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第36話:上級大会その9

ふはぁ…\( 'ω')/

side:智洋


待機室へと移動し、一息つく。


「疲れたぁ…ああぁぁ〜…」


テーブルに突っ伏して目を瞑る。流石に少し疲れたから一時間ほど睡眠しようとした時、扉が開いた。そこに居たのはさっき戦ったアレンが物申しそうな顔を浮かべながら近寄って一言。


「さっきの説明貰いたい…けど疲れてるならまた後で来るよ」


そう言って踵を返した所を俺は口を開いて止めた。


「いいよ今で」


「そう。ならさっきのあれは…?」


俺は席を立ってアレンと向かい合う。どうやって説明したもんか…正直に言って心とかプライドが傷つかないかな?


そんな事を考えてると、アレンが吹っ切れたように告げてくる。


「ははっ…言いずらそうだな。別に気にしないさ」


その言葉を聞いてさっきまでの不安を拭い、俺は覚悟を決めた。


「わかった、実は────」


--------------------


〖さてさてー!三回戦を始めたいと思います!次の試合を行うのはこの二人!!〗


〖水と氷を支配し、第八フロアの戦況を凍えさせた氷結の男!保宮海斗選手ぅぅ!!〗


歓声と共に現れたのはねずみ色の髪をなびかせた執事服みたいな服を着た青年。どこか気品が感じられ育ちの良さを物語らせる綺麗な動作、容姿端麗な所も加えると完璧だな。


待機室で一人モニターを見ながらそんなことを思っていた。


〖そしてお次はー!刹那の桜と言う異名を持ち!未来の槍聖候補とまで噂されてる槍術士!神野紗倉選手ぅぅー!〗


実況の予想外な言葉に反応してつい…椅子から転げ落ちた。


これってBランク未満の冒険者が集う大会だよね?なに?未来の槍聖候補って?は?そんな化け物がこんな大会に出てんの?…一、二回戦の時とか予選の時とかも普通に高い人が何人か居たし今更だけどホントにランク詐称クラスが居るな…


(鍛えててよかったぜ…あのレベルの化け物と対峙するとかほぼ自殺行為だわ)


呆れ気味の中改めて椅子に座ってモニターで観戦する。


--------------------

side:紗倉


目の前の男を観察するように見渡して力量を見極める。


(強そう…実況の方の言う通り水と氷を操るのだったら速攻で勝ちに行かないとダメかもしれないわね)


魔法職と戦う時は魔法を発動させる前に倒すのが定番だけど能力(スキル)の場合なら無詠唱且つ即発動できるから魔力切れを起こさせて倒すか上手く捌きながら倒すか…無効化させるかの三択。魔法だけなら楽だけど多分あの男は両方でしょうね…


考察を続けている内に始めと言う声が聞こえてきて瞬時に構えを取る。


相手がどの規模でどの範囲で発動できるのか未知数…こんな時鑑定と呼ばれる力があれば簡単にことが進むのに…


心の中でボヤくも、ないものねだりをしても無意味な為すぐに思考を切り替える。


「悪い、俺は勝たなきゃ行けないから手加減なしで行くぞ」


目の前の男がそう告げて直ぐ右手を天に掲げて闘技場の半分を覆う程巨大な氷塊を出現させた。


「……え?」


「あばよ、未来の槍聖候補」


その言葉を最後に巨大な氷塊の隕石が私目掛けて放たれた。


「くっ!流石にデカすぎるわよ…」


いくら何でもアレは破壊できない…いや、出来るけどどっちにしろ私は負ける。だって…あの左手に…




私の命が握られていたから。




私は両手を上げて負けたと宣言した。すると迫っていた氷塊は忽然と消えて両手をポケットに仕舞い退屈そうに勝者宣言が来るのを待っていた。


〖し、勝者!保宮海斗選手!!〗


会場が一気に熱烈な歓声に包まれた。


--------------------

side:智洋


ほんとにこの大会は面白い。一回戦の時といい…超級レベルの能力者がなんで二人も居るんだよ…おかしいだろ。あの女の人もそれなりの手練、訓練前の俺なら多分瞬殺されると言っても過言では無い実力者のはず…それにあの氷塊を破壊しようと思えば破壊できていた。


鑑定して能力値(ステータス)を見れば余計出来るだろ!と言いたくなる力を持っている。でも、その力は無意味…あの男には絶対勝てない。なぜならあの男にはえげつない能力が備わっていたからだ。


固有能力(ユニークスキル)でもなくただの能力(スキル)でもない、継承能力(サクセサースキル)と呼ばれる力。その名も───魂喰い(ソウルイーター)。負の感情を抱いた者の魂を自由自在に操る事が出来る。女の人は巨大な氷塊に負の感情を抱いてその能力の対象になった、もし負の感情さえ抱かなければ勝てたかもしれないのに…数字的に見たら危うい感じだけど能力的に見たら戦法次第で行ける。


(もし、俺が戦ったとしたら負の感情さえ抱かなければ勝てる。一回戦の男と比べればあの男なんてそこまで警戒する程ではないな)


そんなことを考えながらも俺は明日のことを考える。明日は準決勝と決勝が行われる、色々と戦術を考えねぇと…


--------------------

:実況:


〖出方を伺ってるのか双方共動く気配がないですね〗


〖相手の能力(スキル)、実力共に未知数ですからね〜、ん?なにやら会話を…えぇ!?〗


〖なっ!?〗


海斗選手が右手を掲げたと思ったら次の瞬間会場の半分を覆う程の氷塊が現れた。


〖な…なんだあの大きさはぁ!?会場の半分を埋める大きさの氷塊とは…〗


〖有り得ない…あんなデカい氷塊を出現させたら魔力切れを起こすはず…なんで海斗選手はピンピンとしているんだ!?〗


いつもの緩い口調から一転して鬼気迫る雰囲気で驚いている風牙さんを横目に実況を続けた。


〖これをどうするんでしょうか!?このまま紗倉選手に向けて放つのか!?〗


そう言うと言葉通りに氷塊を紗倉選手に放なった。もしこれが直撃すれば紗倉選手の命は無い…これは止めた方がいいのでは…?


選手の命を危惧したその時、紗倉選手の声が聞こえてきた。


「私の負けです!」


すると、それに反応するように氷塊が音もなく消え、海斗選手がポケットに手を入れて私の声を待っていた。


〖し、勝者!保宮海斗選手!!〗


会場が一気に熱烈な歓声に包まれた。選手が退場して舞台に誰もいなくなった時、私は愚痴るように口を開いた。


〖余りの速さにまた…実況も何も出来なかった〜!〗


〖どんまいです〜、でも案外しなくていいって楽ですね〜〗


風牙さんの言葉に一瞬頷きそうになるも堪えた。


〖そういう問題じゃないですよ風牙さん!〗


〖あはは〜…〗


心臓がバクバクと音を立てて未だに興奮してる気持ちを抑えて次の試合に向けて深呼吸をする。

もっと内容濃くしないと…(使命感)

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