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蜃気楼の岬から  作者: ピンギーノ
一・二章 緋色の盗賊(下)
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34話 薄霧を照らす

 天に広がる黒き大海。数多の煌めきの粒がそこに浮かび、愁然と地を照らす。今宵の空は満天であった。


 だが、彼らの下にその光は届かない。

 見上げた先には薄暗い天井。淡いランプの灯が瞳に染み込み、粗い作りの汚れた布がぼんやりと視界に映し出されるのだった。




 「............森の中への捜索に向かったメンバーっすけど......未だ、行方が分からないっす。......全部あっしのせいっす。こんな事になるなら、アイツらに無理して危険な場所に向かわせなけりゃよかった」


 リッキーの言葉はその場に渦巻くものをより陰らせ、彼らに一層非情な現実を突きつけてしまう。生み出される悔いの念は彼らの体に纏わりつき、否が応にもその咎を直視させた。


 会議が滞る。このままでは何も進展しないと感じたウィルは、謙りながらも声を発した。


 「............その、突然こんなこと言うのは憚られるんですけど......一体誰がアジトを襲ったんですか? シャヴィさんやガトーさん達がいとも簡単に連れ去られるなんて、絶対おかしいです」


 シャヴィは顔を上げ、右手で鼻の下を覆いながら何かを熟考する。事実、ウィルの発した疑問は尤もであるからだ。近辺に於いて大きな勢力といえば、ローグリン公国の騎士団がそれに当て嵌まる。だが皆が周知の通り彼らの多くは国の領地から徴兵された人間であり、盗賊団を襲うどころか、魔獣ひしめく森を探索する事すらままならない。


 また、ウィルは更なる違和感を抱き始めた。それ即ち目の前に座るシャヴィの行動である。

 額にしわを寄せ黙り込む彼の姿からは、何故か隠れ家を襲撃した者についての心当たりが無いと見えた。しかしそれは単なる勘であり、今は余計な思い込みを避けるべく、一先ずは彼の言葉を待つ。




 「......実はな、おれにもよく分かんねーのよ。何せアジトの入り口に足を踏み入れた瞬間、急に意識を失っちまったんだからな。何かの術が張り巡らされてたのかもしれんが、おれがアジトを出て帰って来るまでの間に侵入して、そんな大層な細工を仕掛ける事なんざ不可能だろ。騎士団の連中にそれが出来るとは思わんし、おれに見抜けねェ程の術を設置するなんざ......よく考えりゃそれこそまずあり得ん話だわ」


 ウィルが直感した通り、シャヴィの記憶に襲撃者の姿は無かったようだ。しかしそれなればこそ、余計に疑問が沸いてくる。シャヴィを含む大勢の盗賊を嵌めた実力と、あまりにも周到な計画性。彼らはローグリン公国へと連れ去られたことから、かの国が何らかの形で関わっていることは疑いようがないのだが。


 現時点で考えられるのはローグリン公国に対する単純な情報不足か、或いはかの国に力添えをした別の勢力が存在する可能性があること。今のウィルにとって前者は確かめようもない事柄だが、後者に関しては思い当たる節があった。しかし、ウィルがそれに気付いたと同時に眼鏡の盗賊が口を開いた。


 「......お頭の抗力でも防げぬほどの魔法を扱う術師。正直な話、心当たりはあります」


 「あぁ、だろうな。俺もあの気味悪ィ姿を連想しちまったぜ。嬢ちゃん含む俺たち三人を、散々コケにしやがった奴の姿をな」


 それに続いて呟いた人物は、筋骨隆々な盗賊。拳を震わせ苛立ちを露わにする彼の視線は、己の右手に向けられていた。自分の力ではその身に触れる事すら叶わぬどころか、いつの間にやら異形の放った騎士人形と共に踊らされていたという始末。彼は無力な己への憤りと姿を消した異形への鬱憤によって、今にも煮え繰り返りそうな、行き場のない思いを抱えているのであった。


