表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/58

容赦しない

誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。

 避けられなかった。

 顔面にキックは直撃し、クウカはふっ飛ばされる。

 地面に叩きつけられ、目を一瞬閉じてしまったのがいけなかった。

 強烈なキックが襲う。腹や脚を何度も。

 かろうじて顔は腕を組んで守るが、あまりの衝撃に骨が揺れる。


 (くッ……今だッ!)

 隙を突いて身体ごと転がるようにして攻撃を避ける。

 飛び起きて、上空を警戒する。

 

 しかし、ミシロは再びジャンプすることはしなかった。

 「普通の人間なら最初の一撃で頭部が粉砕されてもおかしくない。でも、君は僕の攻撃を何度も受けながらピンピンしている。やっぱり普通の時計じゃないんだね」

 クウカの左腕を指差す。

 「せっかくだから僕の時計の能力を教えてあげるよ。僕のはね身体を纏う空気の流れを自由自在に変えることができる。ジャンプの原理や強さもそういうことだ」

 クウカはただ黙る。

 「さて、君の時計の能力も教えてくれるか。確か熱を利用するんだったかな?」

 ミシロのポケットからは微かに光が漏れている。

 「私の能力が何であろうと、あなたには関係ない。私が与えられる猶予にも限界がある。あなたの態度次第だ。時計を渡してきた者に利用されるのか、悔い改めて普通の生活に戻るのか」

 

 さっと顔が強張る。

 「そりゃ答えはこっちだよッ!」

 空を切る音がして、ミシロは大きく飛び上がる。

 高さはさっきの比ではない。月明かりに小さい影が浮かぶ。


 ミシロは上空で思案する。

 (あいつの能力が熱の利用だとすれば、十中八九で周囲の空気か僕の身体を熱するだろう。でも無駄だ。僕の能力には、周囲の空気を比率は同じままに複製できる力もある。どれだけ熱しようがすぐに冷却できる僕の前にあいつは無力)

 屋上の黒い影にアイコンタクトをする。

 ポケットの光が消える。

 眼下にクウカの姿を認める。あと一秒もすれば接触する。

 (ああ、これで終われるんだ)


 クウカの右手にはライターが握られている。

 「自ら不幸な選択をする相手にはこちらも容赦しない」

 

 蓋を弾き、炎が吹き上がり中から剣が現れる。

 

 互いに目が合う。クウカの顔は険しく、ミシロは恐怖の表情になる。

 (まさか…やめろおおおおお!)


 剣はミシロの脚を貫いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