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第49話:決勝3

今回は隼也オンリーの視点です

side:隼也


僕の持つ固有能力(ユニークスキル)──偽りの世界(ウート・カルザ)は五感を完全に惑わし偽りを映す能力。これを発動すれば大抵の者は騙され、気付いた頃には事が終わっている…はずなのになんでアイツは見破った?


「どうやって見破ったか知らないけど見直したよ、けどね…一度見破っただけでつけあがるなよ?」


片手に持つ刀を構えてその場から消える。女の近くに現れ術を使う。


阿修羅冠(あしゅらさか)忍術・刀剣技法───其ノ弐:静音涼斬(せいおんきょうき)


音が無く、飛ばない斬撃だがその真価は恐ろしく同業者もその恐ろしさゆえに使うのを避ける技と言われている。


僕の存在に気付いた女は手に持つ剣で受け止め、慣性を利用して俺の刀を滑らせ瞬時に体を回転して剣を振るう。


だが、それはこの技の前では最も危険な方法だった。


「あっ…かぁはっ…んだこれ…!?」


口から血を流し、咄嗟に離れていく。女の体には数十の切り傷と深い傷が身体中に切り刻まれていた。


「はははっ!どう?静音涼斬はね、設置型の斬撃なんだよ。しかもこの技は振ったその場所から半径1m以内の場所に数十規模の斬撃を一斉に設置するんだよ」


「もし、そのどれか一つの斬撃に当たれば連鎖反応で他の設置された斬撃も起動し切り刻む。敵味方関係なしの技だし連鎖反応する所もあってか結構恐れられているんだよ、同業者から」


説明を終えたと同時に僕は幻術を使い、一気に女に近づく。近づいても相手は反応を示さず傷に意識を浸らせている所を右手に持つ刀の柄を逆に持ち体術を加えつつ剣で接近戦を持ち込んだ。


「くっ!?いつの間に!」


「どうしたんだい?その程度かなぁ!?」


「んぁ!?」


逆上した女は洗練された動きで僕の攻撃を捌いて少しずつ体にダメージを入れてくる。


(ホントに馬鹿力だねぇ…っ!!)


手が痺れ、衝撃で刀を飛ばしてくる。ゴリラより力あるとか怖すぎでしょ…これは接近戦辞めた方がいいね…。


またしても幻覚を使ってその場から再度消える。女は後ろを振り向き何も無い所で剣を振ったり拳を入れたりしてるがそこには誰もいない。僕の幻術で惑わされているからだ。


実際は少し距離を置いただけで前を向けば僕は居る。一人で勝手に戦っている姿を見ておかしく思うも僕のせいでやってるからあんまり笑えないねと思いながら空間収納に仕舞っていたクナイを取り出す。


「苦になると思ってたけど案外楽に終わって良かったよ…じゃあね────」


『───阿修羅冠(あしゅらさか)忍術・手裏剣技法───其ノ捌:乱れ咲匠(みだれざしょう)深影裏(みかげうら)


クナイが段々と分裂していき、ものの数十秒で視界を埋め尽くす程の量になる。ニヤッと笑みを浮かべつつ女に声をかけるとビックリした様に振り返り、それを引き金に放った。


金剛剣舞(こんごうけんぶ)!!』


女も技を発動して対抗する…がもう遅い。無数のクナイが直前まで迫り体を蹂躙する────


────幻覚を見せて腹に刀を刺す。


「え───……?」



「最後の最後まで引っかかったね?ホントに掛かりやすくて助かるよ笑」


侮辱する様に告げて、一旦距離を置く。近くにいてもし何か仕掛けられたら避けきれないからね。


「うっ…ぐはっ…!」


苦しそうな顔を浮かべて腹に刺した刀の柄を握り勢い良く引き抜く。そして不思議な気を全身に循環させてるせいなのか顔に生気が宿ってきている。あの気厄介だね?…はぁ、まぁいいや。


考えるのがめんどくさくなりまた、クナイを取り出す。後部の輪状の穴に金属繊維で出来た頑丈な細い糸を通して素早く投げる。


計八本のクナイが女の近くまで来たら糸を巧みに引っ張り右にずらしたりして当たるか当たらないかの瀬戸際を左右交互に何度か繰り返せば…ほら、しびれを切らしてこっちに来た。


(わかりやすいね…ホントに君は。学習能力が足りないしマスターの所で一体何を学んできたんだか…)


失意を顕にしながらタイミングを見計らい固有能力(ユニークスキル)を発動して女の五感全てを偽りの世界に誘う(いざな)。偽りの世界では僕も女に近寄り、投げたクナイを使って迎え打とうとしている場面が見えてるだろうけど本物の世界では違う。


既にクナイは空間収納に仕舞って、右手には刀を持っている。その刃には魔気を纏わせ…大ぶりに振って斜めに斬撃を放つ。女は今頃僕の幻影と戦っている幻覚を見ているはずだ、目線を移せば手に持つ剣を巧みに扱い僕のクナイと繰糸術を上手く捌いていた。


流石に今のままじゃ避けられる可能性がある、斬撃が当たらなければ意味が無いからもう少し工夫を凝らして…分身させようか────


偽りの世界の僕は何百人と姿を増やし、それを見た女は行動を止めた。その一瞬の隙があれば確実に当たる…これで僕は勝ちを確信した。


(結構早くに終わっt───)





「どこ見てんの?」




背後から聞こえた女性の声、咄嗟に振り向くとそこに居たのはさっきまで偽りの世界で僕と戦っていた女だった。

次回!クライマックス( ^ω^)

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