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02

主人公の名前なし状態で話が進んでおります。

「私の魂が回収できないってどういうことですか?」

『死ぬ運命だったのはあなたではなかったからです』


私の質問にあっさりと球体は答えた。

(どういうこと? 私が死ぬ運命じゃなかったって。それなら私はどうして……)

そこまで考えて私はハッとした。


「死ぬ運命だったのは、私の双子の妹だったというの?」

『そうです。けど、実際に死んでしまったのはあなたになりました。回収できる魂は決まっています。あなたの魂は回収リストにはなかったので回収不可なのです』


(そんなことってある?)

妹の代わりに事故に遭って即死までしてしまった。

それなのに私の魂は回収できない?

(なによ、それ。私は……)

死んでからも私の居場所はないっていうの?


『回収不可の魂だからと言ってこのまま魂を放っておくことはできません。魂は肉体に入っていないと駄目なのです』

「だから転生をすすめるの?」

『そうです。あなたが人間として生きていた世界では再び生きることはできなくても、異世界であればそれは可能となります』


そんな都合のいい話があるとは思えないけど。

「回収不可の魂が転生を希望しなかった場合はどうなるの?」

『数時間以内に消えてなくなります。なくなった魂は2度と復活することはできません』

それはつまり。

(私だったことがきれいさっぱり無しになるということ)


『こちらとしてはあなたの魂を消し去るなんてことはしたくないです』

「……何故ですか?」

『珍しいくらいに真っ白な魂なのです。……何色にも染まっていないということは清らかな証拠です』

(…………。遠回しにお前は前世で喪女だったんだなと言われている気がするのだけど?)

彼氏いない歴イコール年齢っていうパターンでしたけど何か?

(って、誰に聞いてるのよ)


私はここまでの話を聞いて考えてみた。

(転生しなかったら私の魂は消えてなくなる)

私という存在そのものがなかったことになる。


(……それでもいいんじゃ……)

そんな思いが浮かんできた私の考えを改めさせるかのようにまだ前世の姿をしていた私の心臓部分から光が溢れた。


それはまるでまだ消えたくない!! と魂が私に訴えているかのようだった。


「……。転生するのは人間以外でもできますか?」

『!? は、はい! もちろんです!』

「チートもつけてくれるんですか?」

『問題ありません! 希望通りにできます!』

「ここでの記憶はどうなりますか?」

『転生が完了した後、きれいさっぱり忘れます!』

「できれば、前世の記憶も忘れて転生したいのですが」

『そ、それは……』

前世の記憶の件になると急に歯切れが悪くなった。


「……難しいですか?」

『魂の浄化をしない状態での転生になるため、前世の記憶を完全に消すことは不可能ですが、ぼんやりとならできます!』

(仕方ないのかな)

それくらいは妥協しよう。

こちらの希望を叶えてくれるようだし。


「だったら転生します」

『あ、ありがとうございます! よ、良かった!』

球体は心底安心したような声でそう言った。


(そんなに安心されてもね)

私がそんな風に思うのも無理はない。

だって実は私は死ぬ運命じゃなかったんですよ。と言われた身だ。

ここでのことを転生してから忘れるのだとしても、モヤっとした気持ちになった。


『では、人間になりたくないのであれば何に転生しますか?』

「……………………」

改めて聞かれると何も思い浮かばないことに気がついた。


「人間でなければいいと思っていたけど。何になりたいかまでは考えてなかったわ」

『そうですか。では妖精になりますか?』

「妖精……?」

『妖精の枠なら空きがあるようです』

異世界はなんでもありなんだなとそんなヘンな考えが浮かんでは消えた。


私は何かを言おうとしたけど、急に話せなくなった。

『ああ! 時間になったようです! では妖精に転生させますね!』

私の意思とは関係なく私の転生先は妖精に決定してしまった。


『それと。人間にはなりたくないと言っていましたが、あなたが希望すれば人間になれるようにしておきます。人間になるためには条件がありますが』

(勝手なことするな!!)

球体が言った言葉に対し大声でそう言いたかったけど、すでに言える訳もなく。


『では幸せな異世界生活を』


その言葉を聞いた後、私の意識がぷつりと途切れた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。


次回は双子の妹の現実から双子の姉のある日の過去話となります。

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