第23話:オーガの王
午後も頑張リス
「あの…リーダー…?レベルだけ下がってません?」
レベル20で殆どが四桁ってどう見てもおかしい…幾ら異世界での固定観念があったとしても普通に考えてレベル20で四桁は行き過ぎな気がする。もしこれで正常なら初期値とか高すぎるわ…インフレが激しすぎってクレームが殺到するぞ。
「ん?待ってろ……あ。すまん、下げるの忘れていた」
案の定、下げ忘れだった。もしこれが正常って言われたらもうここのダンジョンは諦め案件だったから助かったぜ…
「下げたぞ。数値的には智洋より少し上程度に設定した。だが能力レベルや保持数はそのままだ、気を抜くなよ」
リーダーの言葉を受け、すぐさま構えを取る。あの馬鹿みたいに多い能力と高いレベルを最大限に警戒しないといけない…せめてもの救いはどんな能力を持っているのかが分かるからありがたい。
「はい!……じゃ、行きます──」
言い終えたと同時に魔法を発動して一旦出方を探る。
『火炎弾』
バスケットボールサイズの火の玉が掌に出現、そして暴王目掛けて放つ。暴王を辿るように一直線へと向かい、直撃する寸前で暴王は火の弾を殴って相殺した。
「オォォォ!!」
小手調べとかやらない方がいい感じですね。若干おキレ気味ですか?めちゃくちゃ怖い顔して睨んでくるじゃん…小さい子見たらギャン泣きするぜ?
「もっと優しい顔してくれね?」
「オオォォオォォォォオォォ!!」
俺の懇願に逆上したのか、急に距離を詰めて魔法を発動してきた。
(あれは風魔法か!)
空気を固め、刃の様に形どった攻撃が数十という数となって俺に迫る…が擬似的な縮地を使ってその場から離れ躱す。
出し惜しみしてては負ける、一気に全力を出して弱点を探した方が良さそう。けどあまり長期戦は持ち込まず…早めに倒すのが無難かもな。
そう結論付けた俺は一気に闘気を解放して全身に纏い…武功を発動した。
『アルフェデート流剣術──零・始まりの斬撃』
上段切りで放った飛ぶ斬撃が地面を抉りながら一直線に向かうが、暴王はさもお構い無しに斬撃を殴ろうと構え出したので斬撃を操作して軌道を少しだけ変えた。
すると、斬撃が腰辺りに当たってダメージが通ったのか不快そうな声を上げて突進をしてきた。
「オオオォォ!!」
叫び声を上げた瞬間俺の背中に悪寒が走る、本能が危険だと訴えていた。
「ォォオオ!!」
もう一度声を上げたその時──暴王の姿が消え、真後ろに現れた…それに気づくのが遅れたせいで暴王の攻撃を受けてしまう。
「くッ!!」
両腕で何とか防いだが…威力が高ぇ、HPが少し減りやがった。直で食らったらひとたまりもない。
(能力を発動してきたか……キツイな)
少し距離を取り、体勢を整える。
速すぎて反応が出来ねぇ…能力を使われると厄介すぎる、早めに決着を付けないと!
『アルフェ…もういい!──金剛剣舞!』
刀身が金に染まり、数十の数に刀身が分裂…そして宙に舞うとそれを投擲。すかさずまた型を発動。
『樊狼一閃!』
半径300m内が間合いと化した最速の一撃を繰り出し、暴王に傷を付ける。
「オオォ!!」
怒り狂った暴王は宙を舞って自身に迫る金の刀身を能力を使って防いだ。体が金色に輝き、堂々たる姿勢を崩さないその姿が神々しくも禍々しく感じる二重の姿に舌を巻く。
(マジか…傷一つ付いてねぇじゃん)
何度も斬り掛かるが…傷は付かず弾かれる。すると、暴王の右腕がモリモリと膨れ上がり、元の何倍と言える大きさにまでデカくなったその腕で金の刀身を薙ぎ払い、粉々に粉砕する。
その光景を見てやばいと感じつつも近寄り、呟く
『螺旋解漸!』
螺旋状に収束する無数の斬撃が目の前で放たれる…だが、暴王はそれに対応する様に右拳で斬撃を殴る。
拳と斬撃が触れた事により、周囲は吹き飛び凄い風が起こる。それと同時にけたたましく鳴り響く轟音がより一層互いの攻撃力の高さを物語っている。
多分もう螺旋解漸は持たない…今がチャンス。
俺はその隙を逃さず、吹き溢れる風の中暴王の背後に出現して技を使う。
『アルフェデート流剣術──漆・百蓮万秋』
暴王の背中を斜め横に斬ると、まるで追い討ちを掛ける様に連続した斬撃が暴王の体を更に切り刻む。
「オオ!!」
痛みに反応してか、一気に螺旋解漸を相殺させたその瞬間、危険を感じ取り距離を取ったその時…俺の居た所を思いっきり殴ってきた。その衝撃で周りを覆い尽くすほどの土煙が舞い、何も視認出来なくなる。
すると、急に突風が起きたかと思えば土煙が晴れ暴王が叫び出す──
『オオォォ!!!』
暴王の周りに禍々しい魔法陣が何十、何百と出現し…魔法陣から一振の黒い剣が現れる。
剣が現れた瞬間…暴王が黒く染まり、瞳は赤黒く血肉の様なグロい色に変色…体はふたまわりほど大きくなって黒いオーラを漏れ出していた。
その姿は禍々しく狂戦士というより…魔王そのもの。
「気をつけろ。地獄状態に入ったぞ」
リーダーの言葉で余計緊張感が高まった。
\(^o^)/オワタ