 彼の様子に黙って目を向けているシャヴィも同じく、先ほど一瞬だけ対峙した異形の姿を思い起こす。仮にそれが強大な魔力を放つだけの魔獣であったならば、その場で即座に仕留めるだけで済むだろう。しかし"それ"が放っていたのは、底が知れぬほどの異質な存在感。人間や魔獣とは住まう次元そのものが異なるような、正しく異形としか形容出来かねる姿だった。あれ程の存在ならば、不意打ちで自分達の意識を奪うことなど容易いどころか、公国の上空を覆うような巨大な魔法陣を創り出すことすら何ら可笑しな話ではない。


 「その"術師"に関係あるかは知らんが、国の内部も相当妙なことになってやがった。まず、あのデカい魔法陣だが......」


 シャヴィは、ローグリン国内で見聞きした事実を踏まえ、自身の所論を述べる。巨大な魔法陣が人間に及ぼす影響と、それによって引き起こされた国中を襲う悲劇。そして、悲劇の背後には例の異形が関わっているやもしれないことを。




 「に、俄に信じられません。魔法のスケールも、それによる被害規模も......。あまりに現実味が無さすぎる話です」


 彼の話に黙して耳を傾けたスノウは、その信じ難い内容に声を震わせた。発動された魔法には幻覚作用が働いており、その地を民同士が命を奪い合う惨状へと急変させたという。それは即ち、たった一つの魔法で一国を崩壊へと導いたことに等しい。

 スノウはその様な魔法が存在する事実と、それを実際にやってのける術師の心情に対して純粋な恐怖を覚えた。


 「......おれも信じたかねーよ。だが残念なことに、どれだけ逃げ出したくても現実は覚める事なく続く。だから嫌でも認めなきゃならん。それよりも、今はあの異形だ。奴の足取りは不明だし、いつまた襲撃されるかどうかもわからねェ。今後の方針だが、今は皆でこの地を離れるしかねぇと思う。......ガトー、スノウ。お前らの考えを聞かせてくれ」


 二人はシャヴィの言葉を受け、息を呑む。伏せ目で語る彼の表情には、迷いが透けて見えた。残された仲間と自らを危険な状況から遠ざけたいと口に出したものの、虚しく散っていった仲間達を思う度、彼らの死に関わっているであろう異形に一矢報いたいという意思がシャヴィに纏わりついて離れない。ましてや、彼らの存在を最も愛する身にとっては尚更であった。

 彼が"仲間"に言葉を仰いだのは、ある意味では頭領として悩める自分を救ってほしいという一心での行動である。


 「反論の余地もありません。現状に残された選択のうち、それが最も賢明な判断でしょうから」


 「............まぁ、たしかに頭の考えは正しいんだろうけどよ。なんかモヤモヤすんだよな。ここで大人しく尻尾巻いて逃げたら、将来『あん時ヤツに一発ぶん殴っておきたかった』って後悔する気がしてよ。アイツらの仇を討ちてぇってのも嘘じゃねぇし、それを引きずってこの(さき)生きてくのは......なんかな」


 「......見損ないましたよ、ガトーさん? 普段通りの冷静な貴方ならば、迷わずお頭に賛同するでしょうに。そもそも異形の行方は不明ですし、仮に接敵したとして、この場に居る者誰一人として犠牲にならずに勝てる保証でも?」


 「......おいおい、悪いが俺は至って冷静だぜ? 奴が何処に居るかなんてのは確かに分からんが、まだ近くにいる可能性だってあるだろ」




 シャヴィの意見に賛同の意を示すスノウと、どこか腑に落ちぬ様子のガトー。思考が食い違う両者の間には、険悪な空気がじわじわと渦巻いてゆく。




 「............スノウ、お前は悔しくねぇのかよ。仲間を沢山殺されて、無関係の嬢ちゃんやそこの坊主達まで巻き込んじまって、訳の分からん奴に振り回されてよぉ。それと、戦いに於いて保証がどうとか言うのはやめろ。あん時と違って、今はシャヴィやリッキーもいる。常に後ろ向いて正論かます野郎よりかは幾分か頼もしい仲間達がな」


