第63話:更なる共闘
…
side:???
俺は本当に…クソだな。アイツに仲間を心の底から信じてないと言われて何も言えなかった。確かにそうだ、俺は信じきれていなかったんだ、心から信じれていれば秘密なんて打ち明けていたはずなのに。
アイツに事実を告げられ、俺は罪悪感に苛まれて、心が苦しくなった。ふっ…アイツの言う通り俺は上辺だけの人間だったんだ、仲間は俺の事を信じて…付いて来てくれてるのに…リーダーである俺が…信じれてないだなんて。
散々智洋や菊池、佐賀に峰屋に一人で抱えるなとか信じろとか言っておいて、このザマだ。失望したよな。ガッカリしたよな…もう、俺の隣に立ってくれないよな。
って…思ってたのに。なんでまた、俺の隣に…俺を仲間と呼んでくれる?俺は…この数年間お前らを心の底から信じてなかったんだぞ?上辺だけでお前らを引っ張ってた…心のない兵器…だったんだぞ?
そんな事を思っても俺は口に出せなかった。アイツらが何かを叫んでるのが聞こえるが聞き取れない。無意識に仲間の…外の音を遠ざけていた。だが…不意に聞こえてきた一つの声に俺の意識が戻ってきた。
「俺の相棒を侮辱した罪は重いぞ?」
…この声は…佐賀か。懐かしいな、相棒って何年ぶりに言われたんだろうか…。そう言えば、忘れかけていたがお前は俺の右腕だったな。
あぁ…そうか、俺は、自分の右腕と評した男にすら何も言ってなかったのか。すまない…本当に…。
「すまない…黙ってて…」
自然と出た謝罪の言葉。そんな事を言われても、今更だろう…ははっ俺は何を言って……。
「───リーダーがどんな事を抱えてたって知ったこっちゃないですよ。また、俺たちと一緒に馬鹿しましょう」
俺の感情が闇に堕ちる寸前に、幻聴が聞こえてきた。いや違う。これは幻聴なんかじゃない…この声は─────。
「とも…ひろ…?」
振り向けば、そこに居たのは仲間の智洋だった。そして、俺は気づいた。いや、気付かされた。このままじゃ蒼牙のリーダーじゃ居られないと、これを生き延びたら全てを打ち明けよう。コイツらなら、俺をまた…仲間と呼んでくれると信じて。
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side:智洋
「はぁ…君たちのせいで説教受けちゃったじゃん。まぁいいや、仕返しは死で返すよ」
右腕を横に開き、黒く変色する。赤い血管がパキパキと右腕に浮き彫り、紋様ができる。その見た目は結構不気味で魔物の腕と言われても何ら不思議ではない。
「ほぼお前の悪い癖だがな」
そう言いつつ、左腕を前に突き出すと、白金色の槍が現れ、それを両手で巧みに操り構える。
「随分待ったんだからよぉ、楽しませろよ?」
ニヤケながら、槍を持って駆ける。それに応じて少年も白ずくめの背に付いて来ながら迫る。
それを引き金に峰屋さんが手を組んで呟く。
『劇的回復域──身魔栄光氣激』
足元に翠色と金色の魔法陣が浮かび上がり、二色の光が発光すると体の傷が癒え、力が溢れ出てくる感覚が湧く。
その直後、間近に現れた少年の黒い腕から無数の触手が生えて、そのどれもが刃になると拳銃の様に射出される。
『無閃鏡剣』
リーダーが前に飛び出し、音の無い斬撃で触手を切り伏せ、佐賀さんと菊地さん、そして俺が畳み掛ける。
…が。
「俺も居んぜぇ?」
宙に浮いた白ずくめが槍の穂先を俺たちに向けて鋭く言う。
『銀消珀閃穴』
白い煌めきを放つ、銀色の光が刃に纏わるその刹那、槍を突くと、俺らのいる場所に超重力の負荷がのしかかり、白銀色の光に包まれる。
────偽の世界では。本物の世界は俺たちは食らっておらず、あの場所には居ない。じゃあ、一体どこかと言うと。
「…っ!背後か!?」
そう、白ずくめの後ろだ。
「動くんじゃねぇ!────『撃滅之錘』」
白ずくめの周りに黒い斬撃が走り、身動きを制限させる。そして、今がチャンスだ。
『アルフェデート流闘術───零・原穿初衝!』
『阿修羅冠忍術・刀剣技法──奥義・極閃覇劫!』
二つの一撃が音の速さを超えて迫る。
「その程度反応出来ねぇ俺じゃねぇんだよ」
槍を回し楯の様に使うと、それを回転させたまま俺らの方へと投擲する。のだが…その行動に意味は無い。
「後ろだよ」
「は?」
一瞬の出来事に驚いてるのか、抵抗する間もなく食らう。
「ッ!!」
峰屋さんのバフにより、通常の何倍もの威力を誇る一撃なんだ。例え白ずくめと言えど軽症程度は被うはずだ。
だがしかし…
「甘ぇんだよ。策はいいがまだ足りねぇ、本気前の俺なら多少は食らってただろうが、もう食らわねぇよ」
いつの間にか背後に居た白ずくめがそう告げる。
「!?」「ッ!?」
「出直してこい」
そう言うと、俺らの腕を掴み上へ投げると…どこからともなく出現した白金色の槍を左手で掴む。その直後、白ずくめとは違う声が響く。
「させねーから!」
炎を纏った剣で白ずくめに突っ込み、リーダーの攻撃を槍で防ぐ。そして、その背後で峰屋さんが魔法で支援、するはずなんだが…
「僕を無視すんなよ」
「うっ…!」
峰屋さんの死角から現れた少年に魔法行使を妨害され支援が出来ずにいる。
「逃げ足早いっすよねぇ!!」
「お前がノロマなんだよ」
「きちぃな…っ!」
あっちはあっちで佐賀さんが巧みに拳や蹴りを繰り出していたが少年には届かず、そこで菊池さんの豪快且つ、レベルの高い技術で片手斧を操っているのにも関わらずやはり少年には届いていない。
いくら佐賀さん達でも、流石にあの化け物クラスを相手するのは難しいんだな…。
「いいか!!俺と智洋、隼也でこいつを相手する!その触手は任せたぞ!」
「「おう!!」」「わかった!」
菊池さんらが答えたと同時期に、リーダーが俺達の元に駆け寄り、空で戦闘態勢に入る。
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「二手に分かれるか。確かにそっちの方が利口だが…あの三人じゃ無理だろ?」
白ずくめと相対する形で俺らは空で警戒をしている。
「はっ、馬鹿野郎。アイツらなら余裕だ。俺の仲間を舐めんじゃねぇ」
その言葉には圧倒的な自信を感じさせられる、仲間を心から信頼しているからこそ出てくる台詞だった。
次回どーなるかな




