第72話:数々のピース2
……疲れった、です…
side:???
場を和ませるつもりで言ったはずなんだが、二人ともめっちゃ顔を固めだした。氷漬けにでもされたか?
そんな事を思いってると、佐賀が急にふっ…と不気味に微笑む。
「…いや、そっちぃ!?」
顔を俺に近づけて鬼の形相で詰め寄って来た。
「な、なにが?」
「魔物を生み出した存在かな…って思ったんだよ…なのに…魔力を生みだした存在だぁ?やべぇだろ…」
「ははは……分かります。私もちょっと驚きすぎて…」
二人してははっと乾いた笑みを零しながら心ここに在らずな顔をしている。多分…情報処理が追いつかんのだろう、当然か。
「…てかさ、なんでリーダーそんな事知ってんの?」
「っ…」
やばい。考え無しに言うべき内容じゃなかったな…。俺は馬鹿か、こんな事少し頭を使えば分かるようなものを…自分の警戒心のなさに呆れる。
(反省は後にしてなんて言おうか…やばい、どうする…なんて言うのが正解なん───)
「よし。この話題はお終い。もうすぐで着くしそろそろ気持ちを引き締めろよ?」
佐賀は俺の一歩前に出て、振り向きざまに微笑んだ。その笑みはどこか哀しみを帯びているようにも感じた。
「あ、あぁ。そうだな」
「わ、わかりました!」
さっきまでの空気が嘘のように一転して温かく俺たちを包む。だが、そんなもんは表面上の話…俺の中は冷たく凍えている。…いつまでも隠し通せる訳じゃない、現に智洋は俺より先に何かを悟って俺に伝えてくれた。多分、佐賀も何かを感じ取ってるのかもしれない。
うっすらと聞こえた佐賀の最後の一言。俺には聴こえない様に言ったんだろうが…ちゃんと聞き取れてしまった。
(…いつか話してくれ…か)
文にも記録にも残らない、吹く風の如く小さな願望の声。出来れば話してやりたい…だけどまだ確証を得ていない。いや、違う。本当は心のどこかで確証を得ている。ただそれを認めれないだけだ。逃げていると思われてもいい、まだ…智洋と話し合ってねぇのに急にこんな事を話されても迷惑なだけだ。
(なるべく早く言うから…もう少しだけ待っててくれ)
一歩先に進む佐賀の背中を見つめ、心の中でそう誓った。
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菊池達が泊まっている宿に着き、菊池にメールを送る。すぐ行くとの返信がきたから俺達は適当な所の壁にもたれて待つことにした。着くまで一言も話さずにいたせいか少し気まずい。俺がこんな事で悩まされる日が来るとは…人生って不思議なもんだ。
それから2〜3分後に菊池と峰屋の姿が見えてくる。
「わりぃー少し待たせた!」
「ごめんなさいー」
「気にするな。今日は事前に話していた通りに事を進めるが良いか?」
「おうよ」
「はい」
「じゃあ、早速ギルドに寄るぞ」
そう言って先頭に立ち、ギルドまで歩いて行く。
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菊池達が宿泊していたホテルからギルドまで距離が近くものの数分で着いた。直ぐにギルド内に入り、依頼の掲示板がある所に足を運ぶ。
「さて、どの依頼を受ける?二人の実力は佐賀と同レベルと推測しているが」
両手を腰に当てて依頼を注視する。どれもこれも菊池達の実力じゃあ足りねぇものばかり、今貼り出されてるものの中で最高ランクがB。誰かが高ランク帯の依頼を一掃したか?
「…なぁ?これはどうよ?」
「ほう…」
菊池が剥がして見せてきた内容はこうだった。
鮮血の猛毒蛇の討伐依頼。東京都世田谷区等々力にある等々力渓谷に突如として現れ、観光地として一ヶ月ちょいもの間機能していない。推測個体数:約八体 適正ランク:A 条件:殲滅してくれると助かります 成功報酬:600万~700万円ほど ※数ヶ月経過している為個体数が増えている可能性が有る。
鮮血の猛毒蛇自体はC程度だが、とにかく気性が荒く目に映った生物は上位個体だろうと襲いかかる。しかも牙には大人三十人を殺せる程の猛毒がありCランクの中で最強に近い魔物だ。それが最低でも八体、こりゃ十体以上は覚悟しといた方が良さそうだな。
(はっ、都合が良い。これなら実力も試せれるし連携のも調整できる。それに…放って置いてはダメなやつだしな)
「よし。これを受けるぞ」
「おう」
「菊池はアイツらに言伝を頼む。終わったら入口で待っていてくれ」
「わかったぜ」
菊池がアイツらの所に行くのを横目で見つつ、受け付けに寄って受付嬢に依頼書を提出した。
「これを受けたい」
「分かりました。冒険者カードの提出をお願い致します」
「ほれ」
金色に輝くカードを机に優しく置くと、目を見開いて俺を見つめる。
「…あぁ!貴方が蒼牙のリーダーさんなんですね!なら、もう大丈夫です!」
「お、そうか」
蒼牙なら大丈夫って…大丈夫なのか?今に始まった事ではないが…。
「はい!ギルマスからも蒼牙の依頼はS以下ならすんなり通せと仰せつかってますので!」
そうか、思い出した。半年前に雑な依頼の斡旋したギルマスをシバいたら融通効かせるから許してって泣きつかれたんだったな。中々便利だな、ギルマスに感謝しなくては。
「ありがとう」
冒険者カードを懐に仕舞って菊池たちの元に向かう。
「ご武運を祈ってます!気をつけて行ってらっしゃいませ!!」
「あぁ」
背を向けながら受付嬢に手を振り、そのまま菊池達と合流して目的地へと向かった。
寝不足気味です。(›´ω`‹ )




