055.ブラックですね
俺の店で身体を休めておいて何て言ったけど、王宮図書館は当然王城の一角に在る訳だから、王都の中央に位置する訳で。
つまり門からの通り道に俺の店がある。
と言う事で、なるべく急いで歩きつつ、夕飯になりそうな物を買い込んで、店に着いたらヒース君にはご飯を食べてお風呂に入ったら寝る様に言い聞かせた。
下手にうろついて騒ぎを起こされても困るからね。
それからまた急ぎ足で、ユースタスと一緒に王宮図書館に向かう。
王宮薬師の研究棟に通っているとはいえ、あちらは王城の端っこに建っているから、王城内の地理に関してはさっぱり分からないのだ。
反対に王宮図書館は過去の資料なども収められていて、図書館といった別個の建物の形を取ってはいるものの、外朝部分に近い場所に建てられていて、いかにも平民です的な俺が歩いていたら、許可証を見せても直ぐに捕まってしまいそうな気がする。
そこで顔パスのユースタスさんですよ。
ユースタスにくっ付いて歩いていて、衛兵さんが居る様な所では通行証を出せば、何も言われずに通して貰えるのだ。凄い。
「着いた。……って何か市中の図書館よりしょぼくない?」
王都の図書館は神殿かってぐらい入り口から立派な柱があるのに、辿り着いた王宮図書館は建物の大きさはそれなりなものの、入り口の扉は人一人で開けられるぐらいの大きさだし、簡素な物だった。
ちなみに王城とは渡り廊下で繋がっていました。
「そりゃー、ここを利用するのは殆ど文官とかだからなあ」
とても偉い人は取って来いで済むからそもそも訪れないし、平民は入れない。
本や資料を借りに訪れるのは、王族や貴族の許可証を持った召使い(といっても大体皆貴族なんだそうだ)と、日々王城で政務を頑張っている下級文官が主流を占めるのだそうだ。
「立派な玄関はそれだけで移動距離が延びるだろう?」
激務で運動をする時間が無い文官達には、歩く距離が延びるだけの邪魔な装飾でしかないのだそうで。
とはいえ、広い王城を書類を求めて移動しているから、運動量的には足りているんだとか。
そんな話をしながら、扉の所に立っている衛兵さんに通行証を見せて中に入れて貰う。
ちなみに王宮図書館は、文官さん達が夜中でも資料を求めてやって来るため、一日中開いているそうです。こんな時は有難いけど、大変だな!
「済みません、虫系……特に蜘蛛の魔物について詳しく書かれた物と、南方の植物について書かれた物と、毒消し薬に関する本を出して貰えますか」
王宮図書館は必要な本が有ったら、司書さんに頼んで出して来て貰うシステムらしい。本じゃなくて過去の政務で使われた資料何かだと、そのまま資料が詰め込まれた部屋に通して貰うらしいんだけど。
入り口に近い所に小部屋が幾つも有って、本を頼むとそこで待たされる。
小部屋にはランクが有って、偉い人程立派な部屋に通されるらしいんだけど、俺は入り口に近い方の簡素な部屋だった。
簡素とは言え一応テーブルセットは備え付けられているし、部屋に入って暫くすると、メイドさんっぽいお仕着せを身に着けた人がやって来て、お茶を用意してくれた。
カップに注がれたお茶を飲み切る前に司書さんが戻って来て、該当するであろう本を机に置いてくれる。
「こちらで宜しければ、貸し出しの手続きをお取りましょうか?」
と言って部屋の棚から書類を一枚出して来たので、今日は借りずにこの場で読んでいくつもりだと答える。
「そうですか。ではまた必要な本などが有りましたらお呼びください」
と一礼して司書さんは去って行った。
「よし、じゃあ手分けして探そうか」
ジョンさんはウィルウルマイヨールじゃないかって言っていたけど、蜘蛛型の魔物全部に関して詳しい訳じゃない。それに思い込んで動くのはこういう場合は良くないのだ。
特徴と生息地域を確認して、該当しそうな魔物をピックアップして。
それからどんな毒か調べて、その毒に対応した毒消し薬とその素材を調べて。
気になった物は一応全部調べておかなければ。
お茶の残りを飲み干して、カップを邪魔にならない様に端に寄せる。
司書さんが積み上げて行った所から、ずしりと重い革張りの本を一冊持ち上げて、手前の机の上で広げる。
開いた本は、魔物の丁寧な細密画とその説明が記載されていて、こんな時で無ければかなりわくわくとして読んだんじゃないだろうかと思わせる物だった。
今回ちょっとギリギリでした。何とか間に合った……! ちょっと短めですが。
分からない事を調べたり、調べる時間が無かったり。
それはそうとそろそろ花粉の季節ですね。私はもう既に涙目ですが。
鼻は今の所無事なのですが、目がもう何がアレルゲンなのかも分からないぐらい年中涙が出ているので、目薬だけでも4種類処方されています。杉、稲、栗、黄砂、ハウスダスト等々。家の周り杉山で田んぼなのに杉と稲が有ると言う地獄な訳ですが。
目薬も一種類使ったら5分開けなければならないので、かなり面倒なんですよね……。




