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ペア

誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。

 「な、良いだろ」

 男は強くアカツキに迫る。

 (この調子だと断るのは面倒だな。ここはこの人と組んでおくか)

 

 「ああ、もちろん。よろしく」

 男は子供が喜ぶのに似た笑顔になる。

 「俺はキアタだ。名前は?」

 「アカツキだ」

 「そうか。アカツキか。よろしくな」


 周囲の人もペアが決まり始め、早くできたペアはすでに小柄な男の元いた。そこに次々とペアが並び列を形成しだす。アカツキ達も例に漏れず列にならぶ。

 

 「ところでよ、さっきの会長の話どう思った」キアタの方から話しかけてきた。

 「まあ、良い話だとは思った」

 

 キアタは少し真面目な表情になって

 「そうか。俺は感動した。実はな俺はつい最近までムショに入ってたんだ。昔っから悪さばっかりしてきちまってよ。高校卒業してもロクな職にも就かずにフラフラ生活してて、ある日ムシャクシャして人を殴って喧嘩騒ぎになって、あっという間にムショの中だ」


 「そうだったのか」アカツキは少し大げさに相槌を打つようにした。

 (確かに話し方から染めた髪、身体中に着けたアクセサリー、上下の服装から想像はついたが。まさか刑務所から出たばかりだったとは。しかし、これはチャンスかもしれないな)


 イホカは思案するアカツキに気づきもせず、喋ることを続ける。

 「ああ、だが今は違う。なんてったって俺は選ばれたんだからな。ムショを出てから数日は、またあても無い生活が続くと思っていたが、この時計をもらったときは飛んじまうほど嬉しかったぜ。この時計と一緒に俺は絶対しあわせになってやる。つうことでいつまで一緒かは分からないが、当分はよろしく」

 「こちらこそ。だが、これも何かの縁だ。連絡先を交換しておかないか」

 アカツキはポケットからスマホを取り出す。 

 「お、そうだな。だけど、わりぃ。俺スマホ持ってないだわ」

 

(やはり刑務所から出たばかりだとスマホの契約はまだ済んでないよな。公安のスマホを渡せば重要な情報源として活躍してくれるだろう)

 「え、ああそうなのか。だったら俺が用意しようか」

 「ええ、良いのか。なんか悪いなあ。ま、恩に着るぜ」

 アカツキの思惑には少しも気づかないイホカであった。

 

 そんな話しをている間に列は進み、ちょうどアカツキ達の番になった。

 小柄の男が「次の方々どうぞこちらへ」と言った。


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