第94話:それは一体
side:智洋
「話は戻すけど、これを見てほしい」
改めて見せられたページを見れば、人型のシルエットと共に何かが書かれていた。
2094年○月○日。福岡県○○市に住む端田千尋さんが突如として行方不明となり、翌日の8月8日にその保護者が警察に捜索願いを申し出。それから役一年半にも及ぶ捜索を続けたが手がかりが一掴めず一時中断を強いれられた。
我々はその後も他に手がかりを探し続け、半年後に一つの手がかりを見つけた。2094年○月○日。失踪前日に白ずくめの何かが端田千尋さん(行方不明者)と接触していた事が判明。だが…とある事により記憶を喪失した一人の男性の証言によりこの事件は迷宮入りした。
ここでこのページは終了していた。
「一体どういう……」
頭が馬鹿な俺でもわかる、これは…異常だ。一体何を知ったんだ?日本の警察がたった一人の証言を機に捜索を中断して迷宮入りにしたっておかしい。
「分からない。知り合いには一応ここに来る前に聞いたんだけど…分からないと言われた、それどころかその捜索に携わった人や知っている人達全員が不可解な死や神隠しにあって誰一人としてこの事件を知る人が居ないって。だからあの白ずくめも禁忌の実かどうかも分からない」
なんなんだよマジでアイツら…。痕跡を一切残さずまるで煙のように消える集団…まだ詳細は定かではないけど秘密裏に何かをしているって事だよな…。
「…分からないなら行くしかないでしょ。そこに」
「は?」
アレンの呆けた声が室内に大きく響いた。俺も我慢してたけど実際は?って言いそうになったわ。
「いや、知ってる人がいないんだよ?だから別の手がかりを見つけて……」
「ないって言いきれるか?」
「だ、だけど相手はあのレオンすら超える実力者がいる組織なんだぞ?しかもあの蒼牙ですら歯が立たなかったんだから無理だよ…」
確かにそうだ、あいつらは少しのミスも起こさないはずだ。これがただの一般人や実力のない人なら狙われた時点で死を覚悟しなければならない。だけど、もし狙われた人の中に隠れた実力を持った人がいるとすれば…隠密に優れた固有能力を持っている人がいるとすれば…。
あの白ずくめ共は隼也の幻術を最初は見抜けなかった。時々かかったりしていた。可能性は0とは言えない。
「智洋も気付いてると思うけど、話を聞いた限りじゃ隼也?って子の能力は効いていたんでしょ?」
「うん」
「なら効くさ。相手がどんなに強くても完璧じゃない、何か欠陥がある。そうだろ?」
「確かに…そうだね」
「んじゃ決定。って…いいたい所だけど、場所どこかわかる?」
その一言でこの部屋はシーンと静まり返った。え、ここまで来て分からない系?やばくね?
「あぁ…これって詰みでは?」
「いや!ここは金の力で!」
「金でも抹消されたデータは復元できねーんだよ!」
「なら能力者に頼むしかねぇぞ!」
「確かに!それは名案だ!」
なんか勢いに任せてる気がするけど…まぁ、能力者なら行けるか。
「何か伝はあるの?」
俺がそう尋ねると…。
「「ない」」
返事が見事に被った。しかもないと来た。は?
「……」
「あ、そういやさ蒼牙のリーダーからなにか貰ったって言ってたじゃん。なんか書いてない?」
思い出したかのように言う晴人くんにナイス!ナイス!と心の中で礼を伝えポケットにしまった紙切れを取り出す。
「なんて書いてあった?」
「…」
「ど、どうした?なにか不味いこと書いてあった?」
「…」
書かれた内容は別に不味い事ではなく、普通のものだ。誰かの電話番号が一つ書いてあるだけで不思議なものも無かった。
ただ…俺が黙っていたのはそんなことじゃない。番号の下に書かれてある文字に絶句していたんだ。これは生半可な力じゃない。下手すれば…世界の運命を変えるかもしれない。
──智洋、行き詰まったらこの番号に掛けろ。今知りたいものを教えてくれる奴がいる。気難しい所があるがお前らなら大丈夫だろう。
080-0000-1111
そして、智洋。お前には伝えなきゃいけない事がある。詳しい事は番号を教えた奴に聞いてくれ。お前達が行く場所にとある人物が地下深くに幽閉されている。ソイツを連れ出してくれ。ソイツは星詠みの王だ、きっとお前を助けてくれるはずだ────。
星詠みってなんだか語呂かっこいい




