赤光
誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。
「飲料に纏われながら死ぬ。悪くはないですね。死後の世界でも渇きをおぼえることはなさそうですから」
その直後、自販機の残骸から上がる煙の中から缶が吹っ飛んでくる。
「ぶはぁぁ!」
缶は駅員の顔面に直撃し、衝撃で中の飲料が水風船を割ったように顔にかかる。
「ジュースを買う時間をくれてありがとう。にしても真っ白なパーカーを汚されるのはやっぱり気分が良くなくなるな。だからってお前にクリーニング代を請求するつもりはないけどな」
アカツキはそのまま前傾姿勢になって、電気を纏い一気に走りだす。それは空間を横切る雷のようであった。
(ダメだ!間に合わないっ)
駅員は銃で応戦しようとする。しかし、缶の衝撃のめまいと飲料が顔のかかったことで視界が極端に悪い中では無意味だった。
アカツキは駅員に雷撃のような一撃を与える。駅員はその場に倒れる。
直後にキアタが目を覚ます。
「ハッ!敵はどこだ。ってアカツキ、お前何でそんなに汚れてるんだ」
「ようやく起きたか」
アカツキは今起きたことを説明する。
「何て野郎だ。不意を突いて襲うなんて卑怯な奴だ。俺は喧嘩騒ぎは起こしたことは悪いと思っても正々堂々喧嘩したことは誇りに思ってる。じゃあ、こいつの時計ぶっ壊してやろうぜ」
「壊す?どういうことだ」
「さっきは言えなかったが俺の時計の能力は自分以外の時計をぶっ壊す能力なんだ」
「説明になっていない気がするんだが」
「ううん、言葉で説明するのは苦手だからな。まあ実際に見てくれよ」
キアタが駅員の時計に触れると、キアタの時計の針と駅員の時計の針が赤く光り出す。
次の瞬間、駅員の針が大きく光りパッと消える。
「ほらこの通りだ。針が無くなった時計からは能力も無くなる。着けてた奴も晴れて一般人にお戻りという訳だ」
凄いだろと言いたげな腕組みをしながらキアタは話す。
「待てよ。じゃあ以前にも針を消したことがあるのか」
「ああ。何だ。もしかして俺の能力を知ってもっと話を聞きたくなったのか。しょうがねえなあ。今回は特別だぞ」




