第46話:決勝前
ふぅ…よし。
side:智洋
〖しょ…勝者!智洋選手ぅぅぅー!!〗
勝利宣言が轟く歓声と共に聞こえてくる。俺はそれに応えるように手を振って待機室へと向かった。
(はぁ…つッ…一個解放するだけでも体の倦怠感とか頭痛ひでぇな…)
リューさんが放ったあの覇皇拳は俺の持つただの能力じゃ防ぎきれない威力があった。本当は階位解放は使わず決勝戦まで隠してたかったが…無理だった。
さっき使った階位解放は俺の持つ天変地異の能力を一部だけ解放する技。そして、階位は四段階あって一つ解放すると100%中25%だけ力を得れる、が…代償が無くなる訳じゃないからキツい。
(まぁ、とは言っても軽減されてるからまだ良いとして…それでもちょっとやばいかな)
あの技は使えても二回程度。何度も使うと反動と代償が大きくなって戦闘に支障が出る為使う場面は考えないといけない。
そう思いつつ扉を開けてすぐ椅子に向かって座る。一気に疲れが現れ大きな声がポロッと出た。
「はぁぁぁ〜…!」
滝のように流れ落ちる声…これ誰かに聞かれてたら恥ずか死ぬ。と言っても二回目だし?周りには誰も居ないから遠慮なくやるけどね。
力なく体を机に突っぱねて疲れを癒そうと目を瞑った瞬間、モニターから無機質な声が聞こえてきた。
〖準決勝戦を終え、最後まで勝ち上がった御二方おめでとうございます。これから決勝戦に向けて説明させて頂きます〗
(!?…寝させてよ…)
そう願っても相手は機械…俺の願いは通じずそのまま続けて説明をしてくる。
〖ルールは今までのと変わりはありません。決勝戦はこれから一時間後に開始されますので五分前には入口付近に居てください。選手様が万全の体制になれるよう回復師や薬剤師、整体師を派遣させて頂きます。以上で説明を終えさせてもらいます〗
声が沈み、沈黙が流れる。
「……いや、もうツッコまない」
この大会にまともな事を望んだらダメ。そう言って自己暗示を掛けてから数秒の事…人の気配を感じて席を立つ。
(総数三人…さっき言ってた回復師達か?…来るの早くね?)
さっき説明貰ったばっかなんだけど?
いやまぁ、大会が気を利かせて送ってくれるのは有難いけど……正直、回復師とか要らないんだよね…。そもそも闘気を練って全身に循環させれば自然治癒力が増して傷とか簡単に癒えるんだよな。疲れは取れんけど…
「智洋様。大会本部から派遣されました、回復師のミネと申します、入ってもよろしいでしょうか?」
体を揺らしながら考えてると扉の方から声が聞こえ、「どうぞー」と軽く答えると三人の女性が礼儀正しく入って来た。
「失礼します。改めて回復師のミネと申します」
「薬剤師の梨奈と申します」
「整体師の美沙です。よろしくお願い致します」
「どうも、私は木崎智洋です。え…っとどうすれば宜しいですか?」
「はい。智洋様は今からご用意致しますベッドの上で横たわって頂ければ大丈夫です。その間私共が万全の体制にしますので」
(ふむ…要はマッサージね。確かにこれなら疲れと傷は癒せそうだ)
大会の太っ腹な所に感心していると、回復師と名乗ったミネさんが壁に手をかざす。すると扉が現れ…開いた。
「此方にお入りください」
(あ、そういう感じ!?)
驚きながらもミネさんの言う通りに扉の中に入ればそこはマッサージサロンの様な空間が広がった部屋。内装は高級店と思われてもいいレベルで見ただけで分かる、あ、これ絶対高いやつ……。
「智洋様、準備が整いましたらこのベッドに横たわって下さい」
いや…淡々と進めてる所申し訳ないが理解が追い付かんのだけど?なにこれ?
「どうなされました?」
「あ…いや、なんでもないです。少し待っててください」
心配そうな顔で見つめてくるミネさんを見て、この人も良い意味でまともじゃないと察した。もう、何も考えてはダメだ…
思考を捨てて服を脱ぎ、ベッドにうつ伏せで横になる。
「では、施術を開始致します。時間が来ましたら起こしますのでその間は安らいで下さいね」
その言葉に甘え、俺は直ぐに意識を沈めた。
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そして…施行から時が経ち、決勝戦。
(あのマッサージのお陰で気力も体力も万全…マッサージも馬鹿にできねぇな)
ニヤッと笑い、徐々に迫ってくる決勝に胸を弾ませながら入口までゆっくり歩く。
さぁ、始めよう。最後の戦いを─────
次回決勝戦です。限界突破して書きます!
(っ・꒳・c)ワクワク
※舞台は復元魔法で決勝戦までには直されます。




