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王都ドラゴン魔法薬店~妖精達と一緒にスローライフ~  作者: 三和土
第三章 生活環境を整えよう
52/73

052.餌付けしました

 ご飯を分けて上げたら、行き倒れ君は俺達の手の届かない所まで下がってから、貪る様にご飯を食べた。

 空腹だったんなら余計にゆっくり食べないと、胃がびっくりするだろうにと思いつつ、追加でお湯を沸かしてお茶を淹れて上げる。

 それから鞄を探って、何かあった時の非常食用に入れておいた炒ったナッツ類とドライフルーツを刻んで混ぜたカチカチに固いビスケットを一包み取り出す。ナッツとかドライフルーツを入れると暫くもぐもぐしてても美味しいし、満足感が出るからね。お茶に浸さないとちょっと固すぎて食べるの大変だけど。

 また足り無さそうにパン屑まで拾って食べていたから、そっとお茶とビスケットも押し遣る。


「お腹壊すから、ゆっくり食べなよ」

 ついでにプラムもどきも一つ付ける。


 別にそこまでして上げる必要も無いんだろうけど、なんだろう。

 ご飯食べている行き倒れ君の耳がぴこぴこ上下に動いていて、ちょっとうちの子味が有るというか。

 まあ、所謂絆されたって奴だと思う。


 耳がぴこぴこ動いている……つまり行き倒れ君は耳がちょっと長い。そして尖っている。

 白銀の髪に金色の瞳で、褐色の肌。これはダークエルフって奴なんだろうか?

 本人を目の前にして聞くのもあれだから、家に帰ってから一般的にはどうなのか妖精達に聞いてみよう。

 年の頃は見た感じ十三、四くらい?

 身長が大体百五十センチ後半から百六十センチ前半ぐらい。俺よりちょっと低い位ね。

 とは言え、こっちの人の方が身体が大きい傾向が有るから、もしかするともっと年下なのかもしれないし、エルフ系なら寿命が長いからもっと年を取っているのかもしれないんだけど。


 行き倒れ君にビスケットを出したら、うちの子達も欲しい欲しいと言うから、もう一包み取り出して一人一枚ずつ配る。

 日持ちする様に割と高目の温度で焼いたから、本当に固いんだよね……。

 まあ、顎も丈夫だから全然問題無いんだけど、バリバリボリボリ食べる物でも無いから、お茶にちょっと浸して柔らかくしてから食べる。

 ドライフルーツの甘みが有るけど、もうちょっと甘くしても良いかもな~。ナッツもよく噛んでるとちょっと甘いよね。美味しい。


「あの…………、ご馳走様でした。ご飯ありがとうございます」

 ヤマアラシみたいに警戒心剥き出しにしてたけど、お腹が膨れたらちょっと落ち着いたのかな? ぺこりとお辞儀をしてから、使った食器を川で洗って返すべきかみたいに視線を彷徨わせながら悩んでいる。


「どういたしまして。食器はそのままこっちに戻してくれれば良いよ」

 川で洗っても、後で気になってもう一回洗う事になるからね。


「それで、なんでまたこんな所で行き倒れて居たの?」

 森には食べ物一杯有るよ? それともどれが食べれる物なのか分からないぐらい箱入りとかなのだろうか?


 疑問に思って聞いてみたら、行き倒れ君の答えはこうだった。

 行き倒れ君は名前をヒース君と言うらしい。

 ヒース君の一族は森の奥に住んで居て、自給自足で生活しているのだそうだ。

 ただ、最近どうしても森の中では手に入らない物が出来たので、ヒース君がお使いとして王都に向かっているんだそうだ。

 途中までは魔物避けの香を焚きながら来たんだけれど、途中で川を越える時に溺れて香を水に浸けてしまい、効果が無くなってしまったのだそうだ。

 そこからはなるべく隠れて気を付けながら進んで来たんだけど、途中で魔物に見付かってしまい、逃げまどっている内に食料の入った荷物も失ってしまったので、何とか魔物を撒けたけど、水を求めて河原に出た所で力尽きてしまったとの事だった。


「そっかー。大変だったんだね」

 失くした荷物はどうするのとか、魔物避けの香を失って帰り道はどうするのとか、色々思い浮かんだけど、そこまで関わっても良いのかどうか分からなくて、おざなりな返事をしてしまう。


「さてと、俺達今から王都に戻るけど、良ければ一緒に行く?」

 魔物が出ても安全だよ。と言えば、ヒース君はちょっと悩んだ末こくりと頷いた。




 道中は、割とどうでも良い様な、どこそこの屋台が美味しいとか泊まるならどの宿屋が良いとか(ジョンさんの受け売りだけど)そんな話をして歩いていた。

 でも、お腹が膨れたら安心したのか、それともどっと疲れが出たのか、ヒース君は歩きながらうつらうつらと半分居眠り状態になってしまった。


「あらら」

 倒れる前に手を差し出して受け止めたけれど、目覚める様子は無さそうな感じだ。


「大分お疲れだね~」

 僕が運んで行こうか? と小さい身体の割には力持ちなエドワードが、跳ねながらそう言ってくれるけれど、どう考えても大惨事になりそうだから断っておく。


「俺が担いでいくよ」

 その代わり鞄を持ってくれると嬉しいかな。とユースタスの首に鞄を掛ける。


「承った」

 と、ユースタスが答える。


 おんぶをして速度を出すと上半身が離れて行きそうだし、意識の無い相手にしがみつけと言うのも無理な話だから、そのままひょいと肩に担ぎ上げる。

 お腹が圧迫されるから、ちょっと苦しいかもしれないけど、まあ仕方ないよね……。

 目が覚めちゃうと普通の速度で歩かなきゃいけなくなるから、眠っている内に距離を稼ぐべく俺達は走り出した。

 大体もぐもぐしているうちの子達です。非常食まで持っている。

 ドラゴンも妖精も守護獣もご飯食べなくても死なないんですけどね。


 この話はべたべたのなんちゃってファンタジーなのでダークエルフさんも出ます。

 暫くはヒース君の話になる予定です。


 評価、ブックマーク等ありがとうございます。

 このお話が続いているのも、読んで下さっている皆さんのおかげです。反応が燃料ですから!

 まだまだ続きますがよろしくお願いします。

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