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王都ドラゴン魔法薬店~妖精達と一緒にスローライフ~  作者: 三和土
第四章 ダークエルフの村へ
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069.毒消し薬を飲ませました

 毒消し薬の入った瓶を、布で包んで丁寧に鞄に仕舞う。

 ここで転んだり瓶を落としたりしたら駄目だから慎重にね。

 一応さっき造った薬の残りが有るから、一回ぐらい駄目にしても平気なんだけど、心構えの問題として。

 まあ、俺の反射神経なら、躓いても大した事にはならなさそうだけど。

 焦らずに急いで向かいますよ。


「ヒース君、お薬出来たよ~」

 ダークエルフの村の家って、似ていて見分けが付き難い。基本的に木で出来てるんだけど、屋根とか壁とかに色を塗って無いから同じ色だし、形もそんなに違いが無いというか。

 何処だったっけ……って記憶を頼りに向かおうとしたけど、エドワードが先にぼよんぼよん跳ねて向かってくれたから問題無かった。


 家の近くまで来たら、待ち切れなくてずっと戸口で待っていたのか、ヒース君が居るのが見えたから手を振って呼び掛ける。

 そしたらすごい勢いでやって来て、腕を掴まれてぐいぐいと家の中に連れて行かれた。


「こっち……!」

 引っ張って行かれたのは寝室で、ヒューバートさんによく似た感じの痩せて多分背が高いだろう男の人が苦しそうに横たわっていた。


「お父さん……! 薬が出来たって……!」

 眠っているその人を、ヒース君は揺さぶって起こす。

 ヒース君のお父さんは揺さぶられて薄っすらと目を開けたけれど、身体を起こす力はもう残っていない様だった。

 とても辛い思いをしたのだろう、元は真っ黒だっただろう髪が半分ほど白髪になってしまっていた。


「ヒース君、吸い飲みみたいなの有るかな?」

 目を開けたといっても、意識が朦朧としている状態みたいな感じだし、自力で瓶から飲むのは難しそうだった。


「あ……、えっと……。回復薬飲ませてるのが有る筈……」

 ヒース君は一瞬考えて、それから台所に走って行った。


 その間に俺は、ヒース君のお父さんの身体を少し起こすために、クッションとか枕を集めて背凭れを作っておく。


「有った! これ!」

 直ぐに吸い飲みを持って戻って来たヒース君から受け取って、多分ちゃんと洗ってあるんだろうけれど保険のためにゾーイに頼んで再度綺麗にして貰う。

 薬が混じるのは危険だからね。


 洗い直して、ララに頼んで乾かして貰った吸い飲みに、持って来た毒消し薬を零さない様に注ぐ。

 ヒース君にも手伝って貰って、クッションに凭れて身体を少し起こしたお父さんの口を開けて貰う。

 薬を一気に流し込んで咽ても駄目だし、飲み込み切れなくて零しても駄目だから、慎重すぎるぐらいゆっくりと薬が喉の奥に流れ込む様に吸い飲みを傾ける。

 ちょっと流して様子を見て、ちょっと流しては様子を見て。

 量的に言ったら栄養ドリンク一本分ぐらいしかない毒消し薬を、十分ぐらい掛けて何とか全量飲ませる事が出来た。


「よし、後は薬が効いて身体から毒が抜けるまではこのままで」

 下手に回復薬を飲ませたりとか刺激しない方が良いのだ。


「完全に毒が消えるのは、う~ん、明日の朝ぐらいかなあ……」

 こればっかりは個人差が有るし、そもそも俺はそんなに症例を持っていないから細かい所までは分からないんだよね。

 消えたかどうかは、明日の朝もう一回様子を見に来ようかな。ゾーイに頼めば分かる筈。


 ヒース君のお父さんは薬を飲み終えたら疲れたのか、また眠りに落ちてしまった。本当に回復薬でぎりぎり持たせていたんだろうなあ。


「お父さん助かるの……?」

 少しだけ呼吸が楽そうになった父親を見て、ヒース君の目にじわりと涙が浮かんだ。


「毒消し薬は間に合ったし、よっぽどの事が無ければもう大丈夫だよ」

 ベッドに縋りつくヒース君の頭をぽふぽふと撫でながら、安心させるように頷いてみせる。


「明日の朝、毒が完全に消えたら、毒でやられた内臓を治す薬を飲んで貰って、内臓が治ったら、失った血を増やす薬を飲んで、それで一応終わりかな?」

 回復薬は無茶な使い方をしていたから、これ以上は飲ませない方が良いだろう。暫く予後を確認して、何も無ければ完治と言って良いだろうし。


「うう……、うう……。あり、ありがとおおお」

 もう大丈夫と俺が言ったら、ヒース君は盛大に泣き出してしまった。

 父親を助けたい一心で、不安な中一人野宿をしたりと魔物に追われて荷物を失ったりと片道七日間も掛けて王都までやって来たりしたのだ。

 ずっと気を張り詰めていたんだろう。


 それは分かるんだけど、泣かれるとどうして良いのか分からなくなるから困る。

 先にヒース君の家に来ている筈のヒューバートさんとか、お母さんのシルビアさんとかはどこに行っちゃったんだよ……!


 どうしようもなくて、涙が止まらないヒース君にタオルを渡してみたりとかぐらいしか出来ないままおたおたしていたら、ヒューバートさんとシルビアさんがやっと戻って来た。

 ウィルウルマイヨールを倒したから、その事を村長さんとか村の人達に報告に行っていたんだって。村の外に出る時に係る重要な事だから早目に連絡しなきゃいけなかったそうです。

 後は俺の調薬がもう少し時間が掛かるだろうって思われていたらしい。

 確かに毒消し薬は大量の魔力が必要になったから、村の薬師さんが調薬していたら半日ぐらい掛かったかも。俺は魔力量とかそういうのは沢山有るからなあ……。

 肝心な時に居ない人っていますよね。ちゃんと居てよってなる人。

 ともあれやっとお父さんの解毒は完了しました。残念ながらばしゃっと掛けて効くタイプのお薬じゃ無かった様です。


 そういやこの世界注射とか点滴とかは無いのかな……?

 回復薬で割と力技的にある程度回復させそうだから要らないのかもしれませんね。


 ブックマークや評価など、何時もありがとうございます。続きを読んで貰えるように頑張りますね。

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