 「彼らを実際に手にかけたのは、恐らく騎士団の連中でしょう。その騎士団は今や国ごと崩壊した為、復讐という意味では既に遂げられており......」


 「だから、お前は悔しくねぇのかって聞いてんだよ! 俺たちをアジトで嵌めやがったのは十中八九アイツなんだろ? だったらあの薄気味悪い術師もぶっ潰すべきだろうが。仲間が半分以上殺されたんだぞ!? なんでお前はそんなに冷静なんだよ!」


 床に右の手の平を強く叩きつけ、ガトーは声を荒げる。淡々と言葉を紡ぐスノウの態度に理性の枷が外れ、無意識に身体が動いたのだ。しかしーー




 「......死人は、死人です。例え共に過ごした仲間であっても、それらが我々に再び微笑みかけることはない。我々が異形に報復したとして、その事実が去っていった彼らに何をもたらすのです?」


 スノウによるこの言葉が、起爆剤となった。




 「..................そうか。簡単な話だったわ。お前、おれ達と出会う前は暗殺を生業にしてたよな? そりゃ、そんな奴にとっちゃ人の命なんざ石ころのように軽いに決まってらぁ」




 「......子供じみた難癖を付けるのはやめていただきたい。貴方こそ本音を言えば、あの時異形に触れる事すら出来なかった己の実力を認められないだけでは? 悪いですが、そのどうでも良い私怨に我々を巻き込まないで下さい。正直迷惑なので」


 「............は?」


 ガトーは立ち上がり、座して冷淡な目を自分に向けるスノウの元へと歩み寄った。そして、両手で彼の胸ぐらに掴みかかる。スノウとは対照的に、彼の両目には燃え盛るような激情が宿っていた。固く握りしめた拳を震わせ、真っ直ぐに相手を見下ろす。




 「ストップ! ストーップっす!! 二人とも落ち着くっすよ! 今ここで争ったって、状況は何も良くならないっす。それとも、これ以上お頭を悲しませるでやんすか?」


 睨み合う二人の間に無理矢理身体をねじ込ませたのは、今までにない程に真剣な表情を浮かべるリッキーだ。ガトーはその言葉を耳にするなり、ハッとした表情でスノウの衣服を掴む手を緩めた。それを見逃さず、リッキーはそっと両者の間に物理的な距離を作る。


 「二人の気持ちは分かるし、そこに軋轢が生じるのも当然だと思うっす。でも、今は仲間同士で喧嘩する時じゃないでやんす。今一度落ち着いて、ちゃんとお互いの気持ちになって考えてみるっすよ。長年の付き合いだし、そんくらい余裕っすよね?」


 両者の顔を交互に見つめながら、柔らかい声色で声をかける。数秒の間を置いた後、声を発したのはガトーであった。


 「......悪かった」


 シャヴィ、スノウ、リッキー、ウィル達の目線を順に受け止め、静かに呟く。そして、心から信頼する頭領に向かって軽く頭を下げた。

 彼の姿勢に対し真っ先に反応したのは、つい先ほど睨み合っていた友である。


 「私の方こそ、柄にもなくカッとなってしまいました。......いけませんね。如何なる時も冷静沈着であることが私の美点なのですが」


 「............それ、自分で言うかよ」


 肩を竦めて戯けてみせた友に、ガトーは思わず苦笑する。漂う険悪さが薄まり、ウィル達やリッキーはひとまず安堵の表情を浮かべるのであった。




 「なんか、どっと疲れたっすね。あっしはちょっとだけ外の空気を吸いに行くっすよー」


 軽く頭を掻き、ゆったりとした動作で背中を伸ばすリッキー。疲れたから一旦この場を離れるなどと宣言したその姿に、相も変わらず自由奔放な男だ、とウィルはもの言いたげな顔を向ける。




