立ち上がって慈悲を請う。
「まずは君を処分しないといけないとはな。君は今日をもって脱会とする」
まるで男の声が聞こえないかのように振る舞うイチジは脱会を告げ、ソファから立ち上がる。
「ペアキャンセル」
イチジが呟いた瞬間、男の時計のベルトが吹き飛ぶ。
男は声も出せず苦悶の顔をする。その体からは煙が上がる。
それは瞬く間に体全体に拡がり、確実に男を小さくしていった。
煙が消える頃には男は完全にいなくなっていた。脱会が完了したようだ。