第71話:数々のピース1
(´-ω-`)フム
side:???
あれからひたすら飲み続け、気が付けば夜中の二時を回っていた。流石に朝まで居座る訳にも行かずお開きにして帰宅した。
「おい、佐賀大丈夫か?」
家に帰ってすぐ佐賀はトイレに駆け込んでなかなか出てこなかった。心配してトイレの前で声をかけるが返事が無い。気配はするんだがな…相当やられてるらしい。
「だから峰屋に回復魔法を掛けてもらえって言ったのによ」
「いやぁ…はは、なんか死ぬまで飲みたかったから…うっ」
はぁ…ったく。仕方ねぇな。
「明日掛けてもらえ、それまで我慢しろよ。俺はもう寝るから」
「わ、わかった」
「あぁ」
自分の部屋まで歩いて行き、自室のドアをゆっくり開ける。智洋は先に寝てるからあんまり音は立てねぇようにしないとな。
…と。思ったんだが…。
「なぜ俺の部屋にいる?」
智洋が俺のベッドに腰掛けていた。しかもパジャマ姿で。
「えっ…とね。待ってたんです」
こいつもまだ酒気を帯びているな…。一度は解毒して貰ったがやはり帰りの時もしてもらうべきだったか。くそ、私は大丈夫ですって言葉を信用するんじゃなかった。俺も酒のせいで判断力鈍くなったか…。
「あのな、一応言うが俺も男だ。しかもまだアルコールも入ってる。何かしでかす前に自分の部屋に戻れ」
ため息をつきながら俺はそう促す。…が聞く耳を持たず、ベッドをポンポンと叩く。これは所謂…隣に座れって合図か。
「はぁ…」
これは多分何言っても聞かんだろうな。仕方ねぇ、ここは素直に従うか。
「で、どうした?」
「え…えっとね…わ、私ね…」
顔を俯かせ、両手をモジモジと弄る。耳が赤く、顔も全体的に赤い。酒が回り始めたか?酒を飲んでるせいでいつもより思考がままらない。
「私ね…気づいちゃったんです」
「…気付いた?」
「…はい」
少しの間を置いて深呼吸をする。
「スゥ…ふぅ…。単刀直入に言います、リーダーは───」
「この世界の人じゃないですよね?」
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鳥のさえずりと共に目を覚まし、ベッドから降りる。直ぐ洗面台へ向かい顔を洗いサッパリさせる。
「…」
────この世界の人じゃないですよね?
不意に昨日言われた言葉がよぎる。俺はあの後、なんて答えるべきか…いや、間違ってるはずのに、否定以外有り得ねぇはずなのに何も言えなかった。
だが、俺が考えてる途中で智洋は直ぐに自分が変な事を言ったことに気付いたのかごめんなさいと慌てながら頭を下げてそのまま俺の部屋から出ていった。
(一体どう言うつもりで言ったのか…真意が知りたい)
ただ…昨日のアレのせいでちょっと気まずいな。この話題をぶり返すのもしていいものなのか…。いや、違う。ここ数日の間俺は違和感しか無かった。それに加えて訳の分からないこの既視感…そして、徐々に何かが削がれていくかのような感覚。
いつもとは違うことに関しては身に覚えしかない。もし…智洋が俺でも掴めていない何かを感じていたのなら、話し合うべきだ。
この世界の人じゃない…。もしこれが合ってるのなら──俺は元の世界に帰らなければならない。
(…とは言え、智洋は酔ってたからもしかしたら違うかもしれん…いや、考えるのめんどくせぇから聞いてみるか)
そう決意し、濡れた顔をタオルで拭き取る。
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顔を洗い終わった後、朝食を取り終えてから俺達は菊池たちが宿泊しているホテルに徒歩で向かった。一応家から歩きで20分程度の距離だからな、意外にも近いって事で歩きにしている。車は任務の時ぐらいにしか使わんからな、こういう時は歩きで十分。
(さて…話し合うにしても二人の時を狙った方がいいだろうが…なる時間なくねぇか?)
それに、聞くとは言ったもののどう切り出せばいいんだ?普通に昨日の言葉をド直球で訊くか?いや…もう少しオブラートに包んだ言い方の方がいいのか…?
(いやいやいや、何に悩んでるだ俺は?いつもみたくストレートに聞けばいい話じゃねぇか)
はなし…話なんだけどな…。俺も弱くなったもんだな、めんどくせぇ…。
「リーダーどした?元気ないじゃん」
佐賀が俺の顔を除きながら訊く。ここは適当に言っとくのが利口だな。
「ん?あぁ、なんだか眠気があってな」
「ふーん?珍しいな」
「まぁな」
佐賀の言葉を適当に返して俺は再び前を向く。とりあえず今悩んでてもしょうがねぇな、今は勘づかれないよういつも通りにするか。
「よし。今日は菊池と峰屋の実力の把握を優先的にしてぇからクエスト受ける。次いでに五人の連携の調整も出来れば御の字だな」
「おっけい」
「…分かりました」
「智さん少し元気ない?」
佐賀が俺の隣で少し前に体を傾け智洋の顔を覗く。それからすぐ、智洋は慌てながら手を振ってう、ううん!違うよ!と答える。
「全然!ちょっと二日酔い気味なだけだよ?!」
「…今日は休んだ方がいんじゃ…」
「だ、大丈夫!私は大丈夫だよ!」
「そ、そう。わかった」
「ははは…」
智洋も昨日の事で気まずさがあるんだろうな。ったく…負い目を感じてるのかなんだか分からんがこのままじゃ空気が悪いな。仕方ねぇ、一肌脱ぐか!
一旦咳払いをして俺は二人に語り掛けた。
「知ってるか?この日本には日本三大怨霊と呼ばれる霊の伝承のこと」
佐賀は首を捻って知らないと言っている一方で智洋は知っているらしく頷いていた。俺は二人の反応を見てさらに続ける。
「その三体は俺らが扱う魔力とは別の力…霊力と呼ばれる力を使うのはどうだ?知ってるか?」
「知らねぇ…」
「私も、そこまでは」
「一体どんな力なんだ?」
まぁ、案の定だな。霊力の存在はこの世界でも知ってる者は限られるだろうし、知らなくて当然だ。
「確か…昔に見た文献だからあんまり覚えてねぇけど、理や概念と言ったものに干渉する事ができる力らしい」
力のスケールが大きすぎて笑うしかねぇよな…。つっても、佐賀と智洋は笑うどころか少し引いてるけどな。
「凄いですね…」
「バケモンじゃん…神様かよ。その三大怨霊は誰なんだ?」
「平将門、祟徳院、菅原道真の三人だ」
「待て。それって…実在してた人物じゃね?」
顎に手を当てながら俺に訊く。まあ、正解だな。
「そうですね、佐賀さんの言う通り大昔に実在した人達です。でも、その日本三大怨霊は江戸時代に絵本や歌舞伎などで脚色された存在だったはず…」
智洋の説明はご最もだが…ここは生憎ファンタジーな世界だ。脚色もクソもねぇんだよ。
「多少の脚色はあるにしろ、その力は本物と呼べるものだった。それは現代を生きる俺達がよく知っている事だろ?」
「え…それはどう言う…」
「…リーダー。まさか…」
佐賀は何かを察したらしく顔を青ざめていた。そう、この世界の住人なら殆どの者が身に染みて分かってる。
「そうだ。これはほんの一部の者しか知らない特秘事項だがお前らなら言っても大丈夫か。その日本三大怨霊はこの魔力と呼ばれる力を生み出した存在…と言われている」
この話の詳細はまだ話しません。