 「あ、そういえばリッキーに渡したい物があるんだった」


 「......むむ、渡したいもの?」


 ローグリンを後にする際、ウィルは飯屋の店主による頼まれごとを引き受けていた。よって今が丁度良い機会と思い、それを果たすことにした。


 「店主さんが、リッキーにこの手紙を渡してほしいって」


 「店主さんって......ああ、おやっさんのことっすね! あとでじっくり読んでみるっすよ。............それにしても、ウィルと話すのは随分と久しぶりな気がするでやんす。ナズナちゃん、再会できて良かったっすね」


 「......まぁ、今はまともに話せる状態じゃないみたいだけど」


 魂と肉体が乖離しかけているというナズナを一瞥し、半ば自虐を含んだ笑みを浮かべるウィル。リッキーはそんな彼の頭を唐突に右手で掴みかかり、あろう事かわしゃわしゃと乱暴に撫で始めた。


 「......きゅ、急に何するんだよ」


 「ウィルはよく頑張ったっす。また後で、あっしと別れた後の話も聞いてみたいっすね。ニケとミサも交えて!」


 言葉の終わりに、リッキーはニケ達に向かって親指を立てながら下手くそなウィンクをしてみせる。返ってきた反応は言わずもがな、隙間風のように白けたものであったが。


 強引に髪をかき回され、そのような茶番など知る由もないウィルは、ほんの微かに瞳を潤ませていた。突然訳の分からぬ世界に飛ばされ、散々な理不尽に振り回されて来た。しかし今はリッキーのように自分の必死さを認め、励ましてくれる友人が目の前にいる。彼に言葉を貰った時、ほんの一瞬だけ目の奥に熱いものを感じたのだ。だが現在は一応会議中であり、無論それを表に出すわけにはいかない。


 「じゃ、てなわけであっしはちょいとだけ夜の涼しげな空気を味わいに行くっすけど......みんなあっしに構わず、話し合いを続けてくれっす。ではでは」




 「......リッキー!」


 リッキーは皆に背を向けて立ち去ろうとするも、少年の声がそれを阻んだ。彼は、何事かと素早く振り返る。


 「色々教えてくれて、ありがとう」


 返事は、無い。

 彼は、ただ明朗な笑みをウィルの目の前に置いていった。




 「シャヴィ......いや、頭。あいつ、まさか」


 「............考えすぎだ。どうせ適当にこの辺りをぶらつくだけだろ」


 脳裏によぎった、幽かな予感。部屋を去りゆく青年の表情から、ガトーはとある懸念を抱いた。

 彼も、盗賊団が半壊した事に対してかなりの責任を感じている。よって、仲間の生死を確認するため再び危険な夜の森を捜索し始めるのは何らおかしい話ではない。偵察能力に秀でているほか、戦闘技術もガトーやスノウに匹敵し得るリッキーではあるが、単独で森の奥を歩くなど自殺行為にも等しい。

 シャヴィの言う通り、本当に敷地内を歩き回るだけならば良い。しかし、先ほどから何故か妙な胸騒ぎが煙のように立ち込めるのであった。


 「頭、俺やっぱり......」


 「お前の懸念はもっともだ、ガトー。だが、今は一人にしてやる方が良いかもしれねぇ。明るく振舞ってるが、アイツもアイツで色々と抱えちまってる気がするんだ」


 その言葉が、ガトーに待ったをかけた。彼は頭領の意思を薄々と感じ取り、本心では納得せずとも、「頭がそう言うなら」と渋々従うのであった。


 シャヴィは天井目掛けて両腕を伸ばし、楽な姿勢を取る。ウィルやガトーも最初に座っていた位置に戻り、再び七人でランプの灯を囲うような構図となった。灯は揺めき、仄かな光による確かな温かさを感じさせる。テント内の空気も、次第に和らいでゆくようだ。




