第66話:それはきっと願い
過去。それは過程。未来。それは願望。は?
side:???
「で、お前そんなエプロン持ってたか?」
一階に行きリビングの方に向かうと、佐賀がエプロンをしながら朝の支度をしていた。それを俺は席に座って後ろから眺めていた。いや、似合わねぇよそのエプロン。
「これお前が買ってきたんだろ」
そんな馬鹿な…。俺のセンス壊滅的だろ。なんで男に花柄のエプロンをプレゼントしてんだよ。渡す相手間違えてんだろ…。
「そ、そうだったか…悪い、記憶がおかしくてな」
若干引きつった顔で俺は答える。すると、顔を俺の方に向けてお玉を俺に指す。
「昨日の疲労か?」
「…昨日?」
(昨日…なにか、したのか?)
床にカレーが落ちてんぞ…と余計な事を考えつつ、数秒ぐらい頭を捻ると、朧気だが思い出す。昨日は…。
「ドラゴンの討伐…だったな」
「そうだよ。やっぱ疲労のせいでしょ」
「あ、あぁ…多分な」
佐賀は近くにあったティッシュ箱を掴んでティッシュを数枚引っ張ると床を拭き、拭いたやつをゴミ箱に入れると、再び体を鍋の方に向けて料理を再開した。
そして、俺はまた違和感に悩む。何か忘れているような…徐々に記憶が削がれている気がするのは気のせいか?
(…ドラゴンなんか討伐したっけか…記憶ではしている。だが…した感覚がない。それに──)
…と考えた所で佐賀がこっちに近づいてくる。
「はい。出来た」
「ん?あぁ、ありがとな」
俺は一旦思考を止めて佐賀の用意してくれた料理を食べる
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「んで、記憶がおかしいせいで今日の事なんもわからん。教えてくれ」
朝ごはんを食べ、後片付けをした後に席に着いた所で佐賀に尋ねる。
「…そんな堂々と言われると清々しいね。まぁ、わかったよ」
ごほんと咳払いをして今日の予定を話す。
「さっきも言った通り、今日から俺達はチームを組んで冒険者をする事になった」
「あぁ」
「それで、チームの申請をギルドに行って承諾を貰う。で、こっからが本題」
そう言って少しの間を置いて…。
「チームを組むんなら二人じゃこれから生きていくのは難しいだろ?だから新メンバーを募集する。だいたいになるけど三人は欲しい」
「なるほどな。それを今日やるつもりか」
「そういう事。思い出した?」
「なんとなくな」
腕を組み、天井を見上げる。
(新メンバー募集…か。だとしたら俺の求める人材は今日中には集まらんだろうな)
俺が求めるのは、最低でもクラスの星が三つ。"クラス"というのは職業のレア度を表すもので、星が高ければ高い程重宝される。
一つ星は一般的な最初のクラスだが、三つ星となると、これがまた結構居ねぇんだよ。まぁ…最悪居なくても構わんがな。低くても強さと成長性があればいい。実はクラスが高いからって必ずしも強いわけじゃない。だが、クラスが高ければ低い星の職業より強くなれる。だから高いと重宝されるって話なだけだ。
「まぁ、俺の意見としては実力と成長性があればなんでもいいかな。職業に関しては進化するし低くても構わないよ」
やはり、佐賀も俺と同じ意見のようだ。…とは言えそれは最終的な判断だ。
「あぁ。そこには同意見だ。けど、俺の求めるのは三つ星」
「そう言うと思った。よし、とりあえずギルド行こうか」
俺の言う事を察していたらしく、ニヤケ顔で答える。そして、俺達二人は席を立ち、ギルドへ向かった。
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「うんこれでオーケー。今日から俺らは晴れてチームだ」
俺らはギルドに着いた後、チーム申請の書類を書き、ギルドカードの更新を終えて遂にチームとなった。
「案外早かったな」
「まぁね。ちょっとした手続きをする程度だから、結構すんなり行ける」
時間にして五分程度。ホントにすんなり行けたな。そんな事で関心しつつ俺は佐賀に訊く。
「どうやって集める?ネットで集めるのか?それとも掲示板か?」
「んーや。実はさ、もう決まってるんだよね」
佐賀から予想外の言葉を聞いて俺は思わず、は!?っと以外に大きな声を出してしまった。
「ごめんごめん。早く進めたくて」
「ったく…俺は一応リーダーなんだろ?もっと早く言えよ」
「あはは…」
後頭部を掻きながら乾いた笑みを浮かべる。それをジト目で俺は見つめ、ため息を吐く。
「はぁ…。んで、何人だ?」
「一人」
「そうか。そいつは?」
「えーっとね…もうそろ来ると思う」
自分の腕時計を見つめながら俺に言う。
(まぁ、佐賀が選んだ奴なら心配は要らんだろ)
そう思いながら、俺は目をつぶった。その時…
「あ!来た、こっちこっち!」
佐賀の一言で瞼を開けると、佐賀が駆け足でドアの方角に向かってる姿が見えた。あいつの背中しか見えないから誰か分からんが…多分女だなあれ。
(少し長引きそうだな。ま、俺はここで待ってるか)
俺は再び瞼を閉じた。
…が。そこから直ぐに声を掛けられ、瞼を開けた。
「リーダー、起きろ」
「…あぁ。で、その子が新しいメンバーか?」
佐賀の背後で隠れるようにして身を潜めてる女に目線を移す。
「大丈夫。目付きはキツイけど良い奴だから」
俺は怖がられてんのか。なかなか見ねぇぞ?俺の事怖がる奴。ビビる奴は結構見るが。←それ怖がってるから
「は、はじめましてっ…!」
震えた声で言いながらちょこんっと佐賀の背後から顔を出す。
「!」
顔を覗かせた新メンバーに俺は一瞬だけ驚いた。見えたのがバケモンとか子供とかそんな事じゃない。その容姿に俺は驚いた。
ここまで完璧とも言える顔立ちは見たことが無い。揺れる銀髪に碧銀色の瞳が白い肌とマッチして正しく女神に相応しいレベル。だが、不思議と初めて会った気がしない
「やっぱり、リーダーもそんな反応すると思ってた」
「…?」
佐賀は俺がこの反応をするのが分かってたらしい。そのニヤケ顔やめろうぜぇ。シバくぞ。
「大丈夫だよ。ほら、前に」
佐賀が顔を後ろに向けて優しく伝える。それを聞いた女は怖がりながらも前に出てくる。
「う、うん」
…出てきたは良いが…緊張と恐怖で一言も喋らねぇな。…って俺も緊張してんのか。いや違う…動揺…?
「ははは…あ!そうだっ…と、自己紹介しないとな」
そう言って、女に目を移すと…
「リーダー、紹介するね。俺が選んだ木崎智洋さんだ」
まだ続きますね…




