⭐︎⭐︎⭐︎これさえ読めば全部わかる! これまでの蜃気楼の岬から(24〜37話編・下)⭐︎⭐︎⭐︎
……よし。もう大丈夫。
早速続きを語るとしよう。
【27話後半、29話〜31話、33話後半】
ここからはシャヴィさんルートだ。
仲間達を逃した盗賊のお頭シャヴィさんは、例のイカれ騎士団長と戦う。戦況は、殆ど互角。でもキチ団長は剣術に秀でてるぶん、シャヴィさんはちょっとだけ劣勢だったんだ。「あれほどやり辛ェ相手は久しぶりだった」って苦い顔してたな。
だけど、シャヴィさんはとっておきの魔法を放って、なんとか敵を戦闘不能の状態にしてみせるんだ!
仇を取って、心底つまらなそうに戦場を後にするシャヴィさん。だけど、その直後に物凄い異変が国中で巻き起こった。巨大な魔法陣が、遥か上空に出現したのさ。
その後、シャヴィさんの戦いをこっそり見ていたウィルは、なんだかんだで本人に見つかってしまう。でも、ここらへんの話が曖昧なんだよな。なんか、シャヴィさんとウィルの言ってることが一致しないんだよ。齟齬ってやつかな? 気になる人は、<三十話辺り>を辿ってみてくれ。
※※※※※
シャヴィさんとウィルは、料理屋に向かう。そこに居る僕とミサを連れてアジトに戻るためにね。だけどその途中、二人は城下町の妙に静かな様子に違和感を覚えるんだ。
料理屋に着いて、ウィルは中に入る。
僕たちの顔を見た時のぎこちない言動は、よく覚えてるよ。
ウィルがミサの異変に気付いたのは、割と早かったと思う。
訊かれるまでもなく、ミサは生気を失ったような顔で告げたんだ。
自分が、他人を殺めてしまったことを。
※※※※※
……これには事情があるんだ。カンタンに説明すると、上空に現れた魔法陣は国中の人間に恐ろしい幻覚を見せるってもの。すると国中がパニックになって、暴徒化した騎士達や大人達が暴れる地獄みたいな場所へと変わり果てる。
ミサも彼らと同じく魔法の効果を受け、他の人を魔獣と見間違えてしまい……攻撃してしまったんだ。
そんな中、僕たちを匿ってくれた人が店主さんだった。店主さんはすごい人で、自分で編み出した魔法で幻覚を打ち消せるんだ。
店主さんは咄嗟の判断で、怯える僕と殺戮を繰り返すミサを正気に戻してくれたんだけど…………そこに広がる光景と、自分の手に付いた返り血を、彼女は目にしてしまったんだ。
店主さんは自分が見た一部始終をウィルに話したんだけど、なんか、アレだったな。ウィルの顔もミサの顔も、とても見れたものじゃなかった。僕はどうして良いのか分からなくて、挙動不審になってたかも。
※※※※※
店を出た後は、早速シャヴィさんと対面だ。
……思ってたより数十、数百……数億倍優しくて頼り甲斐のある人だった!!
だって、どうでも良い他人である僕たちに気を遣って、元気付けようとしてくれたんだ。僕たちを助けるために、旅の仲間に加わるとも言ってくれた。
ウィルは色々と疑ってたけど……僕はすごく、ものすごく嬉しくて、心が軽くなったんだ。
城下町を後にした僕たちは、なんと、異形との戦いで絶体絶命のナズナちゃん達を見つける。
そこで、騎士に襲われるナズナちゃんを身を挺して庇った救世主こそが、血相を変えて飛び出したウィルだったのさ!
