第34話:上級大会その8
今日は遅くなってすみません( ̄▽ ̄;)
内容に困ってたっっっ……
side:アレン
小さい頃、俺はわがままだった。あらゆるものに我を貫いて協調性も無くただ己の思う事だけを主張してきた。そんなどうしようもない性格のお陰でよく虐められたりもして辛かった。今になって勇者やら期待の株やらと言われてるけど昔の俺を知っている人からすれば何を言ってんだと反感されかねない、そんな男だったよ。
両親は俺が8歳の時に交通事故で他界、親戚に預けられた俺は歳を重ねる事に荒れて不良になり親戚たちを困らせ、挙句の果てには留置所に入れられた事もある。元々救いようのない人格だったのにさらに救いようがない時代を過ごして何年か過ぎた17歳の頃…些細なキッカケで俺はとあるものを目指した。
喧嘩帰りに寄った小さな古本屋。普段の俺なら気に留めることもなく素通りだったのにこの時の俺は何を思ったのかその店に入った。内装は廃れて人気もなくとにかく古くあちこちに穴も見受けられて匂いもホコリ臭く直ぐに帰りたいと思うような感じだったのにそのまま足を進めて棚にある本を見ていると…その中でも一際目立つ綺麗な本棚が目に入った。
気になって見てみればそこに古い本が他の本に挟まれる形で陳列されていてそれを手に取る。
(冒険王…ミラエノの冒険譚?)
聞いた事のない名前なのにどこか懐かしく気が付けばその本を購入して店を出ていた。そこまで俺はこの本のタイトルに集中していたのかと驚いたがそんな事はどうでも良くそそくさと近場の海岸に寄って本を開く。
その内容はどれも不思議で興味深くどれもバラ色の様に輝いて目が離せなかった。人を助けた話やら見た事の無いモンスターの名前、特徴、生態までこと細かく記されていてソイツらと戦った時の話まで載っている。まるでその本の主人公になったかと錯覚する位に俺は熱中していた。そして、読み終えた時には俺の熱意は最高潮まで達してこの時ある決意をする…ミラエノの様な冒険者になりたい。この世界を旅したい…と───
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side:智洋
「本気…ね…」
哀愁を含んだような雰囲気に思う所はあったが気にせず相手の顔を伺う。真意を探ろうと思ったけど猟奇的な人格者?だから何考えていても常人には分からないため諦めてその案に乗ることにした。
「そうだね、私も本気だそうと思ってたところだよ(嘘)」
「よかった、この姿見せても本気出さないと言われるんじゃないかとヒヤヒヤしたよ」
「流石にそんな野暮な事は言わない(本当は言いそうになったけど…)」
「なら遠慮なく行くよ」
剣を構え、紫色のオーラがさっきよりも強くなってより濃い色へと変色していく…紫色に黒を上手い具合に足した感じの色が恐怖感と威圧感を一層引き立っている。
それを横目に俺も闘気を全力解放させ、吹き溢れる闘気を制御して自分の周りに纏い武功を使ってから型を発動させる。
『行くよ』
『アルフェデート流剣術───零・始まりの斬撃!』
『武蔵ノ剣───六攻・一点破斬!』
強化された一撃と昇格された一撃が何度もぶつかり合い重い風が吹き荒れて会場の至る所にヒビが入り、軋む音がする。
(俺の斬撃を良く相殺できるなっ!)
(俺の一撃なんだけどなぁ!!)