 「つってもアイツが外に出た今、勝手に会議を進めるのも何だ。だから、ここはおれ達も一旦休憩としよう。ウィル達の相談にも乗ってやりたいしな」


 ウィルは厚い毛布に身を包み、完全に予想外だと訴えんばかりの眼差しを目の前で寛ぐ男に送る。


 「異世界転移がどうのこうのって話、途中だったろ?」


 「あ、あぁ。覚えてくれてたんですね」


 ローグリン公国内にて二人が出会い、対話の末いざ飯屋が佇む裏路地に足を運ばんとするとき、シャヴィはウィルが口にした"異世界"という言葉に、記憶の奥底で引っかかる何かを感じ取った。当時はまだそれの正体が有耶無耶であったため濁したが、公国から隠れ家まで移動する最中にどうにか思い起こす事が出来たため、この好機を逃すまいと三人に話しておくことにしたのである。


 「旅をしてる内に、色々な噂話が耳に入って来るって言ったよな。......まず前提知識として、この世界には"四大国家"っつー四つの大国、というかデカい勢力が存在する」


 「......四大国家、ですか」


 「あぁ。......てかデカいなんてもんじゃねーな。一つの行動で世界中に影響を与えかねねェような、そんな超巨大勢力共だ。世界は、その四国(よんこく)が互いに均衡を保つことで成り立っている、と言っても過言じゃねぇ」


 常識的な話だがな、と最後に付け加えて大きなあくびを一つ。それがうつったのか、ウィルの隣で黙って話を聞いていたニケも同じく、大きく口を開けて情けない声を発し始めた。


 「そんで......あ、若干脱線するけど、四国のもうちょい詳しい話とか聞きたい?」


 「えっと、俺は少し興味ありますけど......」


 ウィルは仲間達の方を向き、これまでに何度か選択を迫られた時と同じように、彼らの反応を伺う。

 異議なし、と親指を立てるニケに、無言で頷くミサ。そしてやはりと言うべきか、ナズナが反応を見せる気配はない。

 ナズナの容態に関しては未だに不安が尽きない。しかし、今は二人が肯定的な反応を示したことに安堵した。世界に強大な影響を与える四大国家。シャヴィによる話の"脱線"は、恐らくはこの世界に生きる上で必要最低限の知識となりうる。よって、ウィルは改めて彼の話に耳を集中させた。




 「そーだな。まず、この世界には三つの大陸......海に囲まれたでっかい大地があるんだわ。で、一つの大陸には一つの大国がそれぞれ存在している。今おれたちが居るヨーテルベルン大陸の北東部には、"オムニス王国"、ここから南の大陸にはおっかねぇ"ベル・ネアラ帝国"があって、そんでおれの故郷である東のでっかい大陸には"イーダストリア皇国"があるわけよ。......いっぺんに話したけど、ここまではOK?」


 「なんとか。しかし、そうなると......」


 「ああ。残りの一つは何ぞ、って話だ。正直言うと、そこに関しては国って呼んで良いのか分からん。なんせ本当に存在しているのかすら不明、とも言われてるしなー」


 「世界的な勢力の一つなのに、存在すら怪しまれている? ......そんなことってあり得るんですか?」


 「さぁ。そもそも、"四大国家"とかいう名称が表れたこと自体が割と最近のことだからな。噂じゃあ世界の均衡を維持しやすくする為に作られた仮想の国だとか、三大国による何らかの陰謀だとか言われてるらしい」


 シャヴィはそう言いつつ、どこか呆れたような表情を浮かべる。どうやら説明している当の本人も、その勢力の存在を若干疑わしく思っているようであった。正体不明の勢力に関する更なる情報に胸を膨らませ、ウィルは黙って息を飲む。




 「四大国家の最後の一つ。謎に包まれたその大国の名こそ、"ペンガース都市同盟"。これの正体を探ることが、お前らの旅の目的に大きく関わると言っても過言じゃねぇ」

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