本人はかなり無茶苦茶な行動だったって反省してるけど、もしもアイツが飛び出すことを躊躇っていたら、ナズナちゃんは斬られていたに違いない。
あんなに度胸ある奴だとは思わなかったよ。
異形は気付いたら姿を消してた。
とりあえず、先の事は皆んなでアジトに戻ってから考えることにしたんだ。
【33話後半〜38話】
…………ここからの時間は、あっという間に過ぎて行った気がする。
その、なんと言いますか。
僕も腹を括って過去を覗こう。
シャヴィさん、ガトーさんに、スノウさん。
そして僕、ウィル、ミサ、ナズナの七人は、アジトに向かう。そこで、大問題が発生する。
ナズナの様子が変なんだ。
目を覚ましたけど、僕たちの言葉には何も反応を見せない。まるで人形みたいで、ちょっと不気味だった。
インテリ系盗賊のスノウさんは、魔法発動の失敗がどーのこーのって言ってたけど、詳しいことは謎みたい。意識はちゃんとあるみたいだし、なんかよく分からない。早く元のナズナちゃんに戻ってくれ。
アジトに着いたけど、森の奥を調査しに行った盗賊は、誰一人として居なかった。
ただ一人、リッキーだけがそこに居たんだ。
正直だいぶ混乱してたから、細かいことは抜きで話すよ。
リッキーは、黒幕だったんだ。
オムニス王国っていう大国の、"特務機関"だっけ。正確には、そこに属する"オーディン"って奴が盗賊リッキーのふりをしていたんだ。シャヴィさんは、そのキカンって単語を耳にして、震えていた。
ガトーさんとスノウさんは、命懸けでシャヴィさんと僕たちの退路を作る。五人になった僕たちは、なんとか森の出口まで辿り着くんだけど……結局はオーディンに追いつかれてしまうんだ。
シャヴィさんは自分の大剣をウィルに託して、一人オーディンに立ち向かう。
僕たちは北へ、とにかく北へ。
森を抜け、北東の"メナス河"に向かって駆け出したんだ。
【これからの物語】
容態不明のナズナ、心の傷が更なる悪化を辿るミサ。……怖くて何も出来ない僕と、責任を全て背負い込むと決意したウィル。
"死ぬ"って事を意識したのは、生まれて初めてだ。
なんでこの世界はこんなにも無慈悲で、悲しいのだろう。
シャヴィさんが言ってたんだ。
東の果てにある"ペンガース都市同盟"には、僕たちと同じく異世界から来た人が居るかもしれないって。
そこに行けば、もう怖い思いをしなくて済むのかな。
その人に会えば、僕たちは帰れるのかな。
……僕たちの旅は、たぶん、まだ続く。
つまり、この恐怖はずっと続くんだ。
僕たちが死ぬか、元の世界に帰るまで、ずっと。
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〜キーワードまとめ〜(37話、幕間I時点)
<四大国家>
・四国とも呼ばれる、世界を動かす四つの巨大勢力。
○オムニス王国
○ベル・ネアラ帝国
○イーダストリア皇国
○ペンガース都市同盟
……の四つがそれにあたる。
<オムニス王国軍特務機関>
・通称「機関」。
・国王直属の軍事組織。王国軍の指揮権を相応しい者に委ねた王が、密かに"私有"する軍事力。
・王の命令一つで、如何なる任務も必ず遂行する。
・国のブラックボックスであり、その存在はもはや都市伝説。
<魔女信仰>
・ローグリン公国や、その周辺地域に古くから根付く信仰。
・民の崇めし"魔女"とは、古の伝説に登場する魔法の祖とされる存在のこと。
・現時点では、謎多き存在である。
<冒険者ギルド>
・オムニス王国領全土と、オムニスと国際取引契約が成された国にて活動が許される、国営の組織組合。民間人からの依頼を受け、彼らを助けることが主な仕事内容。
・ランク制を導入しており、N、D、C、B、A、Sと、順に冒険者個人の信用度が高まってゆく仕組み。
・Sを超える、SSランクが存在するとの噂も。
<ペンガース都市同盟>
・ウィル達の旅の目的地。
・"四大国家"の一つ。
・商業、政治的な連携が卓越しており、幾つかの都市から成る同盟であるが、一つの国家として成立している。
・ウィル達と同じ、"異世界から来た者"が盟主をやっているらしい。
・大陸の東端。海の上にて空中に浮かぶ島に、同盟の中心たる都市が存在するらしい。
・神獣と呼ばれる存在が百万匹以上生息しており、ペンガースという名称はその神獣の名前から取ったとのこと。
・大国の一つであるが、実在しているか否かは定かではない。"世界情勢の均衡を維持するための仮想の国説"や、"他の三大国による何らかの陰謀説"等の噂が絶えないが……真相はいかに。
※もっと短縮してほしい等の要望があれば、検討いたします。
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