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王都ドラゴン魔法薬店~妖精達と一緒にスローライフ~  作者: 三和土
第四章 ダークエルフの村へ
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062.森を往く

 ヒース君の村へ辿り着ける道の目印は、ダミーも含めて幾つか有った。

 木の下の方の枝を軽く折って有ったり、枝の根元に目立たない様に蔦みたいな物を括り付けてあったり。

 森の外側から見える位置に五つか六つ程有って、目印の有る木に近寄って外側から見えない方に回り込んで幹を見上げると、当たりの木のちょっと上の方、意識しないと視界に入らない辺りに目印が付いている。

 その目印の付いている木の有る所から森の中に真っ直ぐ二十メートル程進んで、やっぱりちょっと上の方をぐるぐると探すと印の付いている木が有る。

 印が有ると思って探すから見付かるだけで、意識していなかったら見つけられない様な目印だ。

 そうやって目印から目印に向かって進む事大体鐘半分(一時間半)くらいで、やっと何とか道らしき物に辿り着く。

 道らしいって言っても、踏み固めてあったり舗装してある様な良い物じゃなくて、獣が何度も繰り返し通って周りの草が倒れた多少ましになったぐらいの控え目な物だ。


 それでも目印を注意しながら探して進むよりは随分楽というか、進む方向が間違っていたら道から逸れてしまう危険を伴いながら森を進むよりは、精神的な負担が減った。

 ちなみにうっかり目印を見失ったらどうするのかと聞いたら、単に不注意で一つ二つ見落としただけなら、その地点を中心に円を描く様に虱潰しに探すし、魔物などに追われて大幅に逸れてしまった場合などは、木の上に登って太陽や星の方向から大森林の外側の方角を調べて、一旦森の外に出てもう一度入り口から探すのだそうだ。


 随分と大変な事をしているなとは思うけれど、村の近くなら木一本一本を覚えているから迷わずに歩けるんだそう。

 森の外には滅多に出ないし、余りうろうろしていて他の種族に見付かったら困るから、どうしても不慣れになるのだとか。


 そんな話を、歩きながらヒース君は少しずつ教えてくれる。


 昼食を取ってから大森林に入って、鐘半分ぐらいで目印を探しながら進み、それからまた鐘一つ分くらい歩いた所で、そろそろ野営の準備をする事にした。

 森の中で真っ暗になってから何かをしようと思っても大変だし、先ずは良さそうな場所を探す所からになるのだから。


 幸い王都を出発してからずっと晴天続きで、今晩も特に雨が降りそうな気配も無い。

 だから夜中に水が漬きそうな低地は駄目だとか、雨を凌ぐために枝葉の張った木の下が良いとか、そんな事を考えなくても良い。


「この木の近くだと、虫が嫌って寄って来ないんだ」

 とヒース君が言うので、楕円形で縁がちょっとギザギザしている大きな葉の木の近くにテントを張る事にする。


 本来なら交代で見張りをしつつ眠るのだけれど、うちの妖精達は眠らなくても良いし(と言いつつ普段は一緒のベッドに入って来て眠るんだけど)、何なら簡易結界まで張っちゃうので見張りは無しという事にした。


 ちょっと下草を薙ぎ払って、野営地の周囲から倒木とかの乾いた薪になる様な物を拾って来る。

 明かりと暖を取るために焚火は必要だろう。


 ヒース君は王都に着くまでに荷物を失くしていたから、テントは俺が用意したちょっと大き目の奴を一緒に使う事に。

 買ってから練習する時間が無かったから、ちょっとだけもたついたけれど、ヒース君とユースタスも手伝ってくれたから設営するのにそこまで時間は掛からなかった。

 中に一応防水布を敷いておく。毛布とか有ると良かったんだけど、荷物をそこまで増やせなかったから、寝るのはマントを毛布代わりにするだけなんだよね。


 何時でも眠れる準備は出来たから、次は夕飯の支度に取り掛かる。

 先ずは小麦粉を使って簡単パンもどきの生地を作る。本当は牛乳とか入れた方が美味しいんだけど、そんな贅沢は言ってられないので有る物で。

 後は中にチーズでも削って包んだら、片手鍋に油を塗って両面焼けば何となく食べれる筈。

 それから、乾燥させた野菜と塩漬け肉のスープ。嵩増しの為に乾燥したショートパスタを入れる。

 後は塩漬け肉をちょっと厚目に切って焼いたの。保存優先でしょっぱ目なんだけど、生肉は持ち歩けないので仕方が無いよね。


 徒歩で三日掛かる予定のアフロスートまで半日だったし、二日歩く予定の大森林までも半日だった訳で、後は二日分の行程だし、いっそ携帯食をお茶で飲み下しても良かったんだけど、ちゃんとご飯を食べないとやる気が出ないから、これは俺のわがままです。

 どこに行っても自分のペースで動いてしまう。


「いただきまーす」

「今日の恵みに感謝を」

 皆に食事を配ったら、手を合わせる。

 うん、予想通り塩漬け肉がしょっぱい。パンもどきの中にチーズ入れない方が良かったかも?

 しょっぱくなった口の中は、すっとするお茶で洗い流す。疲労回復の効果も有るんですよ。あと、吐く息もちょっとだけ爽やかになるから、中年冒険者つまりおっさん達にお薦めしているハーブティです。割と売れてるんですよ。

 パンもどきの方はむっちり? もっちり? 何かそんな感じ。まあふわふわとは遠いかも。それ程美味しい訳でも無いけど、チーズ入ってるし、小麦粉だから不味い訳でも無い。お腹膨れるし、こんなもんだな~って奴。

 スープも味的にちょっと物足りない。いや、こんな森の中で汁物食べようとかしてるんだから、割と贅沢なんだけど。

 総じて何時ものご飯に比べると物足りなかったけど、野営の食事としては合格点以上な感じだったと思う。


 そしてヒース君はスープの器を抱えながら、うつらうつらと船を漕ぎ出している。

 分かるんだけど、頑張り過ぎというか気負い過ぎなんだろうね。分かるから止めないけど。


 そっとスープの器を手から抜き取って、ユースタスと二人掛かりで脇と足を持ち上げて、テントの中に押し込んでマントを掛けておく。


 焚火の側に戻って腰を下ろすと、遠くで鳥の鳴き声が聞こえる。夜行性の鳥だろうか?

 あちらこちらで上がる動物の鳴き声も、もしかすると魔物の鳴き声なのかもしれない。

 焚火で照らされる狭い範囲以外は、真っ暗闇なのに、妖精達とユースタスが居るから、少しも怖くは無かった。

 読んで下さってありがとうございます。

 今回も割と地味な回です。(いや派手な回は殆ど無いんだけど……)基本持ち前の健脚と頑丈さで乗り切るデイライト君です。ユースタスさんや妖精達に至ってはお散歩と変わらず。

 ヒース君だけが一人必死に歩いています。可哀そう……。


 ブックマークや評価など何時もありがとうございます。頑張って続きを書くぞ~!

 それから誤字報告ありがとうございました。助かります!


 18日より新作のダンジョン運営物も投稿しています。↓の方にリンクが張ってあるので、よろしければそちらもよろしくお願いします。お姉さんと猫が主人公です。

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