第93話:会議
ここから先は智洋視点が多めになります
side:智洋
家に着いた俺達は普段依頼とかの相談や作戦を練る時によく使う広めな部屋に来ていた。別名裁判所。なんでこの名前なのかは知らないがリーダーのユニークスキルが関わってんのかなぁって勝手に思ってる。
「んじゃ、まずは集まってくれてありがとう」
なんだかドヤ顔で机に手をついているアレンが立ち上がる。まるでなんかの秘密会議ですか?と言いたくなるなこれ。
「呼びに行っただろ一緒に」
おっと、晴人くん。それは言っちゃいけないから、ほら!アレンの奴が地味に気まずそうにしてるじゃん!
「だめだよ、そこはそうだね!って言わないと!」
耳元で囁くと晴人くんはそうだね!ごめん間違えた!と棒読みで言いだす。これだめだろ。普通に…。
「あ、あぁ!!進めるぞ!」
パァァって効果音が付くぐらい元気になりやがった。いいんかい。お前軽いな。
「一応ここに来る前にマジックパックに禁忌の実に関連してそうな事件のまとめを何個か入れてきている、そして、この世界地図も…ってこの部屋の壁に付いてたね」
マジックパックを机に置き、俺たちを見渡す。
「まぁ、でも今必要そうなものは全て持ってきた。これを使ってレオンがいそうな場所に目星を付けよう、俺が思うにレオンは幽閉されているんじゃないかと思ってる」
持っていた世界地図を広げ、地図上に赤い丸で囲われていたものが記されているのを見つけた。
「ねぇ、アレンこの囲いは?」
「そこは俺なりに考えたレオンが幽閉されているかもしれない場所をピックアップしたんだ」
指を指したまま俺は固まった。え、アレン凄いね…。俺の中でアレンの株がだいぶ上がったのを実感した。
「へぇ、すげぇじゃん。どれどれ…っと」
隣から覗き込むように晴人くんが地図を見る。だが、段々と顔が歪んでため息を吐いた。
「数えたけど…これ多くね?」
「仕方がないよ、こればっかりは絞れきれない。俺が考えた中では可能性が高いのがこれだったんだ」
ざっと見た中ではアフリカ南部に北極…あまり人が立ち寄らない場所がほとんど…か。あんな大それた力を持った奴らだ、もっと巧妙な場所に隠れているかもしれない。
「だが実際これを確認するのにはすごい費用がかかる…けど資金面は安心してほしい。俺が持つ。これでも俺は資産家なんだ」
ここで思わぬカミングアウトされたよ。その見た目で資産家って…若いのに大したもんだ。←人のこと言えない
「すげぇな。それなら安心できる」
「まぁ、智洋が今準Bランクだからそれこそ心配ないんだけどね。大体ギルドカードを見せれば一発だし」
確かにアレンの言う通り、Bランク以上からは色んな特典がある。例えば交通料金の無償化に加えて一定ランクの施設(ギルド認証コードがある施設のみ)の無償化だったりとBランク様様なのだ。
とは言えまだBランク未満だしなぁ。Bランクにならないとそういった特典はない。だからなるべく早くにならないといけないんだが…まだ先になりそうだな。
「でもBランク未満だからね。まだないよそういうの」
「そうなんだよね。いや、ここは智洋。受けておいで」
「え!?」
少しだけ悩む素振りをしたと思ったら急に何を…今はレオンさんの捜索が優先じゃ…。
「いいんだ。後々のことを考えればそれが最善でもある。Bランクなら影響力もあるしもしかしたら必要になるかもだからね、ひとまずは俺らで進める。智洋は依頼に集中してほしい」
「だ、だけど…」
「智洋。頼れよ、俺たちはそんなに頼りないか?」
不安そうな声色なのに瞳は強く力が満ちている。二人の実力は俺はよく知っているし、不安はない。だけど、俺が気にしてるのはレオンさんの捜索を後回しにして依頼を受けるのが果たして正解なのか…だけだ。
「選択に正解はない、あるのは己の勇気のみ。ミラエノが自身の冒険譚に残した名言だ。どんな人生の分岐点に正解はない、あるのはその選択をする勇気だけ。大丈夫、俺たちは気にしない」
仲間だろ?…と、アレンの言葉に目の奥が熱くなった。そうだな、そうだよな。ありがとよ、お前ら。
俺は少しだけ微笑んでお礼を告げた。
「ありがとう。行ってくる」
「は?今日行くの?」
「明日でいいよ。今はまだ話したいこともあるし」
あ、そすか…。すんません…。
「で、これを見てほしい」
そう言ってマジックパックに手を入れて一つのぶ厚めな本を取り出し、中身を開いて見せてきた。
「この本はここ100年の事件が記されている事件簿なんだ。事件簿って言うけど実際は都市伝説のような出来事が記されているだけで表沙汰にはされてない機密の本なんだけどね」
なぜそんな物騒なものを持っているんだと聞きたいが闇が絡んでそうだから言えない…。
「俺の知り合いに刑事がいてね、元々は冒険者でAランクまで登り詰めた人なんだけどその人に無理言って借りてきた」
意外に正規の方法だったけどそれ見せて大丈夫なの?怖いわ。
「へぇ、人脈あるんだ」
「君とは違ってね」
言葉のトゲが垣間見えるセリフにカチンときたのか、晴人くんの顔色が厳つくなる。
「あ?てめぇ…俺の人脈なめんなよ!なら呼んでやろうか?!」
「いいだろう、呼んでみろよ」
「は!驚くなよ?」
もうやめろよな…はぁ。ため息を吐きつつ俺は二人に声を低くして告げた。
「あんた達いい加減にしなよ。ぶん殴るよ?」
すると意外にも早く頭を下げて土下座してきた。
「「ごめんなさい」」
「うん、よろしい」
そんなこんなでゴタゴタになりながらも話は再開された────。
なんだかしまらないですね




