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王都ドラゴン魔法薬店~妖精達と一緒にスローライフ~  作者: 三和土
第四章 ダークエルフの村へ
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070.再生薬

「おはようございます」

 朝起きて顔を洗ったり歯を磨いたりと身支度を整えたら、ヒース君のお父さんの様子を見に行く。


 昨晩は家族で積もる話も有るだろうから、他の所(例えば宿屋とか)に泊まろうと思ったんだけど、そもそも訪れる人が極端に少ないこの村に宿屋なんて有る筈が無かった訳で。お邪魔でごめんと思いつつ、ヒース君の家にお世話になった次第です。

 いや勿論すっごくすっごく歓待されたんだけどね。

 でもお父さんに付いてて上げて~って思うじゃない?


「おはようございます。あなたが毒消し薬を作って下さった薬師殿ですか?」

 背凭れのクッションに埋もれていたお父さんが身体を起こそうとしたので、そのままでと留める。


「はい。偶々ヒース君と知り合う事になって、俺に出来る事だったので」

 そういえば昨日薬を飲ませた時には、殆ど意識が無い状態だったんだよなあと、ヒューバートさんと同じ黒い瞳を見ながら答える。

 ヒース君のお父さんはリンドンさんという名前で、ヒューバートさんと同じ様に村では狩人の役目を担っているそうです。


「お加減はどうですか?」

 毒消し薬は効いている筈だけど、顔色が余り良く無いのは、ウィルウルマイヨールの毒が内臓から出血させるから、多分貧血になっているからなんだろう。


「はい、まだ全快とは言えませんが、耐えがたい痛みは去った様です」

 ずっと痛みで意識が朦朧としていたのに、今日は起きていられるのだとリンドンさんは答える。


「ゾーイ、毒が残って無いかどうか見て貰えるかな?」

 念のためにゾーイに確認をお願いしたら、リンドンさんの頭上でくるりと一回転してから「大丈夫」と頷いてくれた。


「毒が完全に消えたみたいなので、今度は傷んだ内臓の方を治しましょうか」

 耐え難い痛みは去ったと言っているけれど、痛めつけられた内臓が治った訳では無いから、本当はかなり辛い筈なのだ。(もしかすると痛みが強すぎて痛覚が麻痺してしまっているのかもしれないけれど)


 様子を見に来た時に持って来て、サイドチェストの上に置いておいた再生薬を手に取る。

 この再生薬ってなんでこうなるのか分からないんだけど、薬の色が朱色とオレンジ色の縞々なんだよね。材料を入れて魔力を通して混ぜている時は一色なのに、ふわっと光って出来上がると縞々になってるんだ……。

 まあ、失われた器官まで再生しちゃうような不思議薬だから、何か色々不思議でも仕方ないよね……。


「零さない様に気を付けて飲んでくださいね」

 一息に飲まなくても良いので、ちょっとずつですよ。と、リンドンさんの口元に瓶を当てながら、気を付けて傾ける。

 起きているから自分で飲めるかと思ったけど、まだ瓶を持つ手が震えるぐらい身体に力が戻ってないみたいだし、吸い飲みを用意すれば良かったかもしれない。

 とはいえ、意識の有る相手なので昨日毒消し薬を飲ませた時よりもスムーズに再生薬を飲ませる事が出来た。


「薬なので苦いのかと思ったら、ちょっとだけ甘いんですね」

 身体から力を抜いてクッションに凭れながら、リンドンさんはそう言って微笑んだ。

 俺は飲んだ事が無いから知らないけど、材料に蜂蜜が入っているからかな?

 インタニスダの尾とウィークレティスの蔓とヴィテルの雫と蜂蜜が材料なんだけど、この中でインタニスダの尾が結構珍しい素材なんで薬の値段を押し上げているって訳。


「割と良く効く薬の筈なんで、お腹の中がかっと熱くなるかもしれないけど、治ってるだけなんで心配しないで下さいね。もしかすると、急に効果が出て辛いかもしれないけど……」

 再生薬の作り方を調べた時に、副作用とかの所に書いてあった事を、大丈夫だからと伝えておく。


「もし辛い様なら、眠りの魔法を使える人が居れば掛けて貰った方が良いかもしれないです」

 再生薬で内臓を新しく作っているから、痛み止めとか他の薬は入れない方が良いのだ。

 幸いダークエルフは闇属性の魔法を使う人が多目の筈だから、耐えられない様なら眠ってしまえば良い。


「はい、ありがとうございます」

 そう答えると、リンドンさんは疲れたのかまた眠ってしまった。




「恵みに感謝を」

「いただきます」

 朝一で今日やらなければならないリンドンさんへの投薬も終わったので、朝食にお呼ばれしています。

 ちなみにお薬を飲ませている時は、ヒース君とシルビアさんは邪魔にならない様にって部屋の戸口の所から覗いていました。

 気になるから普通に入って来て横に居れば良かったのにね。


「今日飲んだ薬が効いて来れば、痛みとかも無くなるので、後は失った血液を増やすためのお薬を飲むぐらいですね」

 まだまだくったりしているリンドンさんを心配している二人に、心配しなくても大丈夫と告げる。


 朝食は芋を茹でて潰した物と、果物と、山羊の乳だ。

 この家で山羊を飼っている訳でも無いみたいだし、客が居るからと態々貰いに行ってくれたんだろう。

 芋はちょっともそもそするし、甘みとかも足りないけど、塩味がそれなりに利いているからまあまあいける感じかな。

 果物は割と厚めの皮を剥くと、白くてつるんとした果肉が房状になって入っている。口に入れると甘みが濃くて果汁も多くて美味しい。


「まだ暫くは、体力も戻らないと思うので、ゆっくり養生させて上げて下さいね」

 ご飯も柔らかい物から順に食べさせて上げて下さいと言えば、ヒース君とシルビアさんは大きく頷いた。

 なんと70話目です。と言っても特に何も無い訳ですが。

 ここまで読んで下さってありがとうございます。このお話はまだまだのんびり続きます。


 ブックマークや評価などもありがとうございます。

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