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王都ドラゴン魔法薬店~妖精達と一緒にスローライフ~  作者: 三和土
第四章 ダークエルフの村へ
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059.馬車を使わなかった訳

「まあ、そうは言っても急いだ方が良い事に変わりはないんで。……午後はユースタス、お願いしても良いかな?」

 使用したカップを洗ったり、片手鍋を水を切って鞄に括りつけたり。敷いていた防水布を小さく畳んで鞄に戻せば、出発準備は完了する。


「構わぬが、主殿も乗っていくか?」

 王都の門を出た時には人型だったユースタスは、歩き出してから周りに人影が無くなると早々に、こちらの方が楽だからといって狼型に戻って歩いていた。

 でもご飯を食べる時は人型になるんだよね。人型の方が味覚がはっきりしているとか何とか。まあ、ご飯は美味しく食べれる方が良いし。

 それに、準備とか後片付けも手伝ってくれるし。


「うーん。でも荷物が多いから、これを担いだままだと二人で乗るのって難しくない?」

 俺は良いとして、間に荷物が有るとヒース君が掴まる場所が無いと思うんだよね。力が強いから多少の重さは苦でも無いのも有って、配達人かとばかりにでかい荷物になっているから。……まあ大半は食糧なんだけど。家の子達の分全部詰め込んであるからさ。

 それに、鞍とか鐙とか手綱とか、騎乗するのに必要そうな物は一切無い訳だし。


「何、それこそ荷物を二つにでも分けて、私の左右にでもぶら下げれば良かろうよ」

 とユースタスが言うので、一旦まとめた荷物をばらして、大体同じ重さになる様に袋を分ける。

 荷物と荷物を紐で縛ったら、ユースタスに走る時の大きさになって貰う。


「こんな感じで大丈夫? 重心ずれてたりとかしない?」

 なるべく納まりが良い様に括りつけながら、ユースタスに確認を取る。


「多分大丈夫だと思うぞ。……まあ、何かあったら止まって調整すれば良かろう」

 そう言うとユースタスは確認する様に荷物を付けたまま、ぐるりと皆の周りを一周回った。


「よし、乗っても良いぞ」

 と地面に伏せると、背中に乗る様に促して来る。


「はーい。ヒース君、乗って乗って」

 何をし出したのか分からずに、突っ立って見ているだけだったヒース君の手を引いて、ユースタスの背中に押し上げる。


 何とユースタスさん、何時もの普通の狼の大きさと違って、牛より大体二回りぐらい大きくなっているんだよね。超もっふもふ!


 戸惑っているヒース君を有無を言わさず跨らせて、それから自分もヒース君の前に座る。

 オスカーは俺の前にやって来たし、エドワードはユースタスの頭の上に移動した。……落ちても拾いに行かないぞ。

 ララは何時もの通り飛んで付いて来るだろうし、ゾーイもそのまま空中を泳いで付いて来るみたいだ。


「結構スピード出るから、ちゃんとしがみついててね~」

 と俺が言ったのを合図に、ユースタスは立ち上がって徐々にスピードを上げて行った。




 景色がぐんぐんと後ろに流れて行く。

 こうやって一瞬で通り過ぎてしまうのは勿体ないなと、ちらりと頭の片隅を過るけれど、よく考えたら王都みたいな一部の都市を除いては、大体どこも割と自然豊かというか。特に目立った名所旧跡が有る訳でも無いし。広大な大地が続くだけなんだよね。


 街道を直接走ると、他の旅人達を脅かしたりする事になるから、街道に沿って入るけど少し離れた位置を南下している。


 最初は鐘半分(一時間半)経つか経たないかぐらいで休憩を取った。

 乗っているだけで疲れた訳でも無いし、ユースタスも全然疲れていなさそうだったけど、俺の後ろで必死にしがみ付いていたヒース君が割と限界そうだったから。

 まあ、もふもふふかふかしているとは言え、かなりのスピードで走っているし、手綱何かが有る訳でも無いから、落とされない様にしがみ付く先は俺しか居なかった訳で。

 しがみ付いていた腕が固まっちゃって、外すのにちょっとだけ苦労した。

 俺はユースタスの毛皮……丁度鬣の辺りの毛が毛足が長めで立派なのを掴んでいただけなんだけど、ユースタスはスピードの割には揺れない様に気を配って走ってくれていたから、脚の力、太股辺りで締める様にして跨っていただけで、それ程苦労をした訳では無かったんだけどね。


 お茶を淹れて、広げた防水布の上に座ってドライフルーツの砂糖漬けを口に入れる。

 ちょっと酸っぱくて、上に掛かった砂糖がちょっとじゃりじゃりしていて、口の中に入れればじゅわりと唾液が染み出して来る。

 噛めばちょっともちゃもちゃとした食感だけど、広がる甘味にほっとする。


「しがみ付いているの大変なら、俺にヒース君を括りつけちゃう?」

 それだったら落ちる心配も無いから、少しは楽になるよ。と、隣に座ったヒース君に聞いてみる。


「いや、大丈夫。……の筈」

 多分……と自信無さそうに言いながら、凝り固まった筋肉を解す様に、ヒース君は腕をぐるぐると回している。


「そっか、じゃあ暗くなるまで後半戦頑張ろ~!」

 暗くなったら別に危ない訳じゃ無いけど、夜営の準備なり宿屋を探すなりする心算つもりです。


 ユースタスに乗り込んで、俺達は再び南へと走り出した。

 子供の時に犬の背に乗りたいと思った事は有りませんか? 私は有ります。

 まあ、犬は人を乗せる様な骨格をしていないので大人に止められましたが。犬ぞりにもちょっと憧れが有りました。


 読んで下さってありがとうございます。少しでも面白いと思って貰えたら幸いです。

 ブックマークが200を越えました。ハイファンタジーは人気ジャンルとは言え、ランキングに掠りもしない上に流行りの話でもないのにありがたいことです。

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