第1話 ネットにあるものは永遠に残ると勘違いしていた若かりし頃
今からさかのぼることおよそ20年前の2000年代初頭……。
そこはインターネット黎明期、かみ砕いていえば「夜明けの時代」であり、その頃のインターネットは新たな技術が見せてくれる夢、希望、ワクワクに満ちた最高の遊び場だった。
当時は「2ちゃんねる」という掲示板集合サイトが最高に面白い遊び場で、寝食を忘れるほどに面白い場所だった。
そんな「インターネットが時代の最先端で最高に面白い頃」に産まれた1つのホームページがある。
「パチンコは麻薬 【パチンコはあなたの人生を奪います】」
文字通り、パチンコがいかに人生に害になるかを世に知らしめるために産まれたホームページだ。
インターネット黄金時代であった黎明期の頃は、現代でいうSNSやブログなどは存在せず、自分の事を外に発信するためには「ホームページ」と呼ばれるものを作る位しかなかった。
その中でも広告は挟むものの無料でホームページを作れる「ヤフージオシティーズ」を始めとした各種ホームページ作成支援サービスの元、ホームページが大いに繁栄した「ホームページ黄金期」という時代でもあった。
ホームページ制作にはブログの運営やSNSサイトなどの気軽さこそなく、それこそ今日の夕飯を気軽にWEB上にアップすることすらできなかったのだが、
それでも自分の知識、経験、感情を既存メディア……テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などに「乗せることなく」独自に世に出せるというのは当時としては「革命的な」事だったのだ。
その「パチンコは麻薬」というサイトだが現在では「正式な方法では」見ることはできない。正確に言えば個人でアーカイブスとして保存している活動はあるのだが、その個人が倒れたらそれまでだ。
なぜなら「ヤフージオシティーズ」というサービスは既に終了しており、一時期はすべての「ヤフージオシティーズ」で保存されていたものが「一瞬で」文字通り「一瞬で」消し飛んだこともあったくらいだ。
インターネット黎明期の時代では「ネットに上がった情報は永遠に不滅だ」と「勘違い」していた。だが現実には「消え飛ぶときは一瞬で消え飛ぶ」ものだった。
昔のSFでは「死んだご主人様を死んだと認識できずに永遠に世話を続けるロボットメイド」なんてものがあったが、
実際には「ロボットは経年劣化でパーツが壊れ、ロボットの発売元の修理を始めとしたアフターサポートの終了や、部品の生産終了で修理ができずに壊れる」
というのが旧AIBOという犬型ペットロボットで現実に起きた。というのと同じくらい、衝撃的な出来事だった。
そんな、幸いにも現在は個人の手による「保存活動」の元、かろうじて息を続けている(この活動は本当に尊いと思う)「パチンコは麻薬 【パチンコはあなたの人生を奪います】」
時代の波に飲み込まれて一度沈没した後で救われたホームページについて語ろうと思う。
【次回予告】
パチンコは麻薬 【パチンコはあなたの人生を奪います】のメインコンテンツは、パチンコで人生を粉々にされた人たちの貴重な体験談だ。
第2話 「パチンコ沼に沈んでいく者たち」