第90話:希望と可能性
気がつけば俺はアレンの両肩を掴んで迫っていた。
「あ!アレンてめぇ羨ましい…!」
「…ほんと、なの?」
「まだ分からない。ただ…これはさっきも言った通り憶測の域に過ぎない、それでも聞く?」
アレンの真剣な顔が俺を射抜く。こいつ、俺がなんて言うか分かってるくせに言わせるつもりだな。性格が悪い奴だ。
「聞かせて」
「まず、レオンが死んだ所を誰か見たか?」
確かに誰も見ていない、それどころか亡骸もない。いや、あの技を受ければ亡骸なんて形すら残らない。だから、これではレオンさんの生きているかもって話は成立しない。
「レオンは十二神星の一柱、しかもその中でも特に強いと言われている特四戦神に選ばれてる程だ、そんな人がそう簡単に殺られるか?」
殺られない…とは言えなかった。俺はあの場にいた、居たからこそ分かる、距離は少し合ったとはいえあいつは別次元の存在…死の気配があのレオンさんに匹敵するほど。アレを感じてはレオンさんの生死はもう…。
俺の顔が俯いたと同時にアレンが俺の肩に手を置いてまっすぐと見据える。
「諦めるな。可能性が1%でもあるならその1%に全力を出そう。それに…これは晴人の言っていた事だから信憑性はある」
何故…?それは純粋な疑問だった。信憑性もクソもないでしょ、だってあの場にいたのは蒼牙と隼也、そしてレオンさんだけ。晴人くんは居なかった、なのになんで。
「本当は秘密だけど、僕には特別な力があるんだ」
「特…別?固有能力のこと?」
「称号だよ」
「!?」
称号はただの飾り。これが一般的な常識だった。理由は単純明快でその人の異名が称号として能力値に反映されているだけだからだ。だが、一部の特殊な称号持ちは違った。例えば異世界での話になるが「剣聖」だと道具を持つと身体能力五倍、物理攻撃五倍…etcと言った具合に効果がある。
ざっくりした説明だが、特殊な称号持ちは希少であまり数が居ない。そして、その希少さ故に命を狙われたりする場合があるから殆どの者は特殊称号を隠す。
「なんて称号なの?」
「虫の知らせって称号だよ」
虫の知らせ…?予感ってことか?その予感でレオンさんが生きている…と?
「この称号は幸不幸を知らせる効果があるけど、国語辞典とかで見かける様な力じゃないんだ。正確に言うと予感と言うより直感に近いものがある。しかもそれだけじゃなくて、何かの分岐点に直面した時によく来るんだ」
何かの分岐点…大事な選択の時に助けてくれる力…か。これがただの直感とかだったら信憑性が無いけど、それが能力によるものなら…信じれる。可能性がある。
「この直感は結構不定期なのが悩みどころでさ、内容も細かく言う時とざっくりとした時があってよく分からねーんだ。今回のもそうだった。雷の魂、現世の何処かに宿りしってよく分からねぇことを言っていたし」
「…」
雷の魂、現世の何処かに宿りし…ってどういう事だ?
何処かに宿ったって意味だよな?直訳すると。…そんな簡単な意味じゃないよな…んー、わからん。すごくわからん。
「なぁ、智洋」
「ん、なに?」
立ち上がり、真剣な眼差しで俺を見ると、右手を差し出し笑顔で告げた。
「探そう。レオンを」
……。
「僕も協力する。あの日智洋を助けれなかった、助けに行けなかった、だからこそ今ここで役に立ちたい。智洋の悲しい顔はこれ以上見たくないから」
そう言うと、晴人くんも立ち上がりアレンの肩に手を置く。
「あぁ、それは同感だね」
視界が濡れている。室内なのに雨が降っているみたいだ、頬を伝う涙が地面にポツンと落ち、病室に響く。
「うん…!探そう…!!」
涙を流しながら俺は二人に告げた。ここからだ、ここから俺たちの物語は本当の意味で始まるんだ。助けに行こう、手がかりは0でも可能性が低くても、1%の可能性でもあるなら…俺はそれを掴みに行く。
----------------
side:???
病室の外の壁にもたれかかって、智洋達の会話を盗み聞きしていた俺は隣にいる菊池に「行くぞ、捜し者だ」と告げ、その場を後にした。
(ありがとう、お前らのおかげで希望を見出した)
「大丈夫か、菊池」
「あぁ、余裕だ」
この後に控えていた事情聴取という名の尋問。そして、捜し者の手がかり。全て一筋縄では行かないが、俺は俺のやるべきことをするのみだ。
「そうか。なら、もう一仕事頑張るぞ」
関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉を開き、その奥にいるであろう大物の場所へと向かった
僕「小説って難しいよね」
友「うん」
僕「展開考えるの疲れてくる。特に思考が」
友「そうなんだ」
僕「だからたまに手を抜きそうになる」
友「へぇ…ダメじゃん」
僕「……」
僕「LINEで話す内容じゃないね」
友「マジでそれ」




