異世界転移ものの脇役だと思い込んでいる精神異常者の推理或いは自問自答 ～絶対主人公なんかに負けたりしない！！(キッ～

　ファビュラ大陸は突如現れた真なる魔王の脅威の前にその命運を脅かされていた。
　北方の諸王国群を滅ぼして南進する巨大な軍勢を前にして、最後に残された小王国は決意した。
　封印されし禁呪を用い、異世界の勇者を召還すべし、と。

　果たして勇者達は顕れた―――

　―――が、その男にはそれら全てがなろうのあらすじ文にしか思えなかった。
　つまるところその男は頭がおかしかった。
　異世界に転移してからおかしくなったのかもしれないし、元からおかしかったのかもしれない。

　おかしくなった男は問う。

「主人公は誰だ？」

　パーティ追放者と集団転移者、人外転生者に悪役令嬢。容疑者達が入り乱れる。

　怪しい。怪しい。怪しい。怪しい。

　疑心暗鬼に捕らわれた男の目には誰も彼もが容疑者だ。己の命を狙う黒幕だ。

　故に男は問う。

「主人公は誰だ？」