二人とも似たような思考を巡らせながら斬撃を飛ばしまくっていると、アレンが急に違う行動を取ってこっちに迫ってきた。斬撃を上手く躱したり時々剣の刀身を斜めにして受け流したりと技術が高い。
(単調な斬撃はやっぱりダメか…同等か格上には正面切っての始まりの斬撃は辞めといた方がいいな…ちょっと賭けてみるか)
そんな事を考えながら次の手を打とうとしたその時…目の前から急に姿を消したアレンが俺の真上に現れて光魔法を纏った剣を思いっきり俺の頭上へ振ってきた────
掛かったな。
ニヤッと頬を歪ませて擬似的な縮地を発動、背後に現れた俺はそのまま刀身を縦に剣を横に振って頭を殴った。
ズガァン!と鈍い音を立てて数メートル程吹っ飛んで行き、何度か地面に体を擦りながらやっと停止した。
「来ると思いました、アレンさん」
額から血を流しがらよろよろと立ち上がって愉快そうに口を開く。
「やっぱり…面白いよ君!!俺の動きを見切って攻撃してくるなんて!君の手のひらで踊らされていたよ!」
「そうかな?一応賭けだったからね」
「何を言ってる?どうせどこから現れてもこの結果は変わらなかったはずだよ」
うっ…バレてんのかい。
「……まぁね」
「でしょ?」
「ま、早く殺ろう」
「あぁ───」
柄を握り締めて今度は純粋な剣術のみでひたすら打ち合った。何十何百と音を立てながら風を吹かせながらただ単純に打ち合った。顔、体、腕へと徐々に切り傷が付いても止まらず時間は過ぎていき俺は遂に打って出た。
(このままじゃ埒があかねぇ、決めるか)
相手の瞳を見れば、アレンも同じ事を思っていたのかニヤッとしてきて俺もそれにつられてニヤッとし返した。なんだか似てるな、俺らは。
嬉しい気持ちを抑え、終わらせる為に迫ってくるアレンの剣を本気で薙ぎ払いワザと距離を離して技を発動した───
『アルフェデート流剣術──真・始まりの斬撃』
俺が技を発動してアレンも驚いた顔を浮かべながら体勢を直ぐに直して技を発動した。
『さっきの…ッ…後で説明貰うよ!──栄冠なる王傑の剣!』
剣が周りを照らすほど煌めきだして光が次第に膨張、そして振ったと同時に光線の様に放出された。近づいて来ると共に光がより眩しく感じて目を瞑りたくなるがそれを我慢して更に斬撃を何発も飛ばして威力を高める。
けたたましい音を立てながらぶつかる光線と何十の斬撃。通常の始まりの斬撃とは違い威力と速度が桁違いに高くなる真シリーズ…やると肩が痛くなるけど背に腹はかえられないからね、やるしかねぇ…まぁあまり手数を見せたくないっていうのもあるけどな。
そんな事を考えつつ、俺は斬撃を飛ばすのを止めて擬似的な縮地を使う…均衡している今がチャンス!
アレンの背後に出現し、剣を振る。それに気がついたアレンはしゃがんで躱すと俺の足に蹴りを入れて体勢を崩させ上段切り──が…刀身が俺の顔に触れる寸前でピタリと止まる。
「…マジかよ…」
そんな事を呟いて前に倒れた…その背には金色に染まった刀身が刺さっていてそれを優しく引っこ抜き回復魔法をかけてあげた。
「これって私の勝ちだよね?」
そう言うと実況の人が高らかに宣言する。
〖しょ…勝者!智洋選手ぅぅ!!!〗
会場が一気に歓喜の渦に飲み込まれた。
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side:???
「アレンの背後に回る前に予め金剛剣舞を発動させ、背後に回ったと同時に金の刀身を見えぬように配置…か。やるな」
頬杖をしながら一連の流れを見てそんな事を呟く。
「あぁ…そんでもってアレンが嬢ちゃんを斬ってきたタイミングで背中をぶっ刺すたぁ…驚きだな、こりゃこえーぜ…」
「智洋さん中々えげつないね」
「そんな知略持ってる所が怖いっすね…でも…そんな智さんもいいっすね」
(相変わらず好いているなら智洋に気持ち伝えろよな…ったく…もっと攻めりゃいいのに)
そんな事を柄にも無く思う自分になんだか複雑な気持ちが湧いてきた。
「そんなおめぇが怖く感じるわ」
「うんうん」
「頷かないでくれます?傷つくっすよ?」
「はいはい、そんな事はどうでもいい…次の試合を見るぞ」
「ちょっと!リーダー!どうでもい……」
「黙れバカ野郎」
「うす…」
佐賀を黙らせて次に行われる試合を無言で見つめて観察する。
つ、疲れました…




