第88話:境い目
遅れましたすみません!!
side:智洋
リーダーが買い物に行っている間、俺はベッドに寝そべり神妙な顔をして悩んでいた。
禁忌の実とは一体何なのか。何故奴らは上級大会に来たのか…そして、その目的はなんなのか。いや、目的は存在を知らしめるためと言っていたが…それはまだ建前だと俺は睨んでいる。
この世界に来てから数ヶ月経っているが…今まで禁忌の実という名の存在は耳にしていなかった。リーダー達も知らない口ぶりだったから、もしかして割と近い時期に誕生した組織なのか…。はたまた身を潜んでいたのか…。
もし、身を潜んでいのなら考えられる可能性としては…機会を伺っていたのか?いや、それよりもどうして今になって行動を起こした?その機会が今日なのか?…確かに上級大会なら絶好のチャンスか…リアルタイムで世界中に配信されるからなあの大会、知らしめるには十分と言える。
(まだ分からないこと尽くめだな…はぁ…取り敢えず今は休もう)
思考量が多すぎてキャパオーバーしてしまった。分からないことを考えても仕方ない、分かることだけ考えよう。うんそうしよう。
(そう言えば…禁忌の実はなんで俺たちを生かしたんだろ…って、謎が謎を呼ぶこの連鎖やめてくれない?)
言ったそばから分からないことにキャパを使かってしまったわ。くそ。
はぁ…。とため息を吐いてる途中でふと思い出した。ある人物の存在を。
「…あれ、レオンさんは…?」
そんな事を呟いたその時、タイミング良く扉が開き、「買ってきたぞ」と言って近付いて来る。
「…おかえり、りー…だ?」
「ただいま」
「おう!嬢ちゃん!元気か?!」
顔を横にすれば車椅子に座った菊池さんと目線が交差した。怪我をしているとは思わせない元気っぷりにお元気ですねと一瞬思うが…絶対無理してる…一瞬キツそうな顔を浮かべるし。
「菊池さん、ご無事でよかった」
「嬢ちゃんもな。無事で良かったぜ」
互いに少しだけ微笑み合い、リーダーが買ってきてくれた肉まんを貰い、ほうばる。
「やっぱ美味い」
「リンゴとかも買ってきてる、後で剥いてやるから食えよ」
「ふぁい、ありはほうございます」
「菊池の分もある、ほれ、食え」
「サンキューな」
リーダーから受け取ると、美味そうに食べながら真剣な顔をして俺の方に顔を向けた。
「嬢ちゃん。リーダーから色々聞いてるとは思うが…俺からも話しておくことがある」
「はい?」
「まず、表彰式は中止になった。大会の関係者の大半が死んだ事もそうだが闘技場とその周辺二キロまで何もかも木っ端微塵になったからだ。巨大なクレーターがそこに出来て今は立ち入り禁止状態になっている。警察やギルド、日本政府はこの件に関して最大限の注意を呼びかけ、世界中の国々に禁忌の実に関しての要請を出しているらしい」
「ほとんどの国がこの二日で要請に承認している。これは日本だけの問題じゃねぇ…下手すりゃ世界を巻き込む大事件だ。十二神星も動く。回復したら俺たちに事情聴取に来ると思うが…もし嫌なら俺から言っておく。俺とリーダーでなんとかするから」
もう何もかもが予想外過ぎて思考がまとまらない。突拍子も無い話だよホントに…。でも、俺とて蒼牙の一人、仲間任せに出来るわけが無い。
「いえ、大丈夫です。私は平気です」
俺が力強く言うと、どこか嬉しそうな表情で俺の肩に手を置く。
「ま、無理はすんなよ」
「はい」
「あ…そういや、お前の知り合い…つぅうか、顔見知りがさっき来てたが明日来てくれって追い返しちまった…悪いな嬢ちゃん…」
顔見知り…?え…っと…?
「ほら、予選で嬢ちゃん告った奴だ」
予選で俺に…?あぁ!!あの子か!確か…晴人くん!
「それともう一人だ。なんか金髪の兄ちゃんも居たぞなんだか喧嘩してたっぽいが…」
あぁ…はいはい。もう分かりました…。アレンね…。てかなんで喧嘩してんのさ、仲良くしてよ病院内だけでも。
「まぁ、大変だろうが明日相手してやれよ(笑)」
この人…絶対面白がってる…。いつか仕返ししてやる。…と意気込んだその時…俺は声を上げた。
「あ!そう言えば聞きそびれたんですけど…レオンさんは何処にいるんですか?無事なんですか??」
俺がそう聞くと、二人の顔つきが一気に曇った。リーダーに関してはすごく辛そうな…顔をして…?なんで、そんな顔するんですか?一体何が…。
「いや、大丈夫だ。ちょっと危ないってだけで。な、なぁ?」
「あ、あぁ…菊池の言う通り今は…安定している」
二人はさっきの様な悲しみの表情から明るく振る舞ってそう言うが…ぎこちない。こんなの、俺じゃなくても分かる、絶対何かを隠している。
「隠さないで下さい…何があったんですか?レオンさんの身に…!」
俺は声色を強くして訴えた。すると…リーダーが無理して作った明るい表情から悲しみを帯びた表情になった。そして、少しの間を置いてリーダーが短くも語ってくれた内容に俺は疑ってしまった。
「…レオンは…敵に殺された…」
その瞬間、俺の脳内に黒い手の様なもので胸を貫かれているレオンさんがよぎった。
そんな訳が無い…だって…レオンさんはオリュンポスの一人で、俺の師匠…なのに。そんな…訳が…っ
そう。なんで十二神星や世界中の政府が要請に応じたのか…それは十二神星の一柱である雷迅王レオンの訃報が原因だった。そして、その日を境に…世界の歯車は大きく動いた──────。
次回から本編入ります。実は今までの章は本編では無く前編なんです。僕が描きたかったのは本編なんですよね。こんな僕にここまで付いて来てくれてホントに感謝ですっ!まだまだ若輩者ですがこれからも暖かい瞳で見守ってくださると助かります!




