第14話:マイン・ボルテージ
なろう使って三年以上経ってるけど未だに仕組みがよく分かってないです。
ちょっと待て…めちゃくちゃ既視感な勧誘だなおい。
「えぇ…と?ガチですか?」
「あぁ…本気だ」
この人ガチじゃん…フードで口元しか見えないけど絶対そうだ、雰囲気で物語ってる。
勧誘はまぁ、嬉しいけど…俺にはもう居場所がある。だから言うことは既に決まっている。
「すいません。私には仲間が居ますのでお断りします」
ありのままの事実を目の前の怪しい男に告げた。すると、冷えた様な空気が漂い始め…なんだろうと思い周りを見渡せば口を開けて固まる人達が居た。
矢文さんや長谷川さん…そして友三人衆も同様に固まって…血の気が引いてる…?
(あ、これ不味い)
ことの重要さに気づいた俺は汗を垂らした、目の前の存在はその気になれば俺を刹那の間に殺す事が出来る。もし…俺の推測通りマグナクラスの力を持っていたとすればほんとにやばい。
心に募る不安が大きくなっていくのを感じ、焦っていると…怪しげな男が口を開いた。
「そうか…それは残念だ。だが…諦めんぞ」
ですからホントに既視感あるしつこさはなに?その執念には驚くって…この世界の人は何故こんなに諦めの悪い人が多いのか。
「諦めないと言われましても…」
困った。出来ればパーティーに入ってるのでって言いたい…けどまだ仮だから言えねぇ…どうしよう。
「なら…その仲間ごと俺のクランに──「一体誰の許可を得て俺の仲間を引き抜きしている?」
怪しい男が言葉を繋げる前に知っている声が聞こえてきた。しかもその声にはどこか怒りが含んでいる様にも感じ、身の毛がよだつ。
「え…どうして蒼牙の貴方まで?って…えぇぇ!?な、仲間!?」
「仲間?この受験者が…?」
「うそ!?ほんとに!?」
「おいおい…まじか木崎さん…」
「木崎さん…パネェです」
あちこちで聴こえる驚愕の声…そんな事よりもリーダーさんが来た事に驚いてるんだけど…え、依頼は?終わったんですか?早いね。
「なるほど……お前の仲間か。だが規約上問題ないはずだ」
後ろを振り向き、正論を言う。
確かにそうだ。さっきも俺が言った様に規約上何も違反してない、だから困ってんだよぉぉ!!ちくしょう。
「規約の問題じゃねぇ。もう智洋とはそういう付き合いだ。横は入りするな、殺すぞ」
(!?)
リーダーさんから放たれる重い殺気が怪しい男を襲う。それでも不思議とこっちは無傷…一点に絞った威圧って中々できる技じゃない。
「強くなったな……だが…俺には効かない」
付けていたフードを外し、素顔を晒した。黒く短い髪…なのは分かるけど背中越しじゃ髪しか見えん。
「なら、武力行使するまでだ」
「ほう…」
訓練所が一気に緊迫した空気へと変貌し、誰一人として動く喋る行為を禁じられたかの様な空間になった──がそれを破る存在が現れた。
「やめなさい!!」
長谷川さんの怒声が響き渡る…それと同時に矢文さんが二人の肩を掴んで一言。
「貴様ら……それ以上ここで揉め事するようなら出禁にするぞ?やるならここじゃなく第二訓練所に行ってやれ!!」
これを聞いて流石にマズいと思ったのか二人は反省した顔を浮かべて黒髪男から距離を取った。
なんか、ずっと座ってる俺が馬鹿みたいだからその場を離れ友三人衆の所に移動する。
そして、今も四人が喋ってる間にあの男について瀬戸さんに尋ねた。
「ねぇ、瀬戸さん。あの男の人って誰なの?」
「え!?知らなかったの??」
「う…うん。ちょっと事情があって世間には疎いんだ」
「う…うそぉ…疎いってレベルじゃないと思うけど…まぁ話すね」
「あの人の名前はレオン様。この世界では知らない人は居ないって言われる程超有名人で、誰しも一度は必ず聞く言葉として世間に伝わってるぐらいすごい人!!」
そ、そんなに凄い人なのね…ごめん転移者だから許して欲しい…と心の中で謝っておく。
「そして、レオン様は世界でも五本の指に入る巨大なクラン"マイン・ボルテージ"のクランマスターにして世界で十二人しかいないSSランクの冒険者──十二神星の一柱なの!」
なるほど、この世界の頂点の一人って訳か…とんでもない人から勧誘されたなぁ…俺よく断れたなそんな人からの…自分を褒め倒したい。
「私そんなすごい人の勧誘断ってたんだね」
「そうだよ!私死んだかと思ったもん!…でも、それ以上にあの蒼牙の仲間だったのが一番の驚きなんだけどね…」
生気が奪われて空になったんじゃ無いかと思うぐらい萎んで行く瀬戸さん。
「蒼牙もそんなに凄いんだ…」
つい、思った事をボソッと呟く。
「え?凄いよ?仲間なのに知らないの?」
おっと、瀬戸さんからまたもやまじかみたいな顔で言われた。
「あはは…ごめんなさい」
「木崎さんって凄いけどどこか抜けてるよね」
なんか初めて抜けてるって言われた気がするんですけど…いやしょうがないじゃんだってこの世界来てからまだ一週間経ってないしぃ…
心の中でブツブツと言い訳をしていると、瀬戸さんがまた話してくれた。
「蒼牙は、史上最速でSランクパーティーに上がった実力派揃いのパーティーで、その連携の高さや個々の実力の高さから既にSSランクパーティーに匹敵するんじゃないのか?とまで言われてるすんっっっごい人達!」
凄い熱が入った説明に少しだけ引いてると…話し合いが終わったのかリーダーさんがこっちに不機嫌そうな顔をしながら近づいてくる…
「悪い。この後暇か?」
唐突なこの後暇か?に若干驚いた…まさか、デート?え、いや俺男なんだけど…どうやって対応すればいいんだ!?は、初めてだからわかんない!
「多分お前が思ってる事とは違う」
「あ、そうですか。心読まないでくださいよ」
ジト目でリーダーさんの顔を見つめ、ムスッと頬を膨らませた。
「兎に角、暇か?」
「はい。暇ですけど…」
「なら、第二訓練所に来い。あの馬鹿と決闘する事になった」
「はい…?」
困惑のあまり素っ頓狂な声が口から出た。
(*´∀`)




