出口
誤字脱字など有れば指摘していただけると幸いです。
通路を出た先には雨水貯留槽ほどの広さの空間があった。
「東京駅の地下にこんな空間があったのか」
と独り言をつぶやいたアカツキの視界の端から人が現れる。
アカツキが振り返ると今しがた出てきた出口の隣から出てきたようであった。
(ほう、どうやら俺が入ってきた入口以外にも何カ所も入口があるということか)
突如、アナウンスが流れる。
「立ち止まらずにお進みください。また、ゲートを通過する際はご自分が出てきた出口と同じ番号を通過するようお願い申し上げます」
(番号?ああ、あれか)
アカツキが見上げた先には9と壁に大きく描かれていた。
アカツキはもう一度振り返ってゲートへ向かう。
ゲートはさながら駅の自動改札であった。ただ、切符取り込み口やICカード読み取り部分は付いていなかった。
アカツキより先に来ていた人たちは立ち止まりもせず、ただ通過しているようだった。
(天井のカメラで顔を照合して、改札部分が探知機の役割をしているといったところか)
アカツキも先人に倣って通過する。
通過した先にはパイプ椅子がズラッと並んでいた。奥には朝礼台があり、演説できるようになっている。
(まるで入社式だな)
席は大部分が埋まっており、アカツキは後方に座ることになった。
それからそれから数分もしない内に上はブドウ色に下は紺青のスーツを着た男が朝礼台に上る。
「みなさん、96クラブへの入会おめでとうございます。960人の選ばれたクラブメンバーとお会いできて大変嬉しく思います。これから少々長い話をさせていただきますが、みなさんのためになる話をしますので退屈にはさせませんのでご安心ください」




