宇宙の探し物
宇宙戦艦を何十隻も鉄屑にしてきた男は、火星のフォボスマシーネン社からの仕事を受注した。ファンタズマゴリア級、たった一隻だが何年もかかる大事業をだ。亡霊が出るという曰く付きのシップ。この艦は絶対に受注する、固い意志で利益を削ってでも受け持った。男は減圧されきった、冷たい戦艦の中へと防護作業服で入った。必要のない作業だ。だが探し物は目で探すしかないと考えていた。ゴーストシップになって久しい艦内を照らす。探査ナノマシンのマッピングで迷うことはない。男が艦内に直接入るのはある種の儀式でしかない。目的は、ゴーストだ。男はオカルトを探す。マシンセンサでは捕らえられない何かを。だがこの艦にも、彼らはいなかった。男は少しだけ落ち込み、外の作業船に解体にかかるよう指示を出した。メキメキと、伝わることのない音を立てながらバラバラにはされていくファンタズマゴリア級を見つめる。男の探している『戦友たち』はやはり、ここにもいなかったと、彼は溜息を吐いた。