転機
誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。
「待ち合わせは八重洲側ね。ちょっと急がないと」
電車を降りて、急ぎ足で改札に向かう。
そのまま地下街に降り、人気のない通路に足を踏み入れる。
彼女の視線の先には2人の男がいた。
男たちもまた彼女に気づく。
「あの、クラブの方ですか」
「そうだぜ。ていうことはあんたが」
「ヤマワカです。時計を受け取りに来ました」
「そうか。俺はキアタ。んでこっちがアカツキだ。じゃあさっそく時計を渡したいところなんだが、先に金を見せてくれないか」
ヤマワカはカバンから銀行名が印字された封筒を取り出す。
「こちらです」
封筒を開けて中の札束をまじまじと見ながら、両手はしっかり札束を包み込んでいる。
「うお、俺こんな大金持ったの初めてだぞアカツキ」
「俺もないよ」
アカツキはに向き直って箱を渡す。
「代金は確かに受け取った。これが約束のものだ」
箱を受け取ったは目を輝かせて「あの、ここで着けても良いですか」と問う。
「そりゃあ構わないけどよ。それを着けると少しの間うごけ」
キアタが言い切るまでにヤマワカは箱を開けて腕に巻きつけるまでの一通りの動作を終えていた。
次の瞬間、はその場に倒れる。
「最後まで話ぐらい聞けねえのか。どうする。放置するわけにもいかねえよな、アカツキ」
「そりゃあ幾ら人通りが少ないと言っても倒れてる女性がいたら騒ぎになるな」
「だよなあ。しかたねえベンチまで運ぶか。俺は頭支えるからアカツキは足支えてくれ」
「はいはい」
2人が向かい合わせに立つとアカツキの後ろから声がする。
「あら、ベンチまで運ぶ必要はないわよ。3人ともここでいなくなるんだから